全国で熊出没その原因は
全国で熊が人家の近くに出没している。8月23日には、東京でも釣り人がクマに襲われけがをする被害が起きた。8月20日には東京・青梅市で、クマが出没した。駐車場の奥からクマが向かってきて、車の間を走り抜けていった。大きさは車のタイヤほどで、子グマとみられる。
今年、都内では八王子や日の出町などで、クマの目撃情報などが100件以上寄せられていて、中には市街地で目撃されたものもある。神奈川県でも丹沢の近く伊勢原市で出現している。
専門家によると、8月は例年、山のエサが少なくなるため、クマの行動範囲が広がる時期。今年は、猛暑などの影響で特にエサが少ないため、人里におりてくるケースが増えているといいう。
猛暑や少雨など人里出没に影響か
クマの生態に詳しい、酪農学園大学の佐藤喜和教授は、この時期、クマが学校があるような市街地に現れていることについて「8月の下旬というのは、もともとクマの主要な食べ物である秋の木の実が熟し始めるその前の時期で、森の中には他の食べ物が少ない時期だ。特にことしは暑さが厳しかったり、雨が少なかったりとか、そういったあたりが、クマの主な餌となる植物の成長に影響を及ぼしている可能性がある」と指摘しています。
また「過疎化や高齢化によって、特にクマの生息地域に近いところの環境管理に対する労力を割けなくなったことで、ますますクマが人の近くで暮らせるような環境になっている。そうした中で、人が生活圏のすぐ裏の森にクマが定着するようになり、エサ不足をきっかけに、簡単に人里に出てきやすい状況になっている」としている。
そして、対策として「クマが地域で出た場合は、情報を学校に早く周知することが大切だ。校庭で遊んでいる子どもを速やかに建物の中に入らせるとか、時間帯によって対策が異なると思うので、事前にどうするのかをそれぞれの学校や教育委員会などで考えるのが大事だ。また、クマが出没しにくいような環境作りも大事で、給食関係の生ゴミなどの匂いが届かないようにゴミの管理をしっかりして、学校周辺の草ややぶを刈り、クマが潜むような場所を作らないということも大事になってくる」と話していた。
クマのいない県
クマが街に出没して人が襲われるなどの被害が全国で相次いでいるが、熊のいない県もあるのはご存知だろうか?本州では唯一、千葉県はクマが生息していない「クマなし県」である。
かつては千葉、茨城の両県にクマがいないとされていたが、NGOの約10年前の調査報告で茨城の出没例が確認され、晴れて千葉のみとなった。それにしても、もっと都会のイメージがある東京都や大阪府でも出没例があるのに、千葉にいないのは意外な気もする。そこで、千葉になぜクマがいないのか、今後クマが千葉にやってくる可能性はあるのか、専門家に聞いてみた。
国内にいるクマは2種類で、北海道はヒグマ、本州以南にはツキノワグマが生息している。環境省とNGO「日本クマネットワーク」が公表しているツキノワグマの分布図によると、本州の広い範囲で生息が確認されるが、関東では北部と西部に限られる。なお、九州ではかつて生息したが、今は絶滅したとされる。
もし熊に出会ったら「熊の対策」
熊対策の基本は「音を立てて存在を知らせる」「注意を払い危険な場所には近寄らない」「万が一遭遇したら静かに立ち去る・後退する」こと。さらに、遭遇時の威嚇や、熊撃退スプレーの携行、屋内外での電柵設置など、状況に応じた具体的な対策がある。
遭遇を避けるための対策は「存在を知らせる」ことです。熊鈴、笛、ラジオを携行し、常に音を出して自分の存在を知らせよう。
次に「情報収集」です。入山前に必ず現地の出没情報を確認し、危険な場所には近づかないようにしよう。また、クマの活動が活発な早朝や夕方、霧が出ている時間帯は避けるのが賢明だ。複数人で行動し、お互いの存在を常に意識して行動しよう。
そして、もしもクマに遭遇してしまったら、遠くにいる場合は落ち着いて、静かにその場から立ち去ろう。近くにいる場合は、目を離さず、ゆっくりと後退して距離を取ろう。大声を出したり、急な動きをしたりするとクマを刺激してしまうので避けよう。荷物をクマとの間に少しずつ置きながら、気をそらして離れるのも有効。
至近距離で襲われそうな場合には、熊撃退スプレーを噴射したり、倒木や石の上に立って自分を大きく見せ、大きな声で威嚇しよう。
クマは増えてる?熊の出没、ツキノワグマとヒグマ
日本には2種類の熊が生息している。ツキノワグマとヒグマ(エゾヒグマ)。
ツキノワグマは本州、四国に⽣息。四国では30頭以下で少ない。九州では絶滅した。全国での⽣息個体数ははっきり分かっていない(10,000頭前後とも26,000頭とも)。ヒグマ(エゾヒグマ)は北海道に生息。2020年度の推定個体数は11,700頭前後とされる。
「クマ類の生息状況、被害状況等について」(環境省)によると、1990年頃から四国を除いた地域でクマの分布域が拡大している。青森県北部、福島県阿武隈山地、富山県西部、長野県全域、中国山地で分布域の拡大が顕著。鳥取県では昔は東西に生息域が限られていたのが、現在は全域に拡大している。分布域の拡大は北海道(ヒグマ)でも顕著。
生態系の頂点に立つ動物は、強そうに見えて、いつでも危うい存在。環境変化や人為的な介入で、いとも簡単に個体数を減らしてしまう。
九州では1957年を最後に(九州個体の)ツキノワグマが見つかった記録はなく、2012年に環境省により絶滅宣言が出された。四国でも一部の山域でしか見られず、2036年に絶滅する確率が62%と試算する研究もある。
ニホンオオカミは明治時代に絶滅したが、クマにも同じ道をたどらせるわけにはいかない。昔は狩猟圧により適正な個体数が維持されていたと言う。人間の生活圏とクマの生息圏の間の「へだたり」を作っていくことが共存策の一つですが、それには持続的な担い手と財源が必要。
地域の過疎化、高齢化、耕作放棄地、少子化など、日本の地域が抱える課題がクマ問題として表出しているなら、これは市町村だけで解決できる問題ではなさそうだ。


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