「HONE(ホネ)」が越境台風になる可能性
 日本列島が台風10号で動けなくなっていたころ、はるか南方のハワイ諸島付近で発生した中部太平洋で発生したトロピカルストーム「HONE」(ホネ)が、180度経線を越えて東経域に入ると台風に変わる可能性があり、注目されていた。
 180度経線は日付変更線と一致しており、これを越える風速17m/s以上のトロピカルストームは台風と呼ばれる。その後日付変更線は越えたものの風速が17m/sを越えることはなくトロピカルストームとして消滅した。

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 トロピカルストームとは熱帯低気圧のこと。もし、越境台風となれば昨年の2023年台風8号(ドーラ)以来で1年ぶりのことだった。台風が域外から入るのは数年に一度程度の頻度であるそうで、その前は2018年台風17 号(ヘクター)だった。
 台風の名前
 北西太平洋や南シナ海で発生した台風の名前は、国際機関「台風委員会」の加盟国などが提案した名称があらかじめ140個用意されていて、発生順につけられる。
 一方、西経域から入る台風は、アメリカの国立ハリケーンセンターが定めたリストからつけられた名前(今回であれば「ホネ(Hone)」)が、そのまま台風の名前に用いられることになっている。
 トロピカルストームの名前「ホネ(Hone)」は、甘くてやわらかい、またはハチミツなどの意味をもつハワイ語からつけられていた。
 位置によって変わる呼び名
 そもそも台風とは北西太平洋の「東経100度線から180度経線までの北半球」に中心が存在するものをいう。
 海域としては北太平洋西部(北西太平洋)およびその付属海である南シナ海、東シナ海、フィリピン海、日本海などにあたり、陸域としては東アジア、東南アジア、ミクロネシアのそれぞれ一部が含まれる。
 最大風速が17 m/s以上の熱帯低気圧のうち、北インド洋にあるものは「サイクロン」と呼ばれる。南太平洋、北太平洋(180度経線以東)、北大西洋の熱帯低気圧のうち最大風速が33 m/s(64 kt)以上のものは「ハリケーン」と呼ばれる。ただし、台風、サイクロン、ハリケーンともに現象としては同一である。
 数年に一度発生する「越境台風」
 これらの熱帯低気圧が地理的な境界線を越えた場合は呼び方が変わる。例えば、2006年に北東太平洋で発生したハリケーン・イオケは、西進して経度180度を越えたため台風12号になった。このように、区域を跨って台風に変わったものを越境台風と呼ぶ。
 越境で台風でなくなるものもあり、2019年の台風1号は、マレー半島付近で東経100度線を越えたことにより台風からサイクロンに変わった。