アトラスが2つ目の月を発見
その後は軌道を外れ、2025年1月9日に再接近するものの、再び地球を離れて太陽を中心とした軌道に戻る。もう一度地球の軌道に戻ってくるのは約20年後の2055年だと考えられている。
さまざまな活躍をしているアトラスとは何だろうか?
記録に残る歴史の中で、何百もの地球衝突(および爆発する火球)が報告されてきたが、そのうちのごく一部は死亡、負傷、物的損害、またはその他の局所的な重大な影響を引き起こした。
歴史的に最もよく知られている衝突の1つに、1908年にロシアのシベリアの非常に人口の少ない地域にあった数千平方キロメートルの森林を平らにした、直径50 メートルのツングースカ大爆発がある。
今年の10月12日に地球に最接近する紫金山・アトラス彗星を発見したアトラス望遠鏡が「地球の2つ目の月」を発見した。ただし「2つ目の月」出現するのは56日間だけ。その後はもとの小惑星にもどるという。
マドリッド・コンプルテンセ大学の科学者らによると、この「月」はアルジュナ群と呼ばれる地球に近づく軌道をもつ小惑星の一つだ。一時的に地球の軌道に引き込まれて「ミニムーン」になり、9月29日~11月25日にかけて、U字型の軌道で地球の周りを一周するという。
この小惑星は、ハワイ大学が開発しNASAが資金提供している「アトラス(小惑星地球衝突最終警報システム)」によって8月に発見され「2024 PT5」と名付けられた。「2024 PT5」は地球の引力によって引き寄せられて、月と同じように地球を周回する。ただしその期間は56.6日間だけだ。
その後は軌道を外れ、2025年1月9日に再接近するものの、再び地球を離れて太陽を中心とした軌道に戻る。もう一度地球の軌道に戻ってくるのは約20年後の2055年だと考えられている。
さまざまな活躍をしているアトラスとは何だろうか?
アトラス(小惑星地球衝突最終警報システム)
アトラスとは、小惑星地球衝突最終警報システムのことで、英語で表記した「Asteroid Terrestrial-impact Last Alert System」を短く「ATLAS」としたものである。
アトラスは、地球近傍小天体を、地球に衝突する数週間から数日前に検出するために最適化されたロボット掃天観測および早期警告システムだ。
その主な設計目標の副産物として、ATLASは夜空の明るさの変動や移動する天体を識別することができる。そのため、変光星、超新星、衝突可能性のない小惑星、彗星、準惑星も探索している。
「ATLAS」はNASAの資金提供を受け、2015年からハワイ大学天文学研究所 (IfA) が開発・運用を始めた。最初は2台の0.5 メートル望遠鏡、ハワイ諸島の160 キロメートル離れた2つの観測所 ハレアカラ (ATLAS-HKO) とマウナロア (ATLAS-MLO) に設置した。
このプロジェクトは、2022年には南半球の南アフリカ望遠鏡とチリ望遠鏡を追加して、全天を捜索できるようになった。ハワイが昼の時間帯にあっても警報を提供することができ、これは1日か2日前でないと検出できないような小さな小惑星の場合に重要な意味を持つ。
過去の巨大天体衝突
これまで巨大な天体衝突は、地球の歴史に大きな影響を与え、地球・月系の形成、地球上の水の起源、生命の進化の歴史、いくつかの大量絶滅などに関与してきた。先史時代の衝突は、白亜紀・古第三紀の絶滅現象の原因と考えられている。恐竜を絶滅させた6,600万年前のチクシュルーブ衝突などがある。
また、3700万年前の小惑星衝突では、ミスタスティン・クレーターが生成され、地表で自然に発生した最高気温が2,370℃を超えた。
記録に残る歴史の中で、何百もの地球衝突(および爆発する火球)が報告されてきたが、そのうちのごく一部は死亡、負傷、物的損害、またはその他の局所的な重大な影響を引き起こした。
現代でも日常茶飯事の危険性
現在でも、直径4 メートルの石のような小惑星は、およそ年に1回地球の大気圏に突入する。直径7 メートルの小惑星は、約5年ごとに大気圏に突入し、広島型原爆と同等の運動エネルギー(TNT約16 キロトン相当)を持ち、その空中爆発は約3分の1のTNT5キロトン分に相当する。
これらの比較的小さい小惑星は通常、高層大気で爆発し、固体のほとんどまたはすべてが蒸発する。直径20 メートルの小惑星は約1世紀に2回地球に衝突する。
歴史的に最もよく知られている衝突の1つに、1908年にロシアのシベリアの非常に人口の少ない地域にあった数千平方キロメートルの森林を平らにした、直径50 メートルのツングースカ大爆発がある。
より人口の多い地域でこのような衝突が起これば、局所的に壊滅的な被害を引き起こしたはずである。
2013年のチェリャビンスク隕石は、中国で1490年に多数の死傷者を出したとされるが記録が十分に遺されていない清陽事件を除き、歴史上多数の負傷者を出した唯一の衝突である。
約20 メートルのチェリャビンスク隕石は、ツングースカ大爆発以来、地球の大陸に衝突した記録上最大の天体である。将来の衝突は、地域的にダメージを与える小さな小惑星の方が、世界的にダメージを与える大きな小惑星よりもはるかに高い確率で発生することとなる。
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