トランプ大統領が国連で演説し、国連の機能不全を訴える

 トランプ米大統領がこのほど、ニューヨークで開かれている国連総会で一般討論演説を行った。

 トランプ氏の国連演説は、第二次政権発足後では初めてで、6年ぶりとなる。演説前には、トランプ氏夫妻が乗った瞬間にエスカレーターが停止したことや、演説の原稿を映すプロンプターが故障したことが話題を呼んだ。

 トランプ氏は1時間にわたり、戦争や気候変動、移民問題といったさまざまな観点を挙げて、「国連は機能していない」と訴えた。主要メディアは「自身の成果をアピールした」「持論を展開した」などと批判的に報じているが、演説の中身をつぶさに見れば、トランプ氏の主張がいかに「正しい」ことであるかが分かる。

 国連は第二次世界大戦の戦勝国のつくった集まりであり、その戦勝国もさまざまな思想で成り立っている。国連で絶対的拒否権を持つ常任理事国に、日本のような敗戦国が入ることは永遠にない。例え日本に正義があっても、他の国の正義にぶつかれば潰されてしまう。

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 だが、米国のような常任理事国は違う。トランプ氏はまず、「7つの戦争を終わらせた」と言う(カンボジアとタイ、コソボとセルビア、コンゴとルワンダ、パキスタンとインド、イスラエルとイラン、エジプトとエチオピア、アルメニアとアゼルバイジャン)。しかし、国連はそれらの停戦の合意を手助けしてくれなかったとした上で、次のように指摘した。

 「国連には非常に計り知れない可能性があるが、それに全く応えていない。彼らがやっていることは、『非常に強い言葉でレターを書くが、その後、一切フォローしないこと』のようだ。空虚な言葉では戦争は解決しない。戦争を解決できるのは行動だけだ」

 そして、「これらの功績に対して、ノーベル平和賞を受賞すべきだというが、私にとっての真の功績は、『何百万もの人々が終わりのない戦争で殺されることがなくなり、両親と共に成長していく息子や娘たち』だ。私が大切にしているのは、賞の受賞ではなく、命を救うことだ」と続けた。

 またトランプ氏は、国連が解決すべき問題を解決していないばかりか、新たな問題をつくり出しているとして、「制御不能な移民問題」と「気候変動問題」を挙げた。

 移民問題と気候変動問題

 移民問題については、「国連は、アメリカに侵入しようとする不法移民を支援し、食糧や避難所、移動手段やデビットカードまで提供している」と厳しく批判。ヨーロッパは不法移民によって破壊され、深刻な危機に瀕していると指摘しました。

 気候変動問題についても、「これは『政治的に正しい発言』ではなく、散々批判されるだろうが、私は真実を語るためにここにいる」と述べた上で、次のように訴えます。

 「かつては『地球寒冷化』が叫ばれ、対策を講じなければならないと言われていたが、今度は『地球温暖化』が世界を破滅させると言われている」「気温が下がろうが上がろうが、気候変動になる。これは世界で行われた最大の詐欺だ」「この環境詐欺から逃れなければ、あなたがたの国は亡びるだろう」

 さらに「ヨーロッパは、多くの工場が閉鎖され、雇用を失いながら、二酸化炭素を37%削減した。しかし、これだけの犠牲を払ったにもかかわらず、世界全体で54%も増加してしまった。その多くは中国やその周辺諸国によるものだ」とし、「無慈悲なグリーンエネルギー政策の主な影響は、環境を護ることではなく、『非常識な規則に従う先進国から、規則を破って儲けている汚染国に、製造業や産業活動を再分配していること』だ」と糾弾した。

 その他にも、注目すべき発言が多くある。例えば、「生物兵器の開発禁止」に言及し、「ほんの数年前、海外での無謀な実験が壊滅的な世界的パンデミックを引き起こしたが、その世界的な大惨事にもかかわらず、多くの国々が生物兵器や人口病原体に関する極めて危険な研究を続けている」と主張した。

 これがコロナについての言及であることは明らかだ。トランプ政権は「コロナの起源は中国の武漢ウィルス研究所である」と発信し、トランプ氏自身も「チャイナウィルス」と名指しで批判し、世界保健機関(WHO)からも脱退を表明している。今回の発言も、中国の責任を追及しようとしない国連を暗に批判しているとも言える。

 今回の演説は、世界を覆っている間違った"常識"を真っ向から打ち砕く、まさにトランプ氏を象徴する内容だった。

 真実を語るも…国連は常任理事国第一主義

 気候変動に代表されるように、誰もが「政治的正しさ(ポリティカル・コレクトネス)」に抑圧されて「本音」を言い出しづらい中、トランプ氏は「真実を語るためなら批判を恐れない」という姿勢を示した。これだけ力強いリーダーシップを発揮できる首脳は、今の世界を見渡してもトランプ氏くらいだ。

 特に、国連がもはや機能していないという指摘は的を射ている。大川隆法・幸福の科学総裁は、「国連の常任理事国はアメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシアの五カ国だが、中国とロシアが常に問題になるので、この制度も作り直さなければ駄目。第二次世界大戦の終戦当時は機能していましたが、現在では機能しておらず実効性もないので、国連を改革しなくてはいけない」と指摘。トランプ氏の守護霊も、「国連はもう形骸化して、無力化して、ただの"金の無駄遣い"になってしまっている」と語っている。

 中国が引き起こしたコロナ・パンデミックや、ウクライナ戦争をめぐる混乱ぶりを見ても、各国の共通の価値観がないために意見がまとまらず、国連が機能不全に陥っていることは明白である。

 国連とは対照的に、トランプ氏は"空虚な言葉"を並べるのではなく、実際に「行動」に移してきた。「アメリカ・ファースト(アメリカ第一主義)」を唱えることで、「自国中心」「孤立主義」などと批判されてきたが、争いを止め、間違った価値観が広がるのを防ぐために、誰よりも世界のために奔走しているのがトランプ氏。それは、同氏の守護霊が語るように、アメリカ・ファーストの真意が「世界に責任を持つ」ことであるからに他ならない。

 トランプ大統領も理解している「それぞれの国の違い」

 トランプ氏は演説で数々の批判を展開しながらも、最後には、各国の「愛国心」に訴えかけるかのように、こう語った。

 「私たち一人ひとりは、勇敢に道を示してくれた英雄や建国の父たちの偉業、神話、勝利、遺産を受け継いでいる。祖先たちは祖国のためにすべてを捧げ、誇りと汗と血と命と死をもって祖国を守り抜いた。今、彼らが築いた国家を守るという正義の使命は、私たち一人ひとりにかかっている。共に、国民への神聖な義務を果たしていこう」

 世界には様々な国があり、自由資本主義、共産主義、社会主義、様々な考えのもとで国が成り立っている。中には宗教を弾圧する国さえある。そんな国々が集まっているのが国連である。その中で全員一致で答えを出そうとするのが難しい。しかし、人道的正義の観点から、もう少し強制力を持たないと存在意義がない。

 SDGsの観点は、人の理想を様々な項目で唱いあげた、大変素晴らしいものだが、それが大国の主張で押し潰されていくのを何度も何度も目の当たりにしている現代。そんな中で国連がリーダーシップを取れないのは、国連がお題目は立派だが、世界正義の観点を持たない情けない集まりであると言わざるを得ない。

 明るく美しく平和な地球は、皆で力を合わせれば必ず実現する──こうした言葉で締めくくられた今回の演説を聞けば、メディアが映し出す姿とは全く違った「トランプ像」が見えてくる。それは信仰者としての姿だ。信仰心がなければ大勢の人の前で世界正義を述べることは難しいのではないだろうか。例えば中国の国家主席がこのような発言をすることは絶対にない。宗教を弾圧する国だからだ。

 国際連合はなければ困る集団

 国際連合とは、第二次世界大戦の反省から、世界の平和と経済・社会の発展のために協力することを目指して1945年に設立された国際機関である。本部はニューヨーク市にあり、加盟国は193カ国。主な目的は、国際平和の維持、国家間の友好関係の発展、国際問題の解決、そして人権尊重の促進である。
 安全保障理事会では、国際の平和と安全維持の主要な責任を負い、紛争の平和的解決を要請するなどの任務を行う。常任理事国5か国と非常任理事国10か国で構成される。 経済社会理事会では、経済的・社会的活動を調整し、総会や加盟国に勧告する。 国際司法裁判所では国家間の紛争を解決する。 事務局は国際連合の活動を管理・運営する。
 日本は1956年に80番目の加盟国として国連に加盟した。 現在も、安全保障理事会などの各種機関で活動し、国際社会の平和と発展に貢献している。
 国連はこれだけのお題目や機関があり、世界平和について世界的見地から唯一貢献できる、無いとなると困る国際団体だ。しかし、大きな問題点がある。

 敵国条項の問題

 国際連合は元々、第二次世界大戦の連合国が母体となってスタートしたものである。そのため国連憲章の53条には、第二次世界大戦で枢軸国側に立った国(特にドイツと日本)が侵略行動を行った場合には、安全保障理事会の議決に基づかずに強制行動がとれるという規定があり、また107条では旧敵国に対する行動については国連憲章に拘束されないという規定がある。

 この2条と敵国という語を含む77条については、1995年には国際連合総会決議50/52において敵国条項はすでに「死文化(become obsolete)」しているとされ、憲章改正の際には削除するという内容を含む決議案が三か国のみ棄権という圧倒的な賛成多数で採択されている。

 また2005年9月15日には国連総会特別首脳会合で採択された「成果文書」には「敵国条項の削除を決意する」という決議が採択されている。ただし、国連憲章改正には総会での3分の2以上の賛成および、常任理事国すべてをふくむ安全保障理事会3分の2以上の賛成、そして3分の2以上の加盟国による批准措置が必要であり、また常任理事国の追加問題なども絡んでいるために削除には至っていない。要するに反対する国が未だにあるということだ。

 常任理事国の拒否権の問題

 国際連合の中でも特に権限の大きい安全保障理事会での採決には常任理事国5カ国と非常任理事国10カ国との合同での採択で決定するが、常任理事国が拒否権を発動した場合、採択は全て否決される。

 今まで、東西冷戦時代等を中心に採択で常任理事国が拒否権を発動し否決された場合が数多くあり国連で拒否権の在り方が問題になっている。

 国際連合安全保障理事会常任理事国(アメリカ合衆国・イギリス・フランス・ロシア連邦・中華人民共和国)だけに認められた、自らの国の反対のみによって実質事項に関する安全保障理事会の決定を阻止出来る特権である。

 拒否権は大国の反対によって安全保障理事会の決定の実効性が失われるのを防ぐ事を趣旨とする大国一致の原則に基づくものであるが、賛否両論がある。

 拒否権支持派は、拒否権を国際的な安定の促進、軍事介入に対する牽制とみなしている。

 他方、拒否権批判派は、拒否権について「国際連合の最も非民主的な要素であり、常任理事国とその同盟国に対する国際連合の行動を事実上妨げるため、戦争犯罪や人道に対する罪への国際連合の不作為の主な原因となる」としている。

 国際連合の非常任理事国は、安全保障理事会を構成する10か国のこと。任期は2年間で、拒否権を持つ常任理事国(アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国)とは異なり、拒否権は持たない。

 現在の非常任理事国(2024~2025年任期)は以下の通り。 アルジェリア、ガイアナ、 韓国、シエラレオネ、スロベニア、日本、エクアドル、マルタ、モザンビーク、スイスである。