アンソロピック社、国防総省の使用めぐり対立
ドナルド・トランプ米大統領は2月27日、米企業アンソロピックの人口知能(AI)技術について、使用を直ちに停止するよう連邦政府の全機関に指示すると述べた。
「必要としていないし、望んでもいないし、二度と彼らと取引をしない」と、トランプ氏は自分のソーシャルメディア「トゥルース・ソーシャル」に書いた。
アンソロピック社のツールは今後6カ月の間に、政府業務から段階的に排除されると、トランプ氏は述べた。アンソロピック社は、戦場および国内の治安対策において自社のAIツールをどう使うか、誰が決めるのかをめぐり、トランプ政権との対立に巻き込まれている。
トランプ氏の最新のコメントに先立ち、国防総省はアンソロピック社に対し、同社のAIツールへのアクセスを無制限に認めるよう要求し、回答期限を設けていた。大統領は、この期限の直前にコメントした。

アンソロピック社のダリオ・アモデイ最高経営責任者(CEO)は26日、自社の技術が大規模監視や完全自律型兵器に使われる恐れがあるとして、政府のそのような要求には屈しないと述べていた。
トランプ氏はアンソロピックについて重ねて、「本当の世界がどういうものか、全く分かっていない連中が運営する、手に負えない急進左派のAI企業」だと非難した。実際にアンソロピックは2024年以降、アメリカ政府と米軍に使用されてきた。
「ChatGPT」のライバル、アンソロピックとは?
ChatGPT(チャットGPT)とは、米OpenAI社が開発した、人間のように自然な対話ができるAIチャットサービス。2022年の公開以来、質問への回答、文書の作成・要約、翻訳、プログラミングコードの生成など、広範なタスクに対応する生成AIの代表格として世界的に普及している。
現在、生成AIの世界では「ChatGPT」のOpenAI社や「Gemini」のGoogleが有名だが、実はアンソロピックという会社が、今世界を大きく揺るがしている。
アンソロピック社の「Claude」 は企業を対象に、「長文コンテキストの理解」「ドキュメント分析」「エンタープライズ用途への適応」などが特徴としてあげられる生成AIだ。
企業のDX推進においては、単に「チャットボットとして話せる」だけでなく、「大量文書を読み解く」「業務フローを自動化・整理する」など、生成と活用が一体となった能力が求められる。「Claude」 はその方向性を狙った生成AI。
この会社を設立したのは、元OpenAIの研究員だった兄ダリオ・アモデイと妹ダニエラ・アモデイのきょうだい。
「AIの安全性と信頼性の担保」を最優先事項に掲げ、商業主義に走りすぎない姿勢で「Claude(クロード)」というAIサービスを提供している。
しかし、この「良心」を掲げる企業が、2月に世界経済と国際情勢に激震を走らせることになった。
時価総額約300兆円が消失?「アンソロピック・ショック」
2月に起こった株価暴落を「アンソロピック・ショック」と呼ぶ。
1月末に「Claude Cowork(クロード・コワーク)」という機能が発表された。これによって多くのIT企業の株価が下がり、世界中で約300兆円もの時価総額が失われた。
その理由は、Claudeが「人間の代わりにパソコン作業を自律的に行う」機能を強化したことにある。これまでのAIは「質問に答える」のが主流だったが、Claudeはユーザーのパソコンに入り込み、Excelの更新を検知してレポートを自動作成したり、経理処理を勝手に終わらせたりといった「裏側の作業」を自動化できる。
これにより、これまで人間や既存のSaaS(ソフトウェアをインターネット経由でサービスとして利用する形態)、あるいはIBMのような大手コンサル企業が担っていた高額なビジネスモデルが、一気に「不要」になる懸念が広がった。
軍事利用を巡る「トランプ政権」との対立
話は経済に留まらず、緊迫する国際情勢にも及ぶ。
先日、アメリカ・イスラエルによるイランへの攻撃や、南米でのマドゥロ大統領拘束事件において、アンソロピックのAIが作戦立案に利用されたのではないかという疑惑が浮上した。
ここで、アンソロピックの「社是」が大きな火種となる。
2月12日、国防総省はアンソロピック、Google、OpenAI、そしてイーロン・マスク氏のxAI(Grok)に対し、軍事利用を認めるよう要求した。
他の3社が承諾する中、アンソロピックだけは『良心に従い、軍事利用は受け入れられない』と明確に拒否した。これに激怒したのがトランプ氏でした。
トランプ大統領はアンソロピックを『サプライチェーン上のリスク』に指定した。ロシアや中国の企業と同じように、『国防に関わる企業はアンソロピックを使うな』と排除に動いた。
しかし皮肉なことに、その排除命令が出た翌日の大規模攻撃で、またアンソロピックのAIが使われたようだ。
「便利ツール」から「国家の根幹」へ
この1ヶ月の動きを振り返り、「AIは単なる便利な道具ではなく、企業の存続や国家の安全保障の根幹に浸食し始めている」という。
一方で、軍事利用を拒絶したアンソロピックは、業界の「良心」として多くの称賛も浴びてもいる。彼らが掲げる「信頼性」が、今後のAI開発のあり方をどう変えていくのか。約300兆円を動かし、国家をも揺さぶる「Claude」の動向から目が離せない。
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