バイオームとは

 バイオーム(生物群系)は、特定の気候や環境(温度、水分、土壌など)に適応した生物(植物・動物)が集団として分布する、生態系の大規模な区分。

 主要な陸上バイオームは、森林、草原、荒原の3つに大きく分類され、植生の特徴や気候帯に基づいてさらに細分化される。

 主なバイオームの分類と特徴 バイオームは、気温と降水量の違いによって主に以下のタイプに分類される。

 森林は熱帯多雨林、亜熱帯多雨林、照葉樹林、夏緑樹林、針葉樹林に。草原は、サバンナ、ステップに。荒原は、砂漠、ツンドラなどになる。

 日本は南北に長く、気候の影響で北から順に、針葉樹林、夏緑樹林、照葉樹林、亜熱帯多雨林の4つのバイオームが見られる。

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 熱帯雨林

 熱帯多雨林は、赤道付近の高温多湿(年平均25℃以上、降水量2,000mm以上)な地域に広がる、世界で最も生物多様性が高い常緑の森林。3層以上の複雑な高木構造を持ち、フタバガキやツル植物、着生植物が密生する「生物の宝庫」であり、地球の肺とも呼ばれます。

 分布地域は、主に東南アジア(ボルネオ、スマトラ)、中南米(アマゾン)、中央アフリカ(コンゴ)の赤道周辺。気候は1年を通して高温で、明確な乾期がない(熱帯雨林気候)。

 植生は巨大高木(林冠)から林床までが鬱閉した、垂直的に複雑な3~4層の階層構造を形成。生物は多様性が高く、地球の陸地面積の約7%を占めるに過ぎないが、地球上の生物種の50〜80%がここに生息。

 代表的な植物は、フタバガキ科、着生植物(ラン、シダ)、巨大なツル植物。生態系の役割として、地球の環境(炭素循環や水循環)に大きく関与し、多くの生物に生息地を提供している。

 一方で、人間の活動(開発、農地拡大)による急速な森林減少が、生物多様性の低下とともに世界的な問題となっている地域である。

 地球上には多様な植物が生育し、そこには植物以外に動物など多様な生物が生活している。

 亜熱帯雨林

 亜熱帯雨林(亜熱帯多雨林)は、熱帯と温帯の中間である亜熱帯地域(年平均気温18度以上)の高温多雨な気候に生育する、常緑広葉樹を主体とした森林。日本では九州南端や南西諸島に分布し、ガジュマル、ヘゴ、ビロウ、アコウなどの樹木が繁茂する高い生物多様性を特徴としている。

 気候は、年間降水量が約1,500~3,000mmの温暖な地域に分布。日本では沖縄や奄美大島、小笠原諸島に見られる。

 植物は熱帯の要素を持ちつつ、暖温帯の照葉樹(スダジイなど)も混ざる。シダ植物の「ヘゴ」や、着生植物、つる植物が多く見られる。ガジュマル、ビロウ、ソテツ、アコウ、イジュなどが代表的。

 高い湿度に包まれ、山頂周辺では霧が発生しやすい環境が、特有の生態系を育んでいる。 沖縄県北部(やんばる)や西表島に代表されるように、独自の動植物が生きる豊かな自然が広がっている。

 照葉樹林

 照葉樹林は、シイ・カシ・タブノキなど、厚く光沢のある葉を持つ常緑広葉樹で構成される森林である。西日本や東アジアの温暖で雨の多い暖温帯に分布し、内部は暗く湿潤。日本では宮崎県綾町が最大級の規模。かつてこの地域では納豆や焼畑などの「照葉樹林文化」が発達した。

 照葉樹林の葉の特徴は、表面のクチクラ層が発達しており、太陽光を反射して光沢のある深緑色に見える。

 代表的な樹種としてはブナ科(シイ類、カシ類、マテバシイ)、クスノキ科(タブノキ、クスノキ)、ツバキ科(ヤブツバキ、サカキ)。高木、亜高木、低木と階層が発達し、つる植物や着生植物も多い。

 世界では、ヒマラヤ山地から中国南部、台湾、日本(西日本、南西諸島)の暖温帯。日本では伐採や開発により多くの自然林が消失し、現在は社寺林や急斜面など断片的な場所に残存している。

 夏緑樹林

 夏緑樹林は、冷温帯の寒暖差が大きい地域に分布する、ブナやミズナラなどの落葉広葉樹で構成される森林。夏は高温多湿で緑葉を茂らせ、冬は寒冷で落葉・休眠する特徴がある。日本の東北から山地帯、欧米の冷温帯に広がり、四季の景観が明瞭だ。

 夏緑樹林は落葉広葉樹林、夏緑林とも呼ばれる。照葉樹林(常緑)の北や高標高地に分布。代表的な樹種は、ブナ、ミズナラ、カエデ、ケヤキ、クリ、シデ、トチノキ、ホオノキ。  夏緑季節の春は新緑、夏は濃い緑、秋は紅葉・黄葉、冬は落葉し、林床に光が届く。樹高約30mに達する高木層、低木層、草本層が明瞭。林床にはササ類が密生しやすい。

 早春に開花し、夏には休眠する「春植物(スプリング・エフェメラル:カタクリなど)」が特徴的だ。 日本(北海道・本州〜九州の山地)のほか、北半球の北アメリカ東部、ヨーロッパ中央部、東アジア(中国・朝鮮半島)の温帯域。日本では主に冷温帯の指標となる森林である。

 針葉樹林

 針葉樹林は、スギ、ヒノキ、マツ、エゾマツなどの細長い葉を持つ針葉樹で構成される森林。冷涼な地域や高山帯、特に北半球の寒冷地(タイガ)に多く分布し、日本では北海道や本州の亜高山帯に自生するほか、人工林として全国に広く存在する。成長が早く、木造住宅建築やパルプなど木材資源として利用価値が高いのが特徴。

 針葉樹林の葉は細く硬いため、積雪や乾燥に強い。葉から出る油分で分解されにくく、林床(地面)には厚い腐植層が積もる。常緑樹が主流だが、カラマツのような落葉針葉樹も存在する。

 代表的な樹種は、スギ、ヒノキ、マツ、サワラ(温帯~暖帯)、シラビソ、コメツガ、エゾマツ、トドマツ(亜寒帯・亜高山帯)。

 日本では主に本州の海抜700m-800m以上の高地や北海道の「亜高山帯」に自然の常緑針葉樹林が分布する。

 戦後の拡大造林政策により、日本国内の人工林の多くが針葉樹に置き換えられ、重要な建築資材として供給されている。手入れ(間伐)が行われないと、光が地面に届かず他の植物が育ちにくい暗い森になってしまう。

 硬葉樹林

 硬葉樹林は、地中海性気候の夏に乾燥する地域に分布する、オリーブ、コルクガシ、ユーカリ等の硬く小型の葉を持つ常緑広葉樹林である。水分を保持するため、クチクラ層が発達した革質の葉が特徴で、地中海沿岸やオーストラリア、カリフォルニア等の温暖な地域に生育する。

 硬葉樹林は日本では見られない。地中海沿岸、オーストラリア南西部、カリフォルニア、南アフリカのケープ地方など、夏は高温で乾燥し、冬は雨が多い「地中海性気候」の地域に多い。

 夏の乾燥から水分を守り、一年中光合成を行うため、葉が小さく、厚く、硬く、革のような質感を持つ。主な樹種は、オリーブ、コルクガシ、ハリガシ、イナゴマメ、ユーカリ、ローリエ(ゲッケイジュ)など。

 照葉樹林との違いは、照葉樹林(シイやカシなど)は暖温帯の多雨地域に分布し、葉が大きく光沢がある。一方、硬葉樹林はより乾燥に強い。

 人間の活動が古くから行われていたため、自然植生はほとんど残っておらず、植生が破壊されやすい環境にある。山火事の多い環境にも対応しており、乾燥に強い植物群(バイオーム)として知られている。



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