パンスぺルミア

 パンスペルミア説は、地球上の生命の起源は宇宙からやってきたという仮説。微生物や、生命の種子となる有機物が隕石や彗星などに付着して地球に到達し、最初の生命の元となったと考えられている。これは「汎種仮説」や「宇宙播種説」とも呼ばれている。

 生命の起源は、地球上で独自に誕生したのではなく、他の天体で誕生した生命(微生物など)やその種子が、宇宙空間を旅して地球に到達したとする考え方である。

 「パンスペルミア」の意味: ギリシャ語で「pan(すべて)」と「sperma(種子)」を意味する言葉に由来し、「宇宙に遍く種子(生命の素)をまく」という意味になる。

 微生物の胞子や、DNAの断片、有機物などが、隕石、彗星、惑星間チリなどに付着して運ばれると考えられている。スウェーデンの物理化学者スバンテ・アレニウスが、微生物の胞子が光圧で惑星間を移動するという説を提唱した。

画像

 確かに1969年に落下したマーチソン隕石からアミノ酸が発見されたように、宇宙には生命の材料となる有機物が存在することが確認されている。生命のもとになるものは宇宙から飛来したというのは自然な考え方だと思う。

 細菌やクマムシなどの実験によって、微生物が急激な凍結乾燥(フリーズドライ)といった宇宙空間の過酷な環境でも生存できることが確認されている。

 よく、パンスペルミア説は「生命がどのように誕生したかという問いに直接的に答えていない」という反論があるが、それはおかしいと思う。この説では生命が「どこで生まれたか」という起源を宇宙に求めていて「どうやって誕生したか」という問いには答えるものではない。すでに宇宙は生命の元で満ちているのに、地球に発生起源を求めるのは、天動説を正しいというかの如く愚かしい。

 NASAの探査機が持ち帰った小惑星の砂から6種類の糖を検出

 アメリカ航空宇宙局(NASA)の探査機が地球に持ち帰った小惑星の砂から6種類の「糖」を検出したと、日本などの国際研究グループが発表した。見つかった糖のうち「リボース」はRNAを構成する分子で、研究グループは、宇宙に生命の材料となる糖が存在し、地球に降り注いでいたことを示す結果だという。

 日本とアメリカの国際研究グループは、NASAの探査機が太陽系の小惑星「ベンヌ」から地球に持ち帰った砂などのサンプルのうちおよそ0.6グラムを分析し、6種類の糖を検出した。

 このうち、「リボース」は遺伝情報を伝えるRNAを構成する分子で、「グルコース」は生命のエネルギー源となる分子として知られている。

 研究グループによると、この小惑星のサンプルからは、これまでに、たんぱく質の材料になる「アミノ酸」や、DNAとRNAに使われる5種類の「核酸塩基」が検出されていたが、糖が検出されたのは初めてだ。

 一方で、こうした糖の一部は地球上に落下した隕石(いんせき)からも検出された例がある。こうしたことから研究グループは、宇宙に生命の材料となる物質が存在し、それらが隕石によって地球にもたらされたという仮説を強く裏付ける結果だとしている。

 研究グループの東北大学大学院理学研究科の古川善博准教授は「宇宙から生命の材料が来ていたことがより確実になった。宇宙から来た材料で生命ができたのか、地球での化学反応で生命の材料ができたのかはまだ分からず、さらに研究していきたい」と話している。

「生命の起源」の元となる物質は宇宙から?それとも地球?

「生命の起源」の元となる物質が宇宙から来たのか、それとも地球でできたのかは、今も議論が続いている。

 惑星科学に詳しい東京科学大学地球生命研究所の関根康人教授は、「地球外から来た材料物質が生命の誕生にどれぐらい寄与したのかは現時点ではっきりとは分からない」としている。

 関根教授によると、生命の起源の元となる物質が原始の地球にどれくらいあったのかは当時の大気の化学組成によって大きく変わってくるという。

 大気の組成が生命の材料物質ができるのに適さなかった場合は、隕石などによる地球外からの材料物質の供給が相対的に重要になるとしている。

 関根教授は小惑星のサンプルから糖を検出した今回の研究成果について、「われわれの生命の元となるもののでき方、生命のレシピを明らかにする研究をこれからやる必要がある」と話している。