亜熱帯雨林とは?
亜熱帯雨林は、年平均気温が約18℃以上、年間降水量が1,300mm〜3,000mm程度の高温多湿な環境に成立する常緑広葉樹の森林です。熱帯と温帯の移行帯にあり、ヒカゲヘゴやガジュマル、マングローブ等の特徴的な植生が見られ、高い生物多様性を持つ。
気候は年間を通して暖かく、雨季や台風による影響を強く受けるため、湿度が高い。樹種はガジュマル、アコウ、オキナワウラジロガシ、ヘゴ(木生シダ)などの常緑広葉樹が優占する。
熱帯雨林に比べると、巨大高木層が欠ける傾向があるが、常緑高木による複雑な層構造を持つ。独自の進化を遂げた固有種や絶滅危惧種が多く、世界的に特異な生態系である。
海岸部の特徴として、淡水と海水が混ざるエリアにはマングローブの林が形成される。 日本では、沖縄県や奄美大島、西表島などの南西諸島で確認され、その特徴的な自然は「世界遺産」に登録されている。
亜熱帯多雨林のマングローブにはカニやエビの甲殻類、貝類、ゴカイ類が豊富に生息しているのでこれらを捕食するサギ類やシギ類の水鳥の他にサルなどが生活している。マングローブは熱帯多雨林から亜熱帯多雨林にあり、日本の南西諸島以南から東南アジアが含まれる。(写真はガジュマルの気根・葉・花・果実)

亜熱帯雨林の植生
ガジュマル ガジュマルは常緑広葉樹の高木で、樹高は20メートル (m) 。木全体の姿はアコウに近いが、常緑である。幹は多数分岐して繁茂し、囲から褐色の気根を地面に向けて多く垂らす。垂れ下がった気根は、徐々に土台や自分の幹に複雑にからみつき派手な姿になっていく。
枝から出る気根は、そのまま下に向かっても地上に下りて、一部は支柱根となる。気根は当初はごく細いが、太くなれば幹のように樹皮が発達する。地面に達すれば幹と区別が付かない。また、成長した気根は地面の舗装に使われているアスファルトやコンクリートなどを突き破る威力がある。
一部は他の木を土台にして育ち、土台となった木を枯れらしていくので、ガジュマルはいわゆる「絞め殺しの木」ともよばれる。樹皮は灰褐色でほぼ滑らかである。若い枝はやや太く無毛で、一周する輪状の托葉痕がある。
葉は楕円形や倒卵形、革質でやや厚く、毛はない。葉柄はアコウよりも短い。花期はほぼ通年。イチジクのような花序(花嚢)は枝に多数つき、小さい。花嚢は果嚢(イチジク状果)となり、8月ごろに黄色または淡紅色に熟す。実は鳥やコウモリなどの餌となり、糞に混ざった未消化の種子は土台となる低木や岩塊などの上で発芽する。
冬芽は互生し、2枚の芽鱗に包まれ、頂芽は円錐状で先が細く尖る。側芽は小さい。葉痕は円形や楕円形をしている。

ヘゴ へゴ(Cyathea)は、ヘゴ科のシダ類。世界中の熱帯から亜熱帯地方に470種程度が分布する。茎の周りの気根がよく発達して茎を覆って樹木のような外見になる、いわゆる木生シダである。ほとんどの種の幹は一本であるが、枝分かれする種もあり、また木本状とならない匍匐性の種も存在する。分布域は熱帯雨林から温帯の疎林に及ぶ。
この茎は「ヘゴ材」(ヒカゲヘゴのものが多い)といい着生植物の栽培に使う。ヘゴ材のことを単に「ヘゴ」ということも多い。また、観葉植物として栽培されるものもある。一部の自生種の若芽は山菜として利用される。
幹の高さは4mにも達することがあり、頂部からは長さ2mもの大きな葉が笠状に広がる。葉柄にはトゲが密生している。
形成層を持たないシダ植物。細い茎の周囲を不定根が密に覆う構造になっており、これにより高くなっても水分や栄養分を吸収できる仕組みになっている。この絡み合った根の部分は、ヘゴ板やヘゴ柱といった園芸資材として販売されている。
日本では八丈島や九州南部の一部、南西諸島などに分布している。日本では、いくつかの自生北限地帯が国の天然記念物に指定されている。(写真はマングローブ)

亜熱帯雨林の動物たち
亜熱帯多雨林(日本では主に奄美・沖縄諸島)には、独自の進化を遂げた希少な動物たちが数多く生息している。 リュウキュウイノシシ、ケナガネズミ、ヤンバルクイナ、ノグチゲラ、ルリカケス、ヤンバルテナガコガネ、 アマミイシカワガエル、ハブなどがいる。
アマミノクロウサギ 「生きた化石」と呼ばれる耳の短いウサギ。アマミノクロウサギ(奄美黒兎、Pentalagus furnessi)は、哺乳綱兎形目ウサギ科アマミノクロウサギ属に分類されるウサギ。本種のみでアマミノクロウサギ属を構成する。日本の奄美大島と徳之島の遺存固有種で、絶滅危惧種。
一族一種。耳が短く、ウサギの古い原種の特徴を残すと言われる。頭胴長(体長)41.8 - 51センチメートル。尾長1.1 - 3.5センチメートル。体重1.3 - 2.7キログラム。全身は光沢のある長い体毛と、柔らかく短い体毛で密に被われる。背面は黒や暗褐色、腹面は灰褐色。
眼は小型。耳介も小型で、耳長4.1 - 4.5センチメートル。四肢は短く、特に後肢は短い。後足長8.5 - 9.2センチメートル。指趾には爪が発達し、穴を掘るのに適している。南西諸島の奄美大島と徳之島に棲息する。模式標本の産地(基準産地・タイプ産地・模式産地)は琉球諸島とされているが、奄美大島と考えられている。
環境省による2021年時点推定での個体数は合計1万1549~3万9162匹、内訳は奄美大島が1万24~3万4427匹(2003年調査では2000~4800匹)、徳之島が1525~4735匹(同100~200匹)で、天敵フィリマングースの捕獲・駆除により個体数は回復傾向にある。
イリオモテヤマネコ 1965年に発見された、島にのみ生息する野生のネコ。イリオモテヤマネコ(西表山猫、Prionailurus bengalensis iriomotensis)は、ネコ科ベンガルヤマネコ属に分類される、ベンガルヤマネコの亜種である。
1965年、八重山列島の西表島で発見された。20世紀に入って発見された中型以上の哺乳類は稀有であり、また当初はネコ類でも原始的な形質を有する新属・新種と発表されたこともあってその発見は大きく取り上げられた。
しかし、現在は遺伝情報の分析により、独立種ではなく、アジア東部に生息するベンガルヤマネコの亜種に分類されている。国の特別天然記念物に指定されている。
日本列島(西表島)の固有亜種。 西表島は面積が290平方キロメートルほどで、これはヤマネコの住む島としては(またヤマネコの生息域としても)世界最小。分布域内では、主に標高200メートル以下にあるスダジイやカシからなる亜熱帯もしくは暖帯の森林に生息する。河川の周辺や低湿原、林縁などを好む。
体長はオス 55-60センチメートル、メス 50-55センチメートル、体重はオス 3.5-5キログラム、メス 3-3.5キログラムと、オスの方がメスより少し大きい。尾は先端まで太く、尾長は23-24センチメートル。胴が長く、四肢は太く短い。
ヤンバルクイナ 日本に固有の飛べない鳥。日本の沖縄本島北部の山原(やんばる)地域のみに生息する固有種であり、1981年(昭和56年)に発見された。和名は上記の生息地域の地名に由来し、「やんばる地方に棲むクイナ」の意。
1978年に与那覇岳で山階鳥類研究所の研究者に発見されてから、沖縄本島北部に位置する山原地域で種不明のクイナ類の複数の目撃例があった。
1981年に特別調査チームが編成され、6月に幼鳥、7月に成鳥が捕獲された。この2羽はいずれも形態の検討等の後に放鳥され、その数か月前に元々ヤンバルクイナの個体を知る玉城長正により入手された1羽の死骸(剥製標本)とあわせて検討された結果、未記載種であることが判明し、同年末に和名をヤンバルクイナ、学名を Rallus okinawae として記載論文が発表された。
全長 35 cm。翼長 15–16 cm、翼開長 48–50 cm、体重 340–430 g。上面は暗オリーブ褐色で、顔や喉は黒い。耳孔を被う羽毛(耳羽)から、後方に向かう白い筋模様が入る。眼先に白い斑点が入る。頸部から腹部にかけての下面は黒く、白い横縞が入る。尾羽基部の下面を被う羽毛(下尾筒)は黒褐色で、下尾筒の羽先は黄褐色がかった白色。体重と比較して翼の面積は小型で、翼を動かす筋肉も貧弱。初列風切内では第10初列風切が最も短い。

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