自民党大勝・トランプ関税再び
2026年2月下旬、トランプ米大統領は連邦最高裁が違法とした「相互関税」に代わり、世界一律10%で発動した新関税を15%へ引き上げると表明した。アメリカでは、通商法122条に基づき、大統領が議会の承認を得ずに、短期間(150日)発動可能な最大税率まで引き上げることができる。
欧州連合(EU)は対象外となる見通しだが、日本は対象になる見通しだ。日本は対象外にするよう 赤沢経済産業相が要請中であり、動向が注視されている。
それにしても、何度も何度も関税を上げるトランプ大統領にはうんざりだが、これだけ関税が話題になるのは第二次世界大戦前以来ではないのか。実際にベネズエラやイランに攻撃を仕掛けたのは、トランプ大統領だ。それほどアメリカは追い詰められているのだろうか。

そんな中、衆院選で歴史的な大勝を収め、自民党だけで全議席の3分の2以上という圧倒的な議席を確保した高市政権。法案や予算を通すのに野党の協力が必要となる少数与党から抜け出し、これからようやく「高市カラー」を全面に押し出せるようになる。頑張ってもらいたい。
ただ、日本にはすぐには解決できない課題が山積みとなっている。30年ほど続く低成長、世界屈指の1300兆円を超える莫大な政府の借金、少子高齢化、人手不足問題。
「責任ある積極財政」をスローガンに掲げる高市首相は、「経済成長のない国に希望はない」と言い、そうした難局を乗り切ってみせると自信をのぞかせている。しかし、経済成長はどの総理大臣も言っている。安倍総理の「アベノミクス」は印象に残っている。
果たして高市首相は日本経済を正しい方向に導くことができるのだろうか。そして本格始動する「サナエノミクス」に死角はないのだろうか。何か掛け声は勇ましいが絵空ごとに聞こえなくもない。「アベノミクス」とどこが違うのか。
高市減税では好景気の実感は広がらない
今回の衆院選はまさに異例の展開となった。ほぼすべての政党が何かしらの形での「消費減税」を掲げ、物価高や人手不足などに直面する日本経済を立て直すと訴えた。
その中で高市首相は、昨年までは慎重姿勢を見せていた消費減税の方針を選挙の直前に転換。「食料品にかかる消費税8%を2年間だけ0%に引き下げる減税案の検討を加速する」ことを公約とし、消費減税は「私自身の悲願」だと発信するなど、減税の優先順位を急速に上げた。
マニフェストでは「減税の検討を加速する」と明記したが、自民単独で法案を通せるほどの議席を得た今、何らかの形にしなければならなくなったのは間違いない。
確かに、財務省などが強く抵抗してきた減税は歓迎すべき動きではある。ただ、実際に約5兆円に上る食料品の消費税ゼロを実行すれば、経済を力強く回復させるほどのインパクトをもたらすのだろうか。
それについては残念ながら、数多くの専門家が指摘している通り、足元の物価高を多少緩和させることはできても、景気が劇的によくなるほどではない。本音はあくまで「物価高対策」というのが大方の見方でもある。
報道されない「サナエノミクス」の"宿命的限界"
なぜ大型減税を求める多くの人々の声に反して、そうならざるを得ないのか──。突き詰めていくと、高市首相の「大きな政府」の考え方に問題の本質がある。
大きな政府への"執着"を絶たなければ、多数の国民が期待する本格減税は果たせず、窒息に向かう経済状況に風穴を開けられないからだ。
このサナエノミクスが抱える宿命的とも言える限界について、「小さな政府」を唱える経済学者が言っている。「既得権益を外し、規制緩和により市場参加者を増やすべき」と…。
日本経済は「大減税」で復活する
自民党は衆院選で「飲食料品の消費税2年間ゼロ」という公約を掲げて大勝した。ただ、この公約はいかにも選挙対策だと感じる。
自民より先に、中道改革連合が「食料品の消費税を恒久的にゼロにする」と訴えた。これに触発された自民が取り込み、選挙の争点化を潰そうとしたと言える。
確かに、低所得者の負担が大きい食料品の消費税をなくすこと自体はよいアイデアではある。消費税は絶対に減らすべき。しかし自民の案では2年経てば元の税率に戻るため、経済効果としては期待できない。
政府の投資がうまくいかない根本的な理由
消費減税よりも高市首相が本当にやりたいことは、AI(人工知能)や半導体、脱炭素などの産業に投資し、日本の「稼ぐ力」を強化することで、将来の税収を増やすこと。これはバラマキではなく、成長分野への投資という意味で、「責任ある積極財政だ」と主張している。
しかし積極財政はへそが茶を沸かすような話であり、失敗するのが目に見えている。というのも政府が産業を支援して、繁栄したところは過去に1例もない。
霞が関の役人は最先端のビジネスに関する知見がなく、失敗してもクビになるリスクがない。他国の成功事例を模倣し、二番煎じでまとめた計画を実施した結果、失敗の山を築いてきた。
今まで失敗し続けたのに、どうして今回はうまくいくと言い切れるのか。それが本当にうまくいくなら、極端な話、ソ連は崩壊しなかったはず。
むしろ政府がビジネス拡大を阻害してきた
政府に成長産業を見分ける能力がないことは、さまざまな例を挙げることができるが、例えば数々の新規事業を立ち上げる米実業家イーロン・マスク氏を見れば明らか。
米政府はマスク氏を評価せず、難癖をつけて度々妨害した。マスク氏は訴訟を起こすなどして抵抗。自助努力の精神でそれを突破し、米政府が「後から」マスク氏を再評価した流れがある。
それは日本でも見られた光景。自動車産業に進出しようとしたホンダや、宅配事業に変革をもたらそうとしたヤマト運輸に対し、政府が妨害したのは有名な話。
要するに、「政府が新産業をつくり、繁栄させる」という考えは、過去の実績からも空理空論と言わざるを得ない。
そもそも政府が投資する産業を決め、補助金を給付するやり方自体が不公平。国民は等しく納税義務を果たすよう求められているにもかかわらず、支援される産業・企業と、そうではないところが出てくるから。
金融市場も積極財政を信用していない。日本の10年国債の金利は、高市氏が首相になる前は1.6%くらいでしたが、今では2%を超えている(40年国債は3.7%)。
つまり市場は、「積極財政にはリスクがあるから(インフレ悪化など)、その分の金利がつかないと国債は買わないよ」と言っており、私と同じように、「日本の財政状況が厳しくなる」と考えている。
高市首相は1円もかからない規制緩和による成長に興味なし
高市首相は安倍元首相を尊敬しているが、アベノミクスの3本の矢には、「規制緩和」が入っていた(ただ、規制緩和は不発だった)。ビジネスの足枷になったり、時代に合わなかったりする規制を緩和すれば、新しいサービスなどが生まれ、経済活動は活性化する。しかも規制緩和は財源が1円も要らないのですが、高市氏はあまり興味がないようだ。
人間は誰しも、関心があることは外の世界に何かしらの形で発信するものだが、高市首相から「規制緩和を大胆に進める」というメッセージを聞いたことがない。すると高市首相の頭には、「日本の規制がいかに経済を駄目にしているのか」という視点が欠落している。
税金は本来、10%で足りる
日本経済が停滞している原因は、政府の財政出動が足りていないのではなく、「非効率な政府が不必要に仕事を増やして予算を巨大化させ、国民に重税を課している」から。
政府が本来やるべき仕事は、「警察や外交、国防、司法の4つ」に限られるべきであり、それ以外はできるだけ手を出すべきではない。
政府を小さくすれば、税金は国民の収入から10%とるだけで足りるようになり、国民はかつてない自由と豊かさを享受でき、日本を繁栄させることができる。
高市首相の投資対象17分野は岸田・石破政権時に策定され、目新しさはない。
(1) AI・半導体 (2) 造船 (3) 量子 (4) 合成生物学・バイオ (5) 航空・宇宙 (6) デジタル・サイバーセキュリティ (7) コンテンツ(ゲームやアニメ産業など) (8) フードテック(食品開発など) (9) 資源・エネルギー安全保障・GX (10) 防災・国土強靭化 (11) 創薬・先端医療 (12) フュージョンエネルギー(核融合) (13) マテリアル(重要鉱物・部素材) (14) 港湾ロジスティクス(物流) (15) 防衛産業 (16) 情報通信 (17) 海洋

��潟�<�潟��