熱帯多雨林とは?

 熱帯多雨林は、年平均気温が25℃以上、年降水量が2000mmを超え、1年を通して高温多湿な赤道周辺地域に成立する常緑広葉樹の森林。ジャングルやセルバとも呼ばれ、巨大な高木、ツル植物、着生植物が入り乱れる密林で、地球上の全生物の約50%以上が集中する「生物多様性の宝庫」だ。

 アマゾン(中南米)、コンゴ盆地(中央アフリカ)、東南アジア(ボルネオ島など)の赤道付近に分布する。年間を通じた気候変動が少なく、高温多湿。巨大高木層(70m超)、高木層、小高木層、低木層、林床層からなる複雑な多層構造を持つ。

 熱帯雨林がある熱帯地方は、ほかの地方と比べると日照時間が長く、降水量が多い特徴。そのため良質な土壌が形成され、植物が繁殖し、それをエサとする動物たちもまた順調に繁殖していく。(写真はフタバガキの板根・葉・花・果実)

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 過去、地球は何度も氷河期に襲われている。凍結によって失われた種は決して少なくない。しかし、熱帯雨林は氷河期でも凍結せず、種の多様性を守りながら安定した環境を保っていたと考えられている。

 植物は常緑で、フタバガキ類、ランやシダなどの着生植物、蔓(つる)植物が豊富。動物はゴリラ、チンパンジー、オランウータンなどの霊長類、多くの爬虫類、鳥類、昆虫が独自の生態系を形成。

 熱帯雨林の植生

 フタバガキ科(Dipterocarpaceae)は双子葉植物の科。東南アジアを中心に分布する高木で熱帯雨林を代表する一群である。

 和名フタバガキの由来はカキノキ(Diospyros kaki, カキノキ科)樹木と形態的な特徴が類似している点から来ているといわれる。どの点が似ているかということについては、果実説と葉説がある。

 果実説ではカキノキと果実が似ており、およびその実には羽のような葉が2枚付くことといわれている。このため漢字表記は二葉柿、もしくは双羽柿などとなる。

 学名のDipterocarpaceae は、ギリシア語で「二枚の羽根」という意味。ただし、後述のように果実に付く羽の数については種によって差があり、必ずしも2枚とは限らない。また、葉が類似説ではフタバガキ科は多くの種類で葉に光沢を持ち、縁には鋸歯を持たない点などがカキノキの葉に似ており、カキノキの葉に瓜二つだからというものである。

 いずれの説にしてもカキノキと似ていることからの命名である。樹形は種や環境によって左右されるが真っ直ぐな明瞭な主幹を持ち、樹冠は丸くなるものが多い。樹高は20 m未満の種もあるが、多くは40 mから場合によっては60 mに達する。

 フタバガキ科の葉は光にかざしたときに葉脈が明確に見える「異圧葉」という葉を付ける。これは柵状組織の間に透明な部分があることで、葉の全体に水を行きわたらせる能力と光の透過性に優れ効率的な光合成に寄与しているのではと考えられている。

 果実は2枚、3枚もしくは5枚の葉と一緒に落ちてくるもので、羽根突き遊びの羽根によく似ている。果実に付いている葉は風を受けて種子の分散にいくらか役に立っているといわれているが、無風条件下では親木からせいぜい40 mという結果もある。種子自体には翼を持たず葉と一緒に落下するという植物にはほかにニレ科のケヤキ属などが知られているが、フタバガキ科とは葉の落ち方が異なる。

 花の突起には時計回りに渦を描くようなものと反時計回りのものがあり、分類にも活用されていたが、近年の分子生物学的な手法では突起の向きによる分類は否定されている。

 熱帯雨林の動物たち

 世界各地の熱帯雨林には、私たちの生活ではあまりお目にかかれない動物がたくさん住んでいる。熱帯雨林に住む動物の一部をご紹介する。

 スミレコンゴウインコ  鮮やかなブルーが印象的なスミレコンゴウインコ。アマゾンに棲息している。熱帯雨林によく似合うビビッドなカラーリングで、どこか高貴な印象も感じられる鳥。

 インコというと小柄で愛くるしいサイズの鳥を思い出しがちでだが、スミレコンゴウインコは身長約1メートル、重さは約1.2~1.7kgと、なかなかのビッグサイズ。広げた片翼は40cmにもなる。

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 カピバラ  最近は動物園でも人気のカピバラ。アマゾン川の流域がおもな生息地です。ずんぐりむっくりしたルックスや、水辺でのんびりと過ごす姿に魅了されたファンも多い。 見た目の可愛らしさとは裏腹に、運動能力が抜群。敵から身を隠すために5分以上も潜水したり、時速約50kmで地上を走ることもできるのだそう。見た目とのギャップがまた魅力的。 鼻先だけを水から出して眠ることもあるそうで、カピバラファンならぜひ一度は見てみたい姿かもしれない。

 オセロット  美しいヒョウ柄の毛並みが印象的なオセロット。ヤマネコのような見た目はスタイリッシュで、一目見たら忘れられないような姿をしている。木登りや狩りが得意な点は普通のネコと同じ。

 ただし、泳ぎが得意な点は他のネコと違う一面だ。水陸どちらにも適応できる能力を持っている。オセロットはその美しい毛皮が狙われ、乱獲された過去がある。そのため個体数が激減し、絶滅が危惧されるほどになってしまった。現在はワシントン条約で取引が厳しく制限されている。

 ピラニア 「熱帯雨林といったらこの魚!」という人も多いほど有名な魚。鋭い歯とコワモテの見た目が印象的。種類によっては体長が約50cmになる個体もいるとか。水に落ちた生き物を群で襲ってエサにする。とはいえ、じつは見た目よりも臆病な性格で、単独で行動することはなく、必ず群で行動する。その臆病さゆえか自分より大きな生き物を襲うこともない。大きな物音や強い光に驚いて暴れ出すときもある。

 フィリピンワシ  ワシとしては世界最大級の大きさを持ち、フィリピンの国鳥でもあるフィリピンワシ。羽を広げると全長2mもあり、大きな翼と長い尾をゆらしながらはばたく堂々とした姿はまるで王者のよう。気高い風格が威圧的でもある。

 以前はミンダナオ島に多く生息していたが、近年は熱帯雨林の開発が進んだことによって個体数が激減し、絶滅が危惧されている。保護プログラムが進められており、今後の繁殖に期待したい。

熱帯多雨林の植物誌: 東南アジアの森のめぐみ
W. ヴィーヴァーズ・カーター
平凡社
1986-07-01