夜空を見て思う素朴な疑問
夜空を見上げて不思議に思うことはないだろうか。この空に果てはあるのだろうか?なぜ夜は真っ暗なのだろうか?もし恒星が無数に輝いているならば、眩しいほどの光の夜(ホワイトホール)であっても不思議はない。
科学者たちはそれは宇宙が膨張しているからだという。遠ければ遠いほどその速度は光速を越えるスピードで膨張しており、そのため恒星があっても光が届かないのだ。
それでは宇宙は無限に広がっているのだろうか?…宇宙論研究者は、宇宙は有限だという。第一に、宇宙論の最良のモデルは、空間と時間に始まりがあったことを示している。「特異点」と呼ばれる原子以下の点だ。この高温高密度の点は、ビッグバンが起きたとき、急速に外側へと膨張した。
第二に、観測可能な宇宙は「事象の地平面」と呼ばれる境界に囲まれている。宇宙は超光速で膨張しているため、その先は観測不能な断崖絶壁だ。最良の望遠鏡でさえ到達できないほど遠すぎる領域がある。

特異点と事象の地平面という2つの要素は、ブラックホールの重要な特徴でもある。この重力のモンスターは宇宙のあちこちに潜み、ガスやちり、光を丸のみしている。
宇宙と同様、ブラックホールにも事象の地平面がある。その先は何も観測できず、特異点があると考えられている。おそらくそれが理由で、最近のいくつかの科学論文が、宇宙全体がブラックホールの中に存在する可能性を示唆している。
一般的な宇宙論からはやや外れるが、私たちはブラックホールの中で生きているという衝撃的な理論は決して、でたらめではない。
ブラックホール宇宙論の簡単な歴史
宇宙を理解する基礎となる数学は、ブラックホールを説明する数学と非常に似ている。どちらもアルベルト・アインシュタインの一般相対性理論に由来する。宇宙空間に存在する物体が時空の構造を曲げ、それが物体の動きを決定し、重力の仕組みを説明するという概念だ。偶然にも、観測可能な宇宙の半径は、私たちの宇宙と同じ質量を持つブラックホールの半径と同じだ。
一部の研究者はそれを理由に、宇宙がブラックホールの中にある可能性を提唱している。1970年代にその詳細を最初に練り上げたのが、理論物理学者ラージ・クマール・パトリア氏と同時代の数学者I・J・グッドだ。
約20年後、物理学者のリー・スモーリン氏がさらに一歩進んだ理論を提唱した。それによれば、私たちの宇宙で形成されるすべてのブラックホールは、内部に新たな宇宙を生み出す。それらの宇宙は私たちの宇宙と物理法則がわずかに異なる。こうして宇宙は次々と芽吹くように生まれて変異し、子宇宙を生み出す過程で「進化」する。スモーリン氏はこれを宇宙論的自然選択と呼んだ。
私たちの宇宙はブラックホールと正反対
これらの理論はいずれも主流になっていないが、多くの物理学者は依然として、ブラックホールと宇宙の概念的な関連性を認めている。「数学的には、両者は密接に関連しています」とペリメーター研究所の理論物理学者ガザル・ゲシュニスジャニ氏は言う。「両者はいわば正反対の存在です」
私たちの宇宙は特異点から始まったと考えられている。ビッグバン以前に存在した無限の密度を持つ点だ。対照的に、ブラックホールは特異点で終わる。あらゆるものが意味を成さなくなるほど押しつぶされるごみ処理場のような点だ。
ブラックホールの事象の地平面は、特異点を取り囲む球状の境界で、後戻りできない地点でもある。大衆文化ではしばしば、宇宙の掃除機のように描かれるが、実際のブラックホールは比較的穏やかな天体だ。宇宙船は安定軌道に入り、脱出もできる。ただし、事象の地平面を越えてしまうと、もう戻ることはできない。
私たちの宇宙の絶え間ない膨張が、同様の現象を引き起こしている。望遠鏡で宇宙を眺めると、遠くの天体が近くの天体より速く遠ざかっていくのが見える。非常に遠く離れたところでは、膨張が超光速で進行し、星や銀河は瞬く間に、宇宙の地平線のかなたへと消え去る。まるで裏返ったブラックホールの口へと飲み込まれていくかのように。
頭が痛くなってきた? 大丈夫。科学者にとって重要なのは、ブラックホールと宇宙のこうした表面的な関連性が、必ずしも両者が同一であることを意味しないという点だ。その飛躍を成し遂げるには、物理学者は、そうした考えがどのような観測可能な結果をもたらすのかを特定する必要がある。
宇宙がブラックホールの中にあるかどうか見分ける方法
では、もし私たちの宇宙がブラックホールの中にあるとしたら、観測可能な結果はどうなるのだろう? まず、宇宙にある種の自然な方向性が存在するはずだ。銀河が特定の方向に回転していたり、宇宙を満たすビッグバンの残留熱(宇宙マイクロ波背景放射)に微妙な軸が見られたりするだろう。
しかし、最良の測定によると、最も大きなスケールでは、宇宙はかなり反復的であることが示されている。物理学者はこれを「宇宙原理」と呼ぶ。宇宙に特別な方向性はなく、ほぼどこでも同じ状態だ。
ブラックホールの誕生からこうした均一性が生じる仕組みは、宇宙がブラックホールの中にあると主張する者にとって難題だ。ブラックホールは死にゆく星から生まれるが、この過程は混沌としており、均一とは程遠い。
ブラックホールの特異点の問題もある。その無限小の点は、ブラックホールに飲み込まれたあらゆる存在にとって運命的な最後の瞬間であり、急速に膨張する宇宙とは正反対の性質を持つ。
これらの問題によりよく対処するには、20世紀に最も成功した2つの物理学理論を統合する方法を考え出す必要がある。巨大な物体に適用される一般相対性理論と、微小な物質を対象とする量子力学だ。特異点は巨大な質量を持つ微小な点で、いずれの理論も単独では扱うことができず、両者を何らかの形で統合する必要がある。
多くの努力にもかかわらず、両者を統一した量子重力理論はまだ確立されていない。同じ理由で、ブラックホールの中で何が起きているのか、あるいはビッグバン以前に何が存在したのかを正確に知ることはできない。
とはいえ、こうした可能性を探ることは興味深く、新たな発見につながるかもしれないという点で、宇宙論研究者の意見は一致している。もしかしたら、現在の宇宙モデルを見直す理由が見つかり、宇宙は本当にブラックホールの中にあると気づくかもしれない。

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