レアアースを含んだ泥の採掘に成功
南鳥島沖の海底からレアアースを含んだ泥を採掘することに成功したJAMSTEC=海洋研究開発機構の探査船がおよそ1か月にわたる採掘試験を終え、2月14日、静岡県内の港に戻った。
日本の排他的経済水域である南鳥島沖の海底の泥には、レアアースが高い濃度で含まれることが現地調査の結果分かっていて、内閣府のプロジェクトは「ちきゅう」を使って海底から泥を採掘する試験を先月12日からおよそ1か月かけて行ってきた。
採掘は南鳥島のおよそ150キロ南東の海域で行われ、プロジェクトは今月2日、水深およそ5700メートルの海底から泥を船の上に引き上げることに成功したと発表している。
2月14日は、回収した泥を積み込んだ「ちきゅう」が港に戻るとセレモニーが行われ、船を下りた船長らが集まった地元の人たちから拍手で出迎えられた。

今後は、回収した泥からレアアースを分離・精製して成分分析を行うとともに、来年2月に今回と同じ海域で一日当たり350トンの泥を継続的に採掘する試験を行う計画だ。
対日レアアース制裁が初の事例
レアアースについてはこれまで、中国が市場を独占している状態が続いていた。
中国の最高指導者・トウ小平が「中東に石油あり、中国にレアアースあり」と述べたように、その独占的支配を1980年代以降から狙っていた。
日本の技術支援などもあり、中国は今では「埋蔵量で全世界の5割弱、採掘で7割弱、精錬は9割強のシェアを握る」という圧倒的立場を築き、他国を脅すカードに利用している。
それを世界で初めてまざまざと見せつけたのが、2010年に尖閣諸島で中国漁船衝突事件が起きたことを受け、レアアースの対日輸出を制限したことだ。これでトヨタなどが一時的に生産中止に追い込まれた。
中国は希少金属を支配している
その問題への関心が高まった直近の出来事は、中国が25年10月に「レアアースの輸出規制を強化する措置」を発表したことだ。すかさずトランプ米政権は「対中関税を100%追加する」と反応し、米中が再び激突した。
中国の新しい措置は、「外国企業などが中国産レアアースを0.1%以上使用した製品を輸出する場合、中国の許可が要る」というもので、中国のルールを全世界に適用しようとした。
これがまともに運用されれば、世界は中国の言いなりになりかねない。アメリカは「中国対世界だ」と反発し、同盟国と連携してレアアースの脱中国を加速させている。
中国がレアアースを支配した手法は、米下院の委員会が25年11月に発表した報告書に端的にまとめられている。そのポイントを紹介すると、
(1)中国政府は自国の国営企業に約9兆円(推定)を支援し、各国の鉱山を買収させた。 (2)中国政府はレアアースの価格を人為的に操作できる権限を有している。 特筆すべきは次の点だ。 (3)中国政府が操作する価格を海外にも広げるために、銅や亜鉛、ニッケルなどの価格に影響を与える「ロンドン金属取引所」を、香港取引所を通して買収していた。
これらにより、民間の努力では到底太刀打ちできない、不当に安い価格競争を仕掛け、外国の競合企業を潰し、一強時代を築き上げた。
日本が中国のレアアース覇権を突き崩す
日本政府は、中国の輸出規制強化を受け、レアアース(希土類)の安定供給に向けた供給源の多角化を加速させている。2025年度予備費から約390億円を投じ、JOGMECを通じて豪州など海外鉱山開発や調達先を分散化。また、南鳥島沖の海底泥採掘技術開発も推進中であり、脱中国依存が国策として進められている。
脱中国の鍵として期待されているのが、日本の南鳥島沖の約5500メートルの深海に眠る、世界最大級のレアアースが含まれた泥だ。その価値、実に推定500兆円。10年前までは、海底資源の掘削は夢物語だった。だが今では実用化が見えており、日米両政府は25年10月に共同採掘に合意。そして、今回 試験掘削に成功した。
当然、中国はこれを強く警戒。開発遅延を狙ったさまざまな工作を仕掛けてきた。日米が採掘を軌道に乗せれば、中国はレアアース覇権を崩され、大国アメリカにも使える有力なカードを失いかねない。
レアアースを巡る「太平洋戦争」
中国は手をこまねいているわけではない。ニュージーランド北東に位置するクック諸島沖などの資源開発にも乗り出し、日本に先んじようとしている。
今や日米中は、EV(電気自動車)、AI(人工知能)、量子通信、人工衛星などを支える戦略資源レアアースをいかに確保するかで、熾烈な争いを繰り広げている。
かつての日本は石油を確保するため太平洋戦争を起こした。だが現代は、日米vs.中国という陣営で「レアアースを巡る太平洋戦争」を戦っているのである。
トランプ政権は、一部のレアアースについて、採掘から加工までの生産工程のいずれかの段階が、中国、ロシア、北朝鮮、イランなどで行われたものについて2027年から納入を禁止することにしている。これにより、アメリカは軍事用のレアアースを含む永久磁石については中国への依存がゼロになる。
しかし、埋蔵量が中国に極端に偏っている重希土類など一部のレアアースについては中国への依存が、今後も続くことが予想されており、アメリカは日本やオーストラリア、欧州との連携を模索している。
そのため、これまで主に中国でしか生産されてこなかったレアアースが確認されている南鳥島での採掘は、欧米諸国が中国を除いた供給網の確立する上でも重要なのだ。
一方、南鳥島でのレアアース採掘は、採算面での課題が指摘されている。南鳥島での採掘コストは1トンあたり7千~7万ドルと試算されており、加工や輸送コストを加味すると、一日数千トン規模の採掘量を実現しなければ、価格競争力で中国産と渡り合えないといい、友好国と技術開発や資金面で協力していくことが求められる。

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