とにかく言いたいことを書いてみる
「話をまとめるのが苦手」「心に響く文章を書きたい」「勉強したことを発信力に変えたい」 そんな人が、もっと活躍できますように。書き方、発表の方法をまとめてみたい。
人前で話す時、文章を書く時、あるいは企画を立てる時など仕事全般に言われることだが、"事前準備の罠"というものがある。
真面目な人や、意気込んだ時ほど、「まだ中身をつくる準備ができていない」と思って、勉強や考え事、資料づくりをたっぷりして仕込みをする。ギリギリになっていざ文章などを書き出すのだが、肝入りの材料群をどうまとめたらいいか分からない。
締切の時間も迫り、「間に合わないかも」「出来が悪いかも」と、焦りで脂汗をかく。頭も動かなくなる。出来上がったものは案の定、よく分からないものになり、「自分は頭が悪い」と落ち込む。
色々と情報を積み上げていく「積み上げ方式」より、これを言いたいということをまず述べて、それは何故なのか見通してみる「見通し方式」がまとめやすい。
情報を集めすぎるとまとまらない
実は、保守論客の重鎮・渡部昇一氏は大学時代、この罠にはまって卒論を落としかけた。
大作にしようと張り切り、題材(小泉八雲)に関する本をすべて読もうとした。周辺資料も集め、浮かんだアイデアはメモとして貯めた。こうしているうちに構想が結晶化すると思った。そうならなかった。
気づけば締切の1カ月半前。焦って書き始めたが、そこで「はた」と深刻な問題に気づく。第一章を書いた段階で、新たに調べるべきものが続々出て来た。「これぞ」と思ったアイデアの多くも、実際には使えないことが判明した。
結局、論文は締切に間に合わず、内容も首尾一貫しないものとなった。まあまあの点がついたのは、教授のお情けだったという。それ以降、渡部氏は「早めに書き出す」ことを自らに課し、後の言論活動につながっていくのである。 「とにかく書く」ことの重要さは、大川総裁も強調する。「『ギリギリまで粘れば、よい論文が書ける』と思う人も多いでしょうが見通しが悪い人は、積み上げ方式で論文を書きます。要領がよい人は、ある程度、資料がたまったら、書き始めてしまいます。実際に書き始めると、要る資料と要らない資料とが、はっきりと分かってきます」
ちょっとした話やメールの組み立てにも、この姿勢は役立つ。悶々とあれこれ考え、調べものをし過ぎる前に、いったんノートやメモを開く。「ひとまず現時点で考えていることを、下手でもいいから、ひと続きの文に書き殴ってみる」と、その後の思考や勉強の質・速度が上がる。
最初のイメージが大切
重要なのは「最初に浮かぶイメージというのは案外、馬鹿にならない」ことだ。著名評論家で文章術でも知られる清水幾太郎は、「これについて伝える」とテーマが決まった時点ですでに、「言おうとすることの曖昧なイメージが生まれているものだ」と語っている。それを最初の段階で、紙にハッキリ書きとめておくべきだという。
なぜなら、最初のイメージというのは、これまで考えたことや読んできたことが下地にある。それが浮かんだのには何か"縁"がある。こうした「観念や思いつき」は、天才でなくても現れる。表現する者は、それをないがしろにしてはならないという。
最初のイメージは、考えや勉強を進めることで変わっていく。だがそれを"結晶核"として話を練っていくのが、段取りとしては効率的だろう。
これは、日ごろの蓄積や等身大の見識、直観を大切にする人生観でもあるかもしれない。

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