シラスウナギが大豊漁
今年は黒潮の流れがが正常に戻った影響か豊漁が続いている。北海道函館ではイカが取れすぎてスルメイカ漁が休止になった。水産庁が管理する2025年漁期の総漁獲可能量(TAC)を全国で超えたための措置で、TACの上限超過による休漁は初めてだという。
ニホンウナギの稚魚が5年ぶりの豊漁だ。九州や四国で前年度の2倍以上とれているほか、日本向けの輸出が多い中国でも漁獲好調だという。「白いダイヤ」とも呼ばれる高額な稚魚の価格は、足元で前年度平均と比べ7〜8割安い。
鹿児島県では4月、シラスウナギ(ニホンウナギの稚魚)の2024年度の漁獲量が2492・3キロだったと発表した。前年度(767・7キロ)の3.2倍で、34年ぶりに2千キロを超える大豊漁になった。県の担当者は中国や国内の他産地でもとれている。孵化した稚魚がうまく海流に乗ったのではないかとみている。

県によると、漁獲量が1千キロを超えたのは08年度(1586キロ)以来16年ぶり、2千キロを超えたのは1990年度(2321キロ)以来。長期的には1974年度の3449キロをピークに減少傾向が続いており、18年度には136キロまで落ち込んでいた。
ニホンウナギは、2014年に国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに絶滅危惧種として掲載され、親ウナギの禁漁期間などの資源管理策がとられている。
ウナギ「全種規制へ」勧告
絶滅の恐れがある野生生物の国際取引を規制するワシントン条約を巡り、欧州連合(EU)が、食用のニホンウナギを含むウナギ類全種を規制対象とする提案を準備していることが10月23日、関係者への取材で分かった。11~12月にウズベキスタンで開かれる第20回締約国会議で仮に提案が認められれば、日本で消費するウナギの輸入や流通に影響が出る可能性がある。
EUはニホンウナギやアメリカウナギ、東南アジア産のビカーラ種など亜種を含めた全19種類を輸出国に許可書の発行を義務付ける方針だという。生きた稚魚のシラスウナギや成魚だけでなく、かば焼きなどの加工品も対象になる。
野生動植物の過剰な国際取引を規制するワシントン条約の事務局は10月15日、食用のニホンウナギを含むウナギ全種を国際取引の規制対象にすべきだとした欧州連合(EU)などの提案について「採択を勧告する」との最終評価を公表した。
11〜12月にウズベキスタンで開かれる締約国会議で投票国の3分の2以上が賛成して採択されれば、輸出が許可制となり、日本で価格が上昇する可能性がある。
日本のウナギ消費量は世界最大規模。かば焼きなどで食べる「養殖ウナギ」はほぼ全てが稚魚のシラスウナギを育てたもので、多くを輸入に頼っており、規制強化は養殖にも影響が出そうだ。
絶滅危惧種の保護か食糧の確保か
日本は「十分な資源量が確保され、国際取引による絶滅の恐れはない」として提案に強く反対する。共同で資源管理する中国や韓国と連携して否決を目指す。
EUとホンジュラス、パナマが規制強化を提案。カナダやケニアは規制に前向きで、米国は反対を表明している。ロシアは十分なデータがないと慎重な姿勢だ。
ワシントン条約は規制対象となる動植物を「付属書」に掲載する。現在、ウナギではヨーロッパウナギのみ規制対象になっている。取引は可能なものの輸出国の許可書が必要な「付属書2」の対象で、許可を乱発する国などは、事務局から取引停止勧告を受ける可能性もある。
事務局は違法に漁獲されたヨーロッパウナギが、ニホンウナギやアメリカウナギとして取引される「ロンダリング」が横行していると指摘する。全種を「付属書2」に含めればロンダリングを減らし、適切に取り締まることができると結論付けた。養殖も野生の稚魚の捕獲に頼っていると問題視した。
ウナギは密漁や違法取引でどれだけ減っているのか正確に把握するのが難しく、流通の実態もよく分かっていない。
ワシントン条約は、絶滅の恐れのある野生動植物の国際取引を規制し、生物の多様性を保全することを目的とした国際条約。正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」で、正式名称のイニシャルをとって「CITES(サイテス)」とも呼ばれる。この条約は1973年にアメリカのワシントンD.C.で採択されたため、ワシントン条約という通称で広く知られている。
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