ソメイヨシノ開花前に伐採

 2月と思えないほどの暖かさ。静岡県では、早くも河津桜が見頃を迎えている。東京でも来月下旬には、ソメイヨシノの開花が予想されている。そんななか、東京・江東区の公園では桜の木がたくさん並んでいますが、「2月中に伐採を行う予定」と貼り紙がされている。

 江東区の都立・辰巳の森緑道公園は、毎年春になると「さくらまつり」が開かれる。しかし、今年はその花見シーズンを前に、公園の桜の木が20本ほど伐採されることになった。なぜだろうか。

「これがフラス(排泄(はいせつ)物)で、この辺がクビアカの穴。クビアカツヤカミキリの被害。これは倒木の危険がある」東京都海上公園課 大久保貴子課長はいう。

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 特定外来生物の「クビアカツヤカミキリ」。サクラやウメなどの幹に卵を産み付け、このカミキリムシの幼虫が木の中を食い荒らしている。そうすると、カミキリムシの排泄物「フラス」が大量に出てくるのでわかる。

 群馬では300本以上を伐採したという。被害はこの公園だけではない。去年11月の時点で、全国16都府県に広がっている。

 日本樹木医会 小林明理事は「いつ爆発的に広がってもおかしくない状況にある。サクラが枯れるわけではないので、忍び寄るようにひそかに広がる危機。クビアカツヤカミキリが入ったら即伐採。これが一番いいんですけども、切るまでに弱るまでに何年かかかりますので、その間に虫が広がってしまう」

 群馬県では、おととしだけで300本以上のサクラを伐採した。県はこれまで薬剤による駆除に補助を出してきた。しかし、被害の拡大を止めるのは難しいと判断し、来年度からは伐採を進める方針だ。

 「さくらまつり」目前で切られるサクラ。公園の近所に住む堀禎子さん(82)はこう話す。「他の木への影響を考えると、切らざるを得ないのかなっていう気がするんですけど。(サクラが咲いて)“最後のお別れ”してから切ってほしいなって思いはしますね」

 辰巳の森緑道公園では、住民向けの説明会が開かれた。東京都は、伐採した場所に新しいサクラの木を植える方針である。

 クビアカツヤカミキリとは?

 クビアカツヤカミキリ(Aromia bungii)は東アジア原産のカミキリムシ科の昆虫で、中国、韓国、台湾、ベトナム等に分布し、モモ、アンズ等サクラ属果樹の重要害虫として知られている。日本では、平成24年に愛知県のサクラで初めて本種が発見されて以降、令和7年11月末までに16都府県で発生が確認されている。発生当初は、主として公園や街路樹のサクラで発生が確認されていたが、近年ではウメ、モモ等の果樹園でも被害が確認されている。

 また本虫は、2018年(平成30年)1月に外来生物法に基づく特定外来生物に指定され、原則として生きたままの移動や飼育等が禁止されている。農林水産省では、関係機関と協力の上、本虫のまん延防止に向けた取り組みを実施している。

 国内では、栃木県、群馬県、茨城県、埼玉県、東京都、神奈川県、愛知県、三重県、大阪府、京都府、奈良県、和歌山県、兵庫県、徳島県、千葉県、滋賀県の16都府県で発生が確認されている。

 クビアカツヤカミキリを見つけたら

 クビアカツヤカミキリを見つけたら、その場で捕殺(踏み潰すか殺虫剤使用)し、自治体の環境担当部署(市町村役場など)または県の担当課に連絡して情報提供してください。特定外来生物のため生きたまま持ち帰ることは法律で禁止されている。樹木にフラス(木屑)が出ていたら幼虫がいる可能性があるので、薬剤注入などの駆除も必要。

  発見時の対応(成虫) 1.捕殺:逃がさないように、靴で踏み潰すか、市販の殺虫剤を使用。 2.通報・連絡:捕殺後、見つけた場所や状況を、お住まいの市町村の環境担当窓口や県の環境部などに連絡。自治体によっては専用の通報アプリやウェブサイトがある場合もある(例:ぐんまクビアカネット)。 3.注意:生きたまま持ち帰ったり、別の場所に放したりすると法律違反。

 樹木に被害の兆候を見つけたら

 フラス(木くず)とは、サクラ、ウメ、モモなどの樹木から、ひき肉のような木屑と糞の混合物で、出ていたら、中に幼虫がいる。

  フラスが出てくる穴に針金を入れて幼虫を刺殺したり、フラスをかき出して薬剤(市販の殺虫剤など)を注入する。

 クビアカツヤカミキリは、サクラなどの樹木を内部から食い荒らして枯らす深刻な害虫。見つけた際は速やかに駆除・通報し、被害の拡大を防ぐための協力が必要だ。



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