頭突き恐竜、最古の化石

 モンゴルにあるおよそ1億1000万年前の地層から、「頭突き恐竜」として知られる「パキケファロサウルス類」の新種の全身骨格の化石が見つかったと、日本などの国際研究チームが発表した。これまでに見つかった「頭突き恐竜」の中では最古のもので、謎に包まれた生態に迫る成果だとしている。

 岡山理科大学と福島県立博物館が参加した国際研究チームは、2019年にモンゴル・ゴビ砂漠にあるおよそ1億1000万年前の白亜紀前期の地層で恐竜の全身骨格の化石を発見し、詳しく調べた。

 その結果、この化石は頭の骨がドーム状に発達し、「頭突き恐竜」として知られる「パキケファロサウルス類」の新種のものであることが分かり、研究チームでは「ザヴァケファレ・リンポチェ」と命名した。

 化石は、これまでに見つかった「パキケファロサウルス類」の中では最古のもので、体長およそ1メートル、体重6キロほどの若い個体と推定され、骨の特徴などから幼いころから頭突きをしていた可能性があるとしている。

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 この恐竜の仲間は成熟してから繁殖相手をめぐって互いに頭突きをして争っていたと考えられてるが、これまで頭部の骨以外はほとんど見つかっておらず、生態は謎に包まれていた。

 参加した福島県立博物館の吉田純輝副主任学芸員は、「謎の多い恐竜の生態の一端がわかった意味でも学術的に大きな成果だ。ぜひ皆さんに知ってほしい」と話した。

 頭突き恐竜の謎

 パキケファロサウルス類とは恐竜の中でも頭骨の硬い仲間で、堅頭竜類(Pachycephalosauria)ともいう。鳥盤目周飾頭亜目に属する恐竜の一群である。

 ほとんどが白亜紀後期、約8350万年~6550万年前の地層から産出しているが、ヨーロッパ産のヤベルランディアYaverlandiaのみが白亜紀前期の中ごろ、約1億2700万年前の地層から産出し、ステノペリックスStenopelixは白亜紀の初め、約1億4300万年前の地層から産出している。ほかに基盤的な仲間としては、ワンナノサウルスWannanosaurusやゴヨケファレGoyocephaleがあげられている。

 頭骨の上部が骨質で覆われていることを特徴とする鳥盤目の恐竜である。化石は堅い頭部しか見つからない場合も少なくないため、化石の残りにくい岩場に生息していたというのが通説である。頭部に関しては、メスをめぐる争いに使ったという説や、肉食恐竜からの防衛に使ったという説がある。

 異性をめぐる競争を通じて起きる進化のことを性淘汰という。バイソン、キリン、シカなど多くの動物で見られる進化だ。バイソンでは繁殖期には、オス同士が激しく突進しあって戦う。その衝撃は時に命を奪うほどだ。霊長類であるチンパンジーもなわばりを拡大するために、他の群れのオスを殺すこともある。しかし、どの種も繁栄したとはいえず、助け合うことを学んだ人類のみが繁栄している。



 

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