カーナビの地図選択に鳥瞰図

 カーナビの地図にバードビュー(鳥瞰図)というものがある。あれは便利だ。地図を見るときいつでも上が北であるが、実際に運転する時にいつも北を意識して運転するわけではない。

 そんなとき方角が分からなくなることがある。まわりの風景と同じように立体的に見える地図があったならと思う。それが分かるのが鳥瞰図である。2次元で3次元がわかる図だ。

 世界で最初に生まれたのは日産が1995年に世界で初めて実用化し、カーナビゲーション画面に鳥瞰図を採用した「バードビュー®ナビゲーション」。

 鳥瞰図は、全体像を立体的に把握できる、視覚的に理解しやすい図であり、都市計画や観光案内、建築設計のほか、システム開発における概要図など、様々な分野で「全体像の把握」「配置の理解」「情報共有」といった面で便利に活用されている。

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 鳥観図の歴史

 海外の歴史的な鳥瞰図としては、レオナルド・ダ・ヴィンチの「トスカーナ鳥瞰図」、ヤコポ・デ・バルバリの「ヴェネツィア鳥瞰図」(1500年)、アルトドルファーの「アレクサンドロス大王の戦い」(1529年)などがある。

 日本の歴史的な名所や神社仏閣を描いた鳥瞰図としては、古くは春日大社を描いた奈良時代の「春日曼荼羅」などがある。名所案内図としては、秋里籬島著、竹原春朝斎画「都名所図会」、斎藤月岑、長谷川雪丹画「江戸名所図会」、葛飾北斎「東海道名所一覧などがある。

 浮世絵にも鳥瞰図が描かれ、広重「江戸名所百景」の「深川洲崎十万坪」などがある。現存最古の鳥瞰図としては『東大寺領荘園図』がある。

 大正から昭和にかけて別府市など、全国の観光地を空から見下ろしたような「鳥観図」で描いた日本画の絵師、吉田初三郎がいる。

 吉田初三郎の鳥瞰図 

 吉田初三郎は京都市出身の日本画の絵師で、観光地を描いた「鳥観図」の独特の画風から江戸時代の人気浮世絵師、歌川広重になぞらえて「大正の広重」とも呼ばれている。

 大正から昭和初期に起こった観光ブーム。そのブームの中、日本内外の旅行パンフレットに鳥瞰図を取り入れたのが吉田初三郎だった。

 「吉田初三郎式」として人気を集めた彼の鳥瞰図の最大の特徴は極端なデフォルメで、大胆な構図と鮮やかな配色による豊かな表現に彩られ、今日と比べても遜色ないほどの詳細な情報が盛り込まれた旅行案内が多数出版された。

 吉田初三郎が最初に描いた『京阪電車御案内』(大正2年)。皇太子時代の昭和天皇から「これは奇麗で解り易い」と賞賛されたことに喜び、生涯に1600点以上もの作品を描いたと言われている。

 「初三郎式、神奈川の描き方」吉田初三郎展 

 現在、生命の星地球博物館では「鳥観図」吉田初三郎展を開催している。「初三郎式、かながわの描き方 ―地形表現の科学―」というのがキャッチコピー。 

 「神奈川県鳥瞰図」など大正から昭和初期に描かれた鳥瞰図は、航空機が一般的ではなかった時代に高いところから見る視点を提供した。これらには名所旧跡などが外観を再現した挿し画で絵解きされているが、立地している場所や全体的な山水についても立体的に表現していることが見どころとなっている。

 この特別展では、鳥瞰図という題材について、生み出された時代背景を人文科学的、地形表現を自然科学的なアプローチで迫る。航空機での移動などが自由ではなかった時代に、なぜこのような鳥瞰図を描くことができたか、鳥瞰アングルを推定したCG鳥瞰図などを使って紹介する。

 吉田初三郎・作「神奈川県鳥瞰図」など大正から昭和初期に描かれた鳥瞰図は、名所旧跡の外観などを挿し画で描くだけではなく、立地している地形を立体的に表現していることが見どころ。これらが生み出された時代背景を人文科学的、地形表現を自然科学的なアプローチで迫る。

 開催期間は、2025年7月19日(土曜)から 11月9日(日曜)開催時間は、9時から16時30分(入館は16時まで)観覧料(常設展含む)は、20歳から64歳:個人 720円(団体 610円)20歳未満・学生:個人 400円(団体 300円)高校生・65歳以上:200円 中学生以下:無料となっている。

吉田初三郎鳥瞰図集
昭文社
2021-04-20