ラグランジュ点にあるトロヤ小惑星群
トロヤ群小惑星というと、木星の軌道上にある多数の小惑星群と思っていたが、正確にはそうではないらしい。
正確には「ある惑星の公転軌道上にあり、太陽と惑星を結ぶ線に対して60度離れた位置に分布するもの」である。この60度の角度が重要で、この角度の場所をラグランジュ点という。天体力学的に安定なラグランジュ点はL1〜L5まで全部で5つあり、L4とL5付近のことをいう。
ラグランジュ点は、二つの天体系から見て第三の天体が安定して滞在し得る位置座標点である。ラグランジュ点において第三の天体は、二つの天体から受ける重力と慣性力(遠心力)の釣り合いが取れており、外力による加速を受けない。
ラグランジュ点は5つあり、5つすべての平衡解(座標点)を解析的に発見したジョゼフ=ルイ・ラグランジュにちなんで命名されている。
木星には確かにトロヤ群小惑星は多く100万個以上あると予想されている。また、進行方向60度前方(L4)のものはギリシャ群、進行方向60度後方(L5)のものはトロヤ群と呼び区別されている。
太陽系の他の惑星にも、水星以外にそれぞれトロヤ群小惑星が発見されている。ただ、その数は木星に比べ少ない。
2010年地球のトロヤ群小惑星、初めて見つかる
地球と重力でゆるやかにつながっている小惑星が、実は地球のトロヤ群小惑星であることがこのほど初めて確認された。
トロヤ群小惑星は、別の天体の前方または後方の、重力的に安定した領域に位置する天体だ。そのような位置にあるため、2つの天体は同じ軌道を共有しながらも、決して衝突することはない。
トロヤ群小惑星は、これまでに木星、海王星、火星の軌道上で見つかっており、土星にはトロヤ衛星のグループがいくつか存在する。
今回見つかった地球のトロヤ群小惑星は、直径約300メートルで、地球の約8000万キロ前方L4に位置する。
「この小惑星は、地球の公転軌道と同じ軌道で太陽の周りを回っており、地球の重力にある程度支配されているが、それ以上に太陽の重力に支配されている」とカナダ、アサバスカ大学の天文学者で、今回の小惑星発見に関わったマーティン・コナーズ(Martin Connors)氏は話す。
2020年観測史上2個目地球のトロヤ群小惑星発見
2022年2月、スペイン、アリカンテ大学/バルセロナ大学のToni Santana-Ros氏らの研究チームは、小惑星2020 XL5が、地球のトロヤ群小惑星であることを確認したとする研究を発表した。
地球などの惑星と太陽との間で、重力のバランスが取れて安定する「ラグランジュ点」と呼ばれる場所がある。惑星の公転軌道上で、惑星の進行方向の前後60度離れたところにもラグランジュ点はあり、前方が「第4ラグランジュ点(L4)」、後方が「第5ラグランジュ点(L5)」と呼ばれる。L4やL5にあるのがトロヤ群小惑星だ。
トロヤ群小惑星は、木星では多数見つかっており、2021年にはNASA(アメリカ航空宇宙局)が木星のトロヤ群小惑星に向けて探査機「ルーシー」を打ち上げた。一方、地球ではこれまでトロヤ群小惑星は1つ(2010 TK7)しか見つかっていなかった。
研究チームはアメリカのローウェル天文台にあるディスカバリーチャンネル望遠鏡や、南米チリのセロ・トロロ汎米天文台にあるSOAR望遠鏡などを使い、2020 XL5の観測を行った。その結果、2020 XL5がL4にあるトロヤ群小惑星であることを確認、直径1km程度であり、2010 TK7(0.3km)の3倍ほどの大きさであることを明らかにした。また2020 XL5はC型小惑星であるとみられている。
ただ2020 XL5は、ずっとL4にとどまっているわけではない。研究チームでは、今後4000年間はL4にとどまるが、いずれ宇宙空間へ脱出していくだろうとみている。
太陽-地球系のラグランジュ点。ラグランジュ点は5つあり、2020 XL5はそのうちのL4に位置する。
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