鮮やかな黄色い帯の新種ハゼ

  黄色が鮮やかな新種のハゼが発見された。その鮮やかな黄色から、スーパーサイヤンと名づけられたその魚は、沖縄県石垣島のトワイライトゾーンで発見されたという。

 嘘のような話だが、本当だ。スーパーサイヤンは漫画「ドラゴンボール」のキャラクター「スーパーサイヤ人」から。「トワイライトゾーン」はテレビ番組の題名で「異次元の世界」を意味するが、もう一つの意味は「光がギリギリ届く深海」。

 沖縄県自体、本土とは違う雰囲気を持つ「異次元の世界」だからまさにピッタリの命名だ。

 釣り上げたのは生物系ライターの平坂寛さん。母校の琉球大学で同期だった小枝圭太・同大助教に知らせると「ヤツシハゼ属の新種では?」。研究の結果、他の特徴もあり新種と判明した。

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 ヒレの模様が人気漫画「ドラゴンボール」のキャラクターを思い起こさせるとして、その名をヒントに「Vanderhorstia supersaiyan(バンダーホルスティア・スーパーサイヤン)」と命名。標準和名は、体から放電するように見える模様をもとに「エレキハゼ」を提唱した。

 こんなに面白い姿の魚が、発見されていなかったなんて意外だ。「沖縄のトワイライトゾーンに、まだまだ未発見の未記載種や希少種が多くいる可能性が高い」と研究グループはいう。

 琉球大と黒潮生物研究所で研究グループを構成。成果は日本魚類学会の英文誌「イクチオロジカルリサーチ」に先月27日に掲載された。

 沖縄のトワイライトゾーンは謎だらけ

 沖縄島および八重山諸島近海の水深100~300 mには、わずかな光のみが届く「トワイライトゾーン」が広がっている。この環境の魚類相については、トロール漁業がおこなわれていない沖縄県においてはとりわけ分かっていることがない。近年、続々と新種や希少種の発見が相次いでいた。

 沖縄のトワイライトゾーンの魚類多様性を明らかにすることを目的として、これまで琉球大学理学部海洋自然科学科生物系の小枝 圭太 助教と同生物系で学生時代を同期として過ごした卒業生の平坂 寛 氏らによる共同調査が進められてきた。

 2022年に平坂氏が石垣島沖のトワイライトゾーンで釣り調査を実施し、鮮やかな色のハゼの仲間を釣りあげた。この写真を小枝助教に送付したところ、「ヤツシハゼ属(Vanderhorstia)の新種の可能性が高い」として、その日のうちに大学に持ち込まれ研究用標本となり、研究がスタートした。

 琉球大学理学部らの共同研究チームはヤツシハゼ属の新種を発見し、このハゼの外観から「Vanderhorstia supersaiyan(ヴァンダーホルスティア・スーパーサイヤン)」と命名した。この新種のハゼは平坂氏が石垣島沖のトワイライトゾーンから釣りによって採集し、琉球大学の小枝研究室に持ち込んだことで新種であることが分かった。

 ヤツシハゼ(Vanderhorstia)の仲間には浅海に生息する種から水深123 mの深場に生息する種まで33種がこれまで知られていましたが、今回平坂氏によって採集された個体は水深210 mと非常に深い場所から得られた。

 これまでに知られているヤツシハゼ属の他種と比較すると、鰭に鮮やかな黄色の帯があることをはじめとする多くの色彩の特徴が全く異なっている。また、鱗の枚数や各部位の長さなど形にも多数の違いが確認された。

 背鰭から尾鰭、臀鰭にいたる黄色い帯が人気漫画「ドラゴンボール」シリーズに登場するスーパーサイヤ人(英:Super Saiyan)を彷彿とさせることから、この魚を新種Vanderhorstia supersaiyanと命名した。また、日本語の名称(標準和名)としては、この魚の持つ色彩の特徴がバリバリとほとばしる電気も彷彿とさせることから「エレキハゼ」の標準和名を提唱した。