新型コロナウイルスの5類移行
 新型コロナウイルスの発生から4年半が経つ。新型コロナウイルスに関する発表が厚生労働省のリリースに初めて登場したのは2020年1月6日のこと。
 そこには冒頭、こう記されていた。「中華人民共和国湖北省武漢市において、昨年12月以降、原因となる病原体が特定されていない肺炎の発生が複数報告されています」。1月5日時点での国立感染症研究所のまとめとして、59例の確定例(2019年12月12日~29日の発症分)のうち7例は重症で、この時点では死亡例なし…。
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 その後、政府は2023年5月8日から、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げた。そこから対策が大きく変わった。まず、政府が一律に日常における基本的感染対策を求めることはなくなった。感染症法に基づく、新型コロナ陽性者及び濃厚接触者の外出自粛というのもなくなった。
 限られた医療機関でのみ受診可能であったのが、幅広い医療機関において受診可能になった。医療費等について、健康保険が適用され1割から3割は自己負担いただくことが基本となったが、一定期間は公費支援を継続される。
 「療養期間」と「外出自粛」
 5類への移行後、療養している間に外出を控えるかどうかは、個人の判断に委ねられることになる。厚生労働省は判断の参考にしてもらうため、発症の翌日から5日間は外出を控えるほか、5日目に症状が続いていた場合には、症状が軽くなってから24時間程度は外出を控えることが推奨されるという目安を示している。  そのうえで、10日間が経過するまではウイルスを排出する可能性があることから、マスクの着用や高齢者などとの接触は控えることなど、周囲の人への配慮を求めていいる。
 そもそもコロナウイルス感染症とは?
 新型コロナウイルス感染症とは、新型コロナウイルス(SARS-CoV2)に感染することによって起こる感染症のこと。日本でも感染者の増減が繰り返されている一方、新型コロナウイルスワクチンの接種も広がっており、発症・感染・重症化の予防に役立っている。
 しかし、ワクチンの効果は時間の経過とともに低下する可能性があるほか、コロナウイルスは変異を繰り返すウイルスであるため、変異株に対する有効性については変化に応じて確認が進められている。
 感染すると、時に重症化することもあるため、症状についてよく理解し、感染が疑われる際には適切な行動を取ることが大切である。
 新型コロナウイルスの症状
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の症状は、軽症の場合と重症化した場合に分けることができる。初期症状は軽症で、発熱や咳などかぜのような症状がみられることがあるが、重症化すると肺炎を発症する。
 ただし、感染した方全員に症状がみられるとは限らず、無症状で経過する例もある。国立感染症研究所のデータからは、発症する場合、オミクロン株では約3日で発症することが多く、約10日で99%以上の方が発症していると報告されている。
 オミクロン株の初期症状
 新型コロナウイルス感染症の初期症状としては、鼻水や咳、発熱、軽い喉の痛み、筋肉痛や体のだるさ(倦怠感)など、かぜのような症状が挙げられる。特に、37.5℃程度の発熱と強い体のだるさを訴える方が多いという特徴があるが、発熱がなく体のだるさなどの症状だけが現れる方もいる。
 現在流行しているオミクロン株の症状の特徴としては、比較的無症状の方や軽症で治癒する方が多く、2~3日の発熱の後自然軽快していくことが挙げられる。
 ただし、これまでの新型コロナウイルス感染症と同様に4日以上発熱が続くこともある。また、“においが分からない”“味が分からない”など、嗅覚・味覚障害が起こる方もいることが分かっており、これらの症状は女性や子どもに生じやすいというデータもありる。
 そのほか、人によっては鼻づまりや鼻水、頭痛、痰や血痰けったん、下痢などが生じることもある。  
 症状の持続期間
 初期症状は平均して7日間程度続くといわれているが、症状が長引いた場合でも重症化しなければ次第に治っていく。重症化せず軽快する方の割合は、症状が現れた方のうちおよそ80%と考えられている。また、オミクロン株はデルタ株と比較して重症化しにくい可能性があると考えられている。
 高齢者や基礎疾患を持っている方は引き続き注意が必要であることに変わりはない。オミクロン株は比較的軽症の方が多い傾向にあるが、新型コロナウイルス感染症自体は“人工呼吸器が必要な肺炎”など重症化する可能性のある感染症だ。
 一方で、ワクチン接種や治療薬といった医療の進歩により、重症化する方の割合は大きく減少している。今後も変異株の出現とその特徴の変化に注意が必要だが、持続的に存在し続ける感染症となりつつあるなか、上手に新型コロナウイルス感染症と付き合っていくことがますます重要となる。
 そのための1つの知識として、症状に対処するセルフケア(自分自身で対処する)のアプローチができるようになることが大切。