キーワ➖ドを探す

 結局、心で何をつかんだか。情報やアイデアがそれなりに出そろった。整理もある程度でき、何となく話のイメージも浮かんだ。それでもいざ書き出そうとすると、どう展開すべきかしっくりこず、頭を抱えてしまうことがある。こうした場合たいていは、そのまま進めて形にしても、内容が"複雑骨折"していることが多い。

 そんな時は一度立ち止まり、こう問うてみたい。「その核に当たる部分で、何が言いたいのか。理解できるように、易しい言葉(キーワード)で言い直すことができるかどうか」

 作家であり、その文章読本が多くのプロたちに読まれてきた井上ひさしは、「話の展開に迷った時は、その前に、言いたいことをギリギリまでしぼり上げた"中心思想"を短文でまとめるべき」と語っている。

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 「言葉一つで、組織は腐る」「小さな政府は、人間をいきいきさせる」など、どんなものでもいい。名文句である必要もない。相手を振り向かせるキャッチコピーともまた違う。「ああ、このひと言が伝われば、ひとまず成功だな」と思えるようなひと言だ。

 これさえ見つかれば、後はスッと楽になる。それを言うために、「まずどのように興味のない相手をつかむか」「前提情報として何を説明するか」「結論はどの段階で出すか」「具体事例は何をどの角度で料理すればいいか」。こうした展開が、逆算されてパタパタと決まっていく(基本的には我流で考えず、「序論・本論・結論」や「起承転結」、「結論・理由・具体例・結論」といった普遍的な型に、素直に当てはめるのが得策)。

 要約ではなく「文章の遺伝子」

 重要なのは、「キーワード」は、単なる「要約や論理上の結論」ではないことだ。井上ひさしは短文でまとめた中心思想を、「文章の燃料」と呼んだ。「とにかくこれを言わねばならぬという、切迫した思い込み」を練り上げるイメージだ。

 そのテーマに関する、「これだけは外せないという感動」や「中心的な発見」、「はっとする逆説」や「聖なる怒り」。こうした心を動かす何かが、自分なりに宿った言葉ともいえる。その熱に駆られて、文章展開や一つひとつの表現、情報が組み立てられていく。井上いわく、すべての要素にその中心思想が「遺伝子」として宿っていく。

 このキーワードを結晶化させるため、井上は、「餅つき」の要領で、思考をこねては、資料や取材内容と混ぜ合わせ、またこねるということを繰り返すと語っている。

 こうした作業はある意味で、大川総裁が説く「知の原理」にも通じそうだ。大川総裁は、多くの書物を読んでも、「頭だけを通したものでなく、本当に心でもってつかんだものでなければ、実際の『魂の糧』とはならんということなのです」と説く。そこまで掘り下げているかどうかは、「それを簡単に易しく手短に語れるかどうか」だとして、こう述べる。

「あなたは、あなた自身でいったい何をつかんでいるのか。何を訴えたいのか。何を悟ったのか。これを言ってください。これを、キーワードで言ってください」話の核をひと言にする作業は、伝える技法を超え、知性を耕す方法そのものにも重なる。キーワードは「餅つき」の要領で練っていく。

 要旨の意味と箇条書きのすすめ

 ここで文章の要旨のまとめ方を述べてみたい「要旨」とは、文書や報告、論文などの主要な内容や重要なポイントを短く、明瞭にまとめた部分を指す。

 要旨が必要な理由はいくつかある。 時間の節約になること。全体の把握ができること。関心を引くことができる。覚えやすくなる。わかりやすくなる…などである。
 では、要旨をまとめるにはどうしたらよいだろうか。それは、いくつかの項目に箇条書きすることである。人に全てを伝えるのは難しい。要点をおさえるのが苦手な人は、全てを伝えようとしてしまい要旨がわかりにくくなる。だから、最初からいくつかに決めてしまう方法がある。

 要点をおさえる話し方や文章の書き方は、社会人になると毎日のコミュニケーションの中で、頻繁に必要になる。 うまく整理できない場合は、最初に「要点は3つあります」と宣言してしまう。そして、箇条書きで話せみよう。これがコツ。整理することが苦手であれば、先に3つと宣言して、箇条書きで3つ伝える方法を実施するだけでも、要点をおさえる話し方に近づく。