抹茶の値段が上昇中
世界的な抹茶ブームが巻き起こるなか、日本のお茶業界が転換を迫られている。日本人にとってなじみのある煎茶文化が将来的には消えるのではないか、という危機感も生まれている。
イギリスから来た観光客が「友達も皆好きで、抹茶飲みに行かない?」って感じ。「私の友達は皆、紅茶やコーヒーより抹茶のほうが好きです」
世界的に人気が急上昇している抹茶。価格が高騰し“抹茶バブル”が起きている。「抹茶の産地にもよるが(金額が)150%~200%ぐらい上がっている」 会社としては売り上げが上がる一方、手放しでは喜べない問題もある。「抹茶がすごい人気になりましたので、抹茶の原料である碾茶(てんちゃ)製造に切り替えるところも出てきた。それによって煎茶の生産量が少し減っている」

抹茶の原料である碾茶は、茶葉を摘む前の2週間から20日間黒いシートをかぶせ日光を遮断し育てる茶葉。手間はかかるが、それでも煎茶の製造から碾茶の製造に切り替える農家が急増。京都では碾茶と煎茶の生産量の差が大きく開くなど、多くの日本人に親しまれている煎茶がピンチに。
碾茶(抹茶原料)価格の爆発的な高騰により、碾茶の生産が増加する一方で、「煎茶」や「番茶」の生産が大幅に減少している。
抹茶と緑茶の違い
同じチャノキから作られるお茶ではあるが、緑茶では摘み取る直前までたっぷりと日光を浴びた茶葉を使用する。一方の抹茶については、碾茶(てんちゃ)と呼ばれる茶葉を使用する。
碾茶とは摘み取り前に、少なくとも20日以上被覆をして直射日光を避けて栽培した茶葉のこと。濃厚な旨みが特徴の玉露で使う茶葉も、碾茶同様の育て方をする。こうすることで、葉は柔らかく、味わいも苦みや渋みが少なくなるほか、色についても鮮やかで濃くなる。
緑茶は茶葉を摘み取った後、すぐに蒸す工程を加えることで、茶葉の持つ酵素の働きを止める。(蒸す方法が一般的だが、釜で炒る方法もある)その後、乾燥させたり揉んだりという工程を加えた後、形を整えて製品にする。この揉む、という工程によって、葉の表面に傷がつき、お茶の味が浸出しやすくなる。
一方の抹茶については、20日以上被覆栽培をした茶葉を摘み取り、蒸すことによって酵素の働きを止める。ここまでは煎茶と同様の流れだが、その後、茶葉を揉む、という作業を行わない。揉まずに乾燥させたのち、石臼で挽いて粉末状にする。
揉まない理由は、その後石臼で挽くから必要がない、というシンプルなものだが、茶葉を揉まないので、揉むうちに針のように尖っていく玉露やかぶせ茶と違い、碾茶の茶葉は平べったい形をしている。
味わいや香り、成分の違い
緑茶は摘み取った後の茶葉をすぐに加熱して酵素の働きを止めている。こうすることで、茶葉の持つフレッシュな風味を閉じ込めている。渋みも多少あるが、うまみとのバランスが取れており、飲みやすさが特徴だ。
一方の抹茶は、濃厚な旨味とまろやかな甘みが特徴。緑茶に比べると苦みがあるが、深いコクが特徴で、爽やかさとまろやかさを兼ね備えている。色味は上級品になるほど鮮やかな緑色になる。
抹茶は、緑茶に比べて栄養成分が豊富に含まれているという点で、注目されている。特に、ルテインやビタミンKといった、緑茶には少ない栄養素を多く含んでいることが特徴。
そのほかの栄養成分については、煎茶と大きな違いはないが、大きく異なる点としては、お湯で煮出す煎茶と異なり、茶葉をそのまま摂取できることにある。
茶葉に含まれるカテキンやテアニンのほか、水に溶けにくいB-カロテンやビタミンA、E、K、食物繊維などの栄養素を余すところなく摂取することができる。
抹茶は、緑茶の葉全体を細かく粉末にしたもの。そのため、緑茶を淹れる際に捨てられてしまう葉脈部分まで摂取することができる。葉脈部分には、ルテインやビタミンKなどの栄養素が豊富に含まれているため、抹茶の方が栄養価が高いと言える。
抹茶に含まれる主な栄養素と効果
ルテイン:目の網膜に多く存在し、ブルーライトから目を保護する働きがあります。老眼や黄斑変性予防に効果が期待されている。
ビタミンK:骨の健康維持に不可欠な栄養素。骨の形成を促進し、骨粗しょう症予防に役立つ。
カテキン:抗酸化作用が高く、生活習慣病予防に効果が期待されている。
テアニン:リラックス効果があり、ストレス軽減や睡眠の質向上に役立つ。
抹茶はカフェイン量が多い
また、抹茶はカフェインを多く含んでいる点も特徴。もちろんカフェインは煎茶にも含まれているが、抽出される1杯当たりのカフェイン量は意外と多くない。
一方の抹茶は煎茶と異なりカフェイン含有量が多い新芽を使っていることが多いことや、煎茶と異なり茶殻をそのまま摂取できることから、カフェイン含有量が煎茶の3倍程度と高くなる。
近年カフェインの過剰摂取の危険性について報じられることも多いが、カフェイン自体には、集中力を高めたりリラックスさせるなど良い効果もたくさんある。カフェインの一日の最大摂取量は400mgといわれており、煎茶ならば20杯、抹茶ならば8杯程度となる。
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