6月に“海底観測網”「N-net」完成
最近緊急地震速報が速くなったと感じることはないだろうか。スマホの警告音で驚かされることが多くあり、揺れの方は後から少し揺れるだけだったり、思ったより遠くの地震だったりする。近くでなくてホッとするのだが、少し繊細になった感じもする。
実は14年前の東日本大震災後、大規模なインライン式の海底観測網が海底深くに張り巡らされている。東日本太平洋沖に設置されたものが「S -net」。四国・九州沖の海底観測網「N -net」の設置も完了している。以前より地震が20秒程度速く検知できる。
30年以内に発生確率80%とされる「南海トラフ巨大地震」。その脅威に立ち向かうため総延長1640kmにもなる海底観測システム「N -net」が今年6月に完成した。今秋からデータの提供を始める。気象庁は今後、緊急地震速報や津波警報の発表に活用する。
防災科学研究所は2019年から、海底観測網の「空白域」だった高知~宮崎県沖で整備を進めていた。整備費用は約175億円。地震計や水圧計を内蔵した観測装置36台を約30キロ・メートル間隔で並べ、沖合と沿岸の2ルート計1640キロ・メートルのケーブルでつないだ。津波は最大20分、地震は最大20秒早く検知できるようになる。沖合部分は先行して完成しており、昨年11月に気象庁が一部データの活用を開始していた。
東日本太平洋沖に設置された「S-net」
S-net(Seafloor observation network for earthquakes and tsunamis along the Japan Trench)は、海域で発生する地震や津波を観測する大規模なインライン式の海底観測網。東日本大震災をもたらした2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震を受けて、北海道沖から千葉県の房総半島沖までの太平洋海底に地震計や水圧計から構成される観測装置を150点設置している。各観測点のデータは光海底ケーブルで陸上局に伝送され、さらにそこから地上通信回線網で防災科研に送信されている。
南海トラフ域に設置されたDONET
DONET(Dense Oceanfloor Network system for Earthquakes and Tsunamis)は、南海トラフで発生する地震や津波を観測するために海洋研究開発機構により開発された観測網で、平成28年4月に防災科研に移管された。
南海トラフ海域の熊野灘と紀伊水道沖に計51ヶ所の観測点があり、地殻変動のようなゆっくりとした海底の動きから大きな地震動,津波まであらゆる種類の信号をキャッチできるよう、多種類のセンサー(強震計、広帯域地震計、水圧計、ハイドロフォン、微差圧計、温度計)から構成されている。
強震計と広帯域地震計はジンバル機構により水平に保たれている。センサーの交換や観測点の増設など、拡張性と置換性に優れています。観測されたデータは、リアルタイムで関係機関に送られている。
南海トラフ海底地震津波観測網「N-net」
N-net(Nankai Trough Seafloor Observation Network for Earthquakes and Tsunamis)は、南海トラフ地震の想定震源域のうち、観測の空白網である高知県沖~日向灘に新たに整備中の観測網で、令和6年度末に整備を完了。 沖合システム、沿岸システムの2つのサブシステムがあり、地震計や水圧計から構成される観測装置を、各サブシステムに18点ずつ、計36点設置。
S-netやDONETと同様に、各観測点のデータは光海底ケーブルで陸上局に伝送され、さらにそこから地上通信回線網で防災科研に送信されている。また、DONETと同様に拡張性を有しており、将来的に地殻変動観測機器や新たに開発されるセンサーを接続することが可能となっている。
これら海底地震津波観測網は地震や津波の早期検知や、津波遡上域の予測に役立てられ、これらの観測データは気象庁による緊急地震速報や津波警報・注意報にも使われている(津波情報に活用する観測地点の追加について)。また、これらの観測データから、地殻変動や地震活動をモニタリングを通じて、スーパーコンピューターを用いたシミュレーション研究と組み合わせて、巨大地震の長期評価へ貢献することが期待される。
相模トラフ域に設置された相模湾地震観測施設
相模トラフ海域では1923年に大正関東地震が発生し、10万人以上の方々が亡くなる等、南関東地域に大きな被害をもたらした。それ以前には江戸時代の元禄期の1703年にマグニチュード8クラスの元禄地震が発生している。
これらの震源域に地震計と水圧計を設置しているシステムが相模湾地震観測施設。1923年大正関東地震は、2011年の東北地方太平洋沖地震と同様に海溝型地震と呼ばれる地震の一つ。
震源域の南西側の相模トラフに沿って約120㎞沖合まで1本の海底ケーブルで接続されたもので、それぞれジンバル機構によって水平に保たれた6台の地震計と3台の水圧計から構成されている。この観測データは神奈川県平塚市の中継局に伝送されてデータ処理の上、即時的に当研究所をはじめ、気象庁や各研究機関に送られている。

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