中国 有人宇宙船「神舟21号」打ち上げ 3人宇宙ステーションへ

 中国は独自の宇宙ステーションに宇宙飛行士を送り込むため、有人宇宙船「神舟21号」を打ち上げた。日本時間の11月1日午前0時40分すぎ、中国・内陸部にある酒泉衛星発射センターから打ち上げられた。

 3人の宇宙飛行士が搭乗し、2022年に完成した中国独自の宇宙ステーション「天宮(てんきゅう)」とドッキングしたあと、現在「天宮」に滞在している宇宙飛行士と交代するという。3人は宇宙ステーションに半年間滞在し、無重力空間でのマウスを使った実験のほか船外活動も行う予定。


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 中国政府は世界の宇宙開発をリードする「宇宙強国」の建設を掲げ、年2回のペースで有人宇宙船の打ち上げを続けていて、独自の宇宙ステーションの運用実績を積み重ねている。

 さらに、アメリカが主導する国際月探査プロジェクト「アルテミス計画」に対抗する形で、2030年までの有人での月面着陸も目指していて、宇宙開発をめぐる米中の競争が激しさを増している。

 中国宇宙ステーション「天宮」

 天宮は天帝の住む宮殿に由来する名称で、中国は独自の宇宙ステーション計画として2011年の天宮1号、2016年の天宮2号の2機の試験機の後、2022年に完成形となる中国宇宙ステーションを建設した。

 中国は2003年に神舟5号によって有人宇宙飛行を、2008年には神舟7号によって宇宙遊泳を成功させた。次いで、かつてのアメリカのスカイラブ計画、ソ連のサリュート計画と同様に中国独自の宇宙ステーション保有を目指すようになった。

 しかし本格的な宇宙ステーションの実現にはまだ技術的な課題が多かった。中国は2008年までに有人宇宙船および船外活動技術を実現しているが、加えて大型打ち上げロケットの開発、宇宙船同士のランデブー・ドッキング技術、物質の循環を伴う長期運用可能な生命維持システム、そして物資の補給船といった技術の習得が不可欠であった。中国はこれらを10年の歳月をかけ、小規模の試験機を通じて1つずつ技術を蓄積していく道を選んだ。

 2011年に9月より試験機の打ち上げを始め、2022年に完成形となる宇宙ステーションの建設を完了した。打ち上げには新規開発の長征5号が使われているが、開発遅延により長征5号の運用は2016年から始まった。試験機である天宮1号の打ち上げには長征2号FT1ロケットが、天宮2号の打ち上げには長征2号FT2が使われた。

中国、「宇宙強国」への野望
寺門 和夫
ウェッジ
2017-02-21