史上最速の宇宙探査機は?
正解はNASA の打ち上げた探査機パーカー・ソーラー・プローブ(Parker Solar Probe)である。その速さはおよそ時速69万km。この探査機は、太陽の外部コロナを直接観測をしている。
パーカー探査機の時速69万kmは、秒速約191km(光速の0.064%)であり、過去の最高記録(太陽系探査)ヘリオス2(1976年)の最高速度: 時速約25万km、地球から最も遠い探査機: ボイジャー1号 の最高速度: 時速約6万2,140km、有人宇宙船(最高記録): アポロ10号(1969年)の最高速度: 時速3万9,896km、宇宙ステーション(ISS): 時速約2万8,000kmをはるかに超える。
パーカー宇宙船は記録的な速度を達成しただけでなく、太陽に最も接近し、太陽の表面と考えられているプラズマの海からわずか726万km上空まで到達した。最も太陽に近い惑星水星と太陽の距離が約5790万kmなので、かなり太陽に近づいたことになる。

パーカー探査機はミッションを完了するために、NASAは、金星の重力を利用して探査機を金星の周囲を通過させる制御を行い、探査機を加速しながら旋回させた。金星を合計24周した後、パーカー探査機はついに太陽に接近し、研究者が太陽の挙動をより正確にモデル化するのに役立つ豊富な情報を収集することができた。
パーカー・ソーラー・プローブとは?
パーカー・ソーラー・プローブ(Parker Solar Probe)は、太陽の外部コロナの直接観測を計画している宇宙探査機である。太陽表面から8.86太陽半径(0.04天文単位、590万キロメートル)へ到達した。
この計画は2008年5月1日に、ジョンズ・ホプキンス大学応用物理研究所は2015年の打ち上げを目指して、本機の設計と製造を行うと発表した。その後、打上げ目標は延期されたものの、2018年8月12日午前3時31分(EDT)にケープ・カナベラルよりデルタ IV ヘビー10号機で打ち上げられた。
パーカー・ソーラー・プローブの科学目標は以下の通りである。 1.太陽コロナを加熱し、太陽風を加速するためのエネルギーの流れをたどること。 2.太陽風が流れ出す領域のプラズマと磁場の構造と力学を決めること。 3.高エネルギー粒子を加速して、周囲に輸送するメカニズムを解き明かすこと。
2018年8月12日3:31 EDT(7:31 UTC)に、デルタ IV ヘビーロケットで打ち上げられた。打ち上げ後、最初の1週間で高利得アンテナや磁力計ブーム、電界アンテナを展開した。9月初めからミッション機器の動作確認を行い、2018年11月6日の近日点通過前後に最初の科学観測を行った。
2019年4月に行われた第2回の測定では太陽までの距離が、太陽半径の30倍程度まで接近し、史上最も太陽に接近した。ミシガン大学のキャスパー博士らの研究グループが、2回の近日点通過後のデータを解析した結果、プラズマには磁場によってエネルギーが蓄えられており、このエネルギーが粒子の運動エネルギーに変換されるため、粒子が加速すると判明した。
2019年12月4日、最初の観測結果に関する4本の論文が学術誌ネイチャーに発表された。その中で、35太陽半径(2434万キロメートル)付近で観測された太陽の自転に沿って回転する太陽風の速度が、これまでの標準的なモデルで考えられていた数 (km/s)という値の20倍にも達する35 - 50 km/sに及ぶと発表された。
この観測結果は、太陽の自転速度低下に関する従来の予想や、コロナ質量放出の予測精度に影響を与える可能性がある。また、36 - 54太陽半径(2505万 - 3757万キロメートル)の距離からの観測により、黄道面に近い低緯度領域で見られる500 (km/s)未満の低速太陽風の発生源が、赤道付近の小さなコロナホールであると示唆する結果を得た。
太陽に再接近した距離は?
米航空宇宙局(NASA)の太陽探査機「パーカー・ソーラー・プローブ」が2025年6月19日、3回目にして最後の太陽最接近に挑み、太陽の表面からわずか610万km以内を飛行した。2024年12月24日、今年3月22日に続く歴史的偉業の達成となる。
厚い耐熱シールドで保護されたパーカー・ソーラー・プローブは、2018年8月12日に打ち上げられて以来、周回軌道上で最も太陽に近づく太陽近日点通過をこれまで23回にわたり実施。太陽に史上最も近い位置から観測を行うフライバイ(接近通過)も2回行い、今回みたび太陽表面から610万km以内まで接近した。
ミッションの科学チームによれば、これは地球と太陽の間の距離がアメリカンフットボールのフィールドの全長だとすると、エンドゾーンから4ヤード(約3.7m)しか離れていないという。
最後のフライバイの間、探査機の速度は時速約69万kmに到達。NASAは、米東海岸のフィラデルフィアから首都ワシントンまで1秒で移動できる速さだと説明している。
24回目の近日点通過でもある今回の最接近では、870~930度の過酷な高温にも耐えなければならなかった。温度と極端な紫外線の両方から探査機を守る装甲は、炭素複合材でつくられたシールドだけだ。
パーカー・ソーラー・プローブは現在、高楕円軌道を88日かけて周回している。楕円軌道を描くことで、太陽に繰り返し接近して観測ができるのだ。
太陽コロナはなぜ100万倍も高温か?
ミッションの主な目的のひとつは、太陽の最も外側の大気層であるコロナの温度が、光球の表面より100万倍も高温なのはなぜかを解明することである。
コロナは太陽風の発生源であり、宇宙天気を高い精度で予測するためには、太陽物理学によってコロナに関する理解をもっと深める必要がある。地球の大気と相互作用する荷電粒子の流れである太陽風の変動は、地球にオーロラを発生させるだけでなく、人工衛星に障害を引き起こしたり、宇宙飛行士の健康を害したりする恐れがある。このため、より正確な宇宙天気予報の実現が重要なのだ。
パーカー・ソーラー・プローブのミッションの後半は、太陽の第25活動周期の極大期と重なっている。太陽の磁気活動は11年周期で変動するが、今は最も活発な時期だ。
6月3日に発表された研究論文によれば、パーカー・ソーラー・プローブの太陽フライバイ中に得られたデータから、太陽コロナ内での高エネルギー粒子の新たな発生源が明らかになったという。「磁気リコネクション」(磁力線の再結合)と呼ばれるこのメカニズムは、太陽大気を加熱し、太陽風の粒子を加速させる。これは、引き延ばされた磁力線が弾けるように千切れ、つなぎ変わる際に磁気エネルギーを爆発的に開放する現象で、太陽フレア(太陽面爆発)やコロナ質量放出(CME)など、太陽活動に伴う大規模現象の発生に関与している。
論文の筆頭著者で米テキサス州サンアントニオにあるサウスウエスト研究所(SwRI)に所属するミヒル・デサイ博士は、「磁気リコネクションが地球近傍でどのような挙動を示すかはこれまでにも観測されてきたが、今回のパーカー・ソーラー・プローブの観測により、非常に強い磁場をもつ太陽近傍でいかに強力な磁気リコネクションが起こっているかがわかった」と述べている。
パーカー・ソーラー・プローブの未来は?
最後の超近接通過を終えた探査機の今後はというと、どこへも行かない。パーカー・ソーラー・プローブは現在の軌道に閉じ込められたまま、太陽の周りを回り続ける。これ以上太陽に近づくこともない。太陽にここまで近づけたのは、金星の重力を利用して加速と軌道変更を行うスイングバイを繰り返した結果であり、金星の軌道の内側に入ってしまった今はその機会も失われた。
科学ニュースサイトLiveScienceによると、パーカー・ソーラー・プローブはいずれ燃料を使い果たして燃え尽きるが、耐熱シールドは数千年にわたり軌道上に残る可能性があるという。
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