富士山大規模噴火のCG公開

 8月26日の「火山防災の日」。これは、1911年(明治44年)8月26日に日本で最初の火山観測所が浅間山に設置され、近代的な火山観測が始まったことにちなみ、2023年の「活動火山対策特別措置法」改正によって制定された。火山災害への関心と理解を深め、防災訓練などの行事を実施することで、火山災害への備えを促す日となっている。

 この日、内閣府は富士山で大規模な噴火が発生した場合に、火山灰によってどのような影響が出るのかシミュレーションした動画を公開した。場所によっては建物が壊れたり、物流が滞って物資が不足したりする様子がCGで表現されていて、内閣府は対策を行うきっかけにしてほしいとしている。

 動画は、1707年の「宝永噴火」と同程度の噴火が発生して首都圏などに火山灰が集中して積もった場合を想定して内閣府が作成し、8月26日の「火山防災の日」にあわせて、ホームページなどで公開した。

 動画では地域ごとの影響をCGで紹介していて、このうち、富士山から60キロほど離れた神奈川県相模原市付近では、砂浜の砂のような火山灰が降り、2日後には20センチ程度積もるおそれがあるとしている。


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 また、およそ100キロ離れた東京 新宿区でも、細かな火山灰が降って5センチ以上積もり、鉄道の運行やライフラインなどに影響が出るおそれがあることが分かる。

 場所によっては建物が壊れたり、物流が滞って食料や水などが不足したりするおそれがあることも表現されていて、内閣府は「富士山が噴火した場合の生活への影響を具体的にイメージして、物資の備蓄などの対策につなげてもらいたい」としている。

 噴火・火砕流

 突然の噴火が発生した時。噴火発生を知らせる「噴火速報」や、噴火が予想されるとして「噴火警報」が発表された時。「噴石」「火砕流」「火山灰」「土石流」「溶岩流」から、どうすれば身の安全が守れるのか。知っておきたいポイントです。

 火口の近くにいる場合、まず怖いのが噴石。大小さまざまあるが、高速で落下してくる噴石が直撃すれば、命が危険にさらされる。

 2014年の御嶽山噴火では多くの人が、噴石の直撃を受け亡くなっている。近くにシェルターがあれば、直ちに避難をしよう。山小屋は噴石貫通のおそれがあるも、外にいるよりは安全度は上がる。

 避難場所がない時は大きな岩や斜面などの陰に避難をしよう。ヘルメットをかぶって身を小さくする。ヘルメットがない場合は、リュックなどで頭を守ろう。

 次に火砕流。高温で高速の火砕流に巻き込まれると命の保証はない。火口周辺に近づかないことが最も重要。1991年の雲仙普賢岳の噴火では、多数が火砕流に巻き込まれ亡くなっている。

 流れ下る様子が見えたら、立ち止まらずに反対方向へ逃げよう。谷筋からも離れたほうが安全度は上がる。直撃を免れなくなった場合、コンクリートで出来た頑丈な建物などの中に入り、口をタオルでふさぐなど少しでも助かる可能性のある対応をしよう。

 火山灰・土石流

 火山灰は、量によって異なるが、人体や交通、ライフライン、建物への影響が心配される。2011年の新燃岳噴火による火山灰は人の生活に影響を与えた。  火山灰を吸い込むと、ぜんそく患者など肺に疾患がある人は症状が悪化するおそれがある。健康な人でも長時間火山灰にさらされると目や鼻に異常を感じ、深い呼吸をするとのどや気管支などに影響が出るおそれがある。降灰中は室内で過ごし、外出の場合はマスクやゴーグルなどを着用しよう。

 車が出せる速度は1ミリ以上の灰が積もった場合は30キロ程度、10センチ以上で通行できなくなるとされている。火山灰が降っている際には視界も悪くなる。タイヤがスリップして交通事故の危険性も高まる。

 不要不急の運転は避けよう。運転の場合は速度を落とし慎重なハンドル操作をしよう。2ミリ以上の灰が積もると、浄水場が利用できなくなったり、下水道が詰まってしまったりするおそれもある。3ミリ以上積もると、送電設備がショートして停電するおそれもある。

 水や食料を備蓄し、懐中電灯やラジオなどを準備しよう。7センチから8センチの灰が積もると、体育館のような屋根の大きな建物で損傷したり倒壊したりするおそれもある。また、少量の灰でも雨が降ると重くなり雨どいなどがこわれることもある。

 大量の場合はコンクリートで出来た建物などに避難しよう。少量で降灰が止まった場合、雨どいや排水溝などの掃除をしよう。

 大量の火山灰や噴石が雨水や川の水に押し流され、土石流が発生することがある。冬の間は山から離れていても、火口周辺の雪が一気にとけて「融雪型火山泥流」が発生し、ふもとの街に甚大な被害が出るおそれもある。1991年 雲仙普賢岳噴火による土石流は多くの人が被災している。川や谷筋から離れた場所への早めの避難をしよう。川や谷筋の様子を見に行かない。

 溶岩流

 火山から流れ出る溶岩は、比較的速度が遅いため、逃げる時間はある。ただ、溶岩は1000度にも達する高温で、近づくと大変危険だ。家屋や植物も破壊し、燃やしてしまう。1986年の伊豆大島の噴火では溶岩が流れた。溶岩流が迫っているときは近づかない。表面は固まって見えても内部は高温、噴火活動が終わった後も近づかない。

 それぞれの火山でどのような災害が発生するのか、具体的な危険性は、地元の自治体などが公表しているハザードマップで知ることが出来る。火山の近くで住んでいる人だけでなく、観光や登山の目的で火山に近づく人も、必ず目を通し、いざというときの心構えをしておくことが大切。