月面に広く水を発見
月には水が存在するのだろうか。もし月に水があれば、将来長期間の有人月探査が実現した際には貴重な水資源として使用できる。
NASAはこれまでも、月の水については、永続的に影になっている部分のクレーターで観測されていた。今回は、太陽光が当たる部分で初めて水分子を確認した。論文を共同執筆したNASA研究員のケイシー・ホニボール博士はオンラインの記者会見で「水の量は、月の土壌1立方メートルあたり12オンス(約350ミリリットル)ほどだ」と説明した。
NASAは2024年に初の女性を含む宇宙飛行士を月に送るとしている。早ければ2030年代に火星を有人探査するという「次の大きな一歩」への準備と位置づけている。
今回の発見は当初、ボーイング747型機を改造した航空機に搭載した「ソフィア」と呼ばれる赤外線望遠鏡「空飛ぶ天文台」だ。最高高度約14キロを飛行し、地上では大気に遮られてしまう宇宙からの赤外線を観測できる。
科学者らはこの望遠鏡で、水分子に特徴的な色を確認した。水分子は月のガラスの中か、月面の鉱物の間に閉じ込められ、厳しい環境から守られているとみている。研究グループは米ハワイ大学、ジョージア工科大学、NASAなどで構成。成果は2020年10月26日付の英天文・宇宙科学誌「ネイチャー・アストロノミー」に掲載された。
月で水を利用してロケット燃料を作ることができれば、地球から燃料を運ぶよりずっと安上がりになる。将来、月探査隊が地球に戻るときや他の目的地に向かうとき、その場で水が入手できれば、水素と酸素に分けて燃料にすることが可能になる。
水のフリカケ
一見すると月は、溶岩で覆われた天体でしかない。が、最近、月面にはフリカケのように、後から水が付加されているという観測が続々と得られている。
着陸に成功した「チャンドラヤーン3号」の前のチャンドラヤーン初号機と2号機では、月を周回しながら赤外線で地表を調べている。すると、月を覆うレゴリスとよばれる細かい土壌のなかに、水分と思われる水分子がわずかに含まれていることがわかってきた。
このような水の報告は、チャンドラヤーンだけでなく、アメリカの月周回衛星からももたらされた。いずれも、平均すれば、地球でいえば砂漠の砂粒に吸着した程度の水分ではあるが、それでも水は水である。あるいは、場所によっては、凍土のように地下に氷が集中して埋まっているかもしれない。どうして月に水が存在するのだろうか。
月には大きく2つの方法で、水が存在する。1つは天体衝突であり、もう1つは太陽からのプラズマの風、太陽風である。
天体衝突は想像しやすいだろう。炭素質コンドライトや彗星のような水を含む小天体が月に衝突すれば、そこに含まれていた水が月に供給される。太陽風は水素イオンや電子を主とするプラズマの風であり、月面に吹き付けた際、水素イオンが岩石中の酸素と結合して水分子を作る。
太陽風で水ができる
2021年2月JAXAの仲内 悠祐氏率いる研究チームは、太陽から放出されている水素イオンが月や小天体表層で珪酸塩鉱物(地球,月や小天体の主要構成鉱物)に衝突することで水分子(H2O)が生成されることを実験から実証している。
本研究では、高真空環境チャンバー内に設置した炭素質隕石に含まれる珪酸塩鉱物の粉末サンプルに対して太陽風プロトンを模擬した水素イオンビーム(H2+)を照射し、天体表層環境を模擬した。水素イオンビームの照射によるOHやH2Oの生成過程解明は、近赤外反射スペクトル変化を調べることで実現した。
今回の仲内氏らの実験では、水素イオン照射だけでH2Oが生成されることが示された。この結果は、太陽風の水素イオンが直接降り注ぐ月や小天体表層において、非常にシンプルな反応でH2Oが生成することがわかった。
太陽風(太陽から吹き出す、主に水素イオンと電子からなるガスの高速流(秒速400km/s))は太陽系空間を満たしている。
月や小惑星の表層は大気がないため、太陽風イオンは月表面の鉱物に直接降り注ぐ。降り注いだ太陽風の水素イオンと月表面の鉱物に含まれる酸素イオンが結合することでH2Oが形成されている。
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