太陽光発電の環境破壊

 最近太陽光発電についていくつか問題を感じる。日本の国の太陽光発電に関する主な方針は、「第7次エネルギー基本計画」に基づき、2040年度にはエネルギーの主力電源として太陽光を含む再生可能エネルギーの割合を4割~5割に拡大すること。

 また、2030年度までに設置可能な建築物の約50%に太陽光発電設備を設置することを目指し、次世代太陽電池であるペロブスカイト太陽電池の普及も目指している。

 2040年までに、日本発の軽量・柔軟なペロブスカイト太陽電池の国内導入20GW、海外導入500GW以上を目指している。2050年までにカーボンニュートラルを達成するという目標に向け、脱炭素化と経済成長を両立させる政策だ。

 しかし、太陽光発電を増やしていく過程でいくつか問題が出ている。「日本の美しい自然が怒涛の勢いで破壊されている」野口健氏が北海道の釧路市内に太陽光発電施設、いわゆるメガソーラーの建設ラッシュが相次いでいる問題について、登山家の野口健氏がXで警鐘を鳴らした。

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 釧路市は6月にメガソーラーの設置を望まないとする「ノーモアメガソーラー宣言」を打ち出し、9月には建設を許可制とする条例案を提出した。環境省は9月、太陽光発電の地域共生のあり方を考える関係省庁の連絡会議を立ち上げた。

 中国政府による人権弾圧問題

 東京都は太陽光パネルの設置義務化を目指している。義務付けの対象はハウスメーカー等の住宅供給事業者などだ。

 だが太陽光パネルはいま問題が噴出しており、人権、経済、防災などの観点から、この義務化には多くの反対の声が上がっている。人権問題に関する部分を見てみよう。

 現在、世界の太陽光パネルの8割は中国製、半分は新疆ウイグル製と言われている。国際エネルギー機関の7月の報告によれば、中国製のシェアは今後更に上がり、95%にも達する見込みだ。

 他方で、新疆ウイグル自治区における少数民族へのジェノサイド・人権弾圧の証拠は、国際社会が認めるところとなり、ますますはっきりしてきている。先進諸国は軒並みジェノサイドを認定し非難決議をしている。国連においても、人権高等弁務官事務所が「深刻な人権侵害が行われている」などとした報告書を8月末に公表した。

 強制労働(ジェノサイドの一部)と太陽光発電パネル製造の関係もはっきり指摘されている。米国では、ジェノサイドを問題視し、新疆ウイグル自治区で製造された部品を含む製品は何であれ輸入を禁止するウイグル強制労働防止法を6月21日に施行した。

 現状において、東京都が太陽光パネルを都民に義務付けるならば、それは事実上、ジェノサイドへの加担を義務づけることになる。だがこれは私たち都民の望むところではない。

 都議会第3回定例会は29日、一般質問を行い、小池百合子知事は、一戸建て住宅を含む新築建築物への太陽光発電パネルの設置義務化に関連し、パネルが中国による人権侵害が指摘される新疆(しんきょう)ウイグル自治区製が多いとされることについて「企業の責任ある人権尊重への継続的な取り組みを促進することが重要だ」との認識を示した。

 知事は、国が策定したガイドラインを踏まえ、パネル製造業者に適正な取り組みと情報公開を促していく意向を示し「人権問題がグローバルなサプライチェーン(供給網)での課題であるとの認識のもと、各国の状況を注視し、SDGs(持続可能な開発目標)を尊重した事業活動を促進していく」と述べた。

 都は太陽光パネルの設置を義務付ける関連条例改正案を今年12月の定例会に提出し、令和7年4月の施行を目指している。

 つまり東京都はハウスメーカーには「人権尊重」を求めている。これは新疆ウイグル自治区の製品・部品は使うな、ということだ。だが、太陽光パネルの世界市場の95%が中国製になる見通しだ。

 そして中国製の製品販売者に「新疆ウイグル自治区での強制労働に関わっていない証明」など求めても、そんな証明書が出てくるだろうか。あるいは、信用できるだろうか。何しろ、中国の太陽光パネル生産の半分以上は新疆ウイグル自治区である上に、中国は強制労働の存在自体を認めておらず、「完全な嘘」としているからだ。

 すると世界シェアの僅か5%のパネルを国際的な争奪戦で競って買うことになるから、太陽光パネルの価格は暴騰するだろう。「建築主は損をしない」という東京都の説明は前提が完全に崩壊する。

 太陽光発電とウイグル問題の関係とは、中国の太陽光パネルの多くが新疆ウイグル自治区で生産されており、そこではウイグル族への強制労働が行われていると指摘されていることである。このため、米国や欧州ではウイグル自治区産の製品の輸入を禁止する法律が施行され、太陽光パネルのサプライチェーンに影響が出てくるだろう。