10月下旬はレモン彗星が日没後の空で見頃に

「レモン彗星(C/2025 A6; Lemmon)」が、夕方の空に出現するようになった。10月下旬に地球に最接近し、見頃を迎える。

 条件が良い所では双眼鏡を通して眼視でも見つけられるかもしれない。見える方向や時間帯はどうだろうか。

 レモン彗星(C/2025 A6)は今年1月に、アメリカのレモン山天文台での観測で発見された長周期彗星。太陽との最接近は11月8日(土)、地球との最接近は10月21日(火)だ。

画像

 方向と時間帯

 10月20日(月)頃までは明け方の東の空に昇るのが見られるが、15日(水)頃からは日没後の西〜北西の空に出現するようになってきた。今の時期は明け方と宵の両方に観測可能。

 これからの時期は、日の入りから30分以上経過して暗くなってきた18時前くらいから見え始める見込み。他の星と同じように沈んでいくので、19時くらいまでが観察のチャンス。

 同じ時間帯で比較すると、月末にかけて高度は日に日に高くなり、空が比較的暗い状況での観測が期待できるようになる。

 日の入りから1時間後の高度は20度前後で、19時をすぎると高度が10度以下になって観察が難しくなる。

 明るさ

 レモン彗星は10月下旬が最も明るく見える時期で、ピーク時の明るさは4等前後になりそう。ただ、他の恒星と比べるとぼんやりと見えるので、同じ等級でも少し暗めに感じるかもしれない。

 特に26日(日)前後は、空の明るさと彗星の明るさのバランスがよく、観測に一番適した時期になりそう。来月になると彗星が地球から離れていくため、見た目はだんだん暗く小さくなっていく見通しだ。

 彗星を観察するには

 20日(月)頃から11月はじめ頃にかけては、双眼鏡などを通してレモン彗星を眼視で観察できるかもしれない。ただ、尾を見たりするのは難しく、ぼんやりと彗星の存在がわかる程度になりそう。

 なるべく西の低い空がしっかりと開けた所で観察し、星図アプリなどで彗星の方向を確認し、うしかい座のアルクトゥールスなどを目印にして探してみよう。

 露光時間などが調整可能なカメラと望遠レンズ、三脚等が揃っている場合には、この前後の期間にも尾を引く彗星を写真に撮ることができそう。天体望遠鏡越しに、カメラで撮影する方法もある。

 10月中旬以降のレモン彗星は、夕方から宵の北西から西の空で見えるようになる。明るさは4等と予測される。りょうけん座からうしかい座、へび座へと移動し、21日の地球最接近の前後は日々の見かけの運動量が大きくなる。

 また、明け方の空ではおおぐま座の足先の星やりょうけん座の3等星コルカロリを、夕空ではうしかい座のアルクトゥールスや2等星イザール、かんむり座の2等星アルフェッカなどを目印にしてレモン彗星を見つけるとよい。

 明るさは4等前後?

 レモン彗星の光度は、10月中旬は5等前後、地球最接近の10月21日ごろには4等前後にまで明るくなると予想されている。尾の長さを含めてどのようになるかは不確実性が大きいので、ぜひ実際に観察して確かめよう。肉眼では見えなくても、双眼鏡を使えば長期間にわたって追いかけることができる。また、撮影対象としてはもっと長く楽しめるでしょう。

 10月は夕方から宵の空(西南西から南)にはスワン彗星(C/2025 R2)も見える。15日から20日ごろにかけて天の川を横断していき、撮影の好対象となる。レモン彗星よりは暗めだが、ぜひこちらにも注目して観察・撮影にチャレンジしてみよう。

 また、11月中旬ごろには明け方に史上3例目の恒星間天体「アトラス彗星」(3I/ATLAS)を観測できそう。光度は12~13等であるため、姿を捉えるには望遠鏡やカメラが必要だ。