人工知能の3つの段階
人工知能研究においては、人工知能を性能のレベル別に見て、3つに分けることがある。
特化型人工知能(ANI): 1つの問題を解決する事に特化した人工知能(知的エージェント)。特定の問題では人間の能力を凌駕することがあるが(コンピュータチェスなど)、人間のように多種多様な問題に対して柔軟に取り組むことはできない。今まで開発されたほぼ全ての人工知能がこれに含まれる。
汎用人工知能(AGI): 人間と同等の知能を持った人工知能。人間は様々な問題に対して柔軟に対処することのできる「汎用知能」を持つが、汎用人工知能はこれを人工的に再現する。「ChatGPT」や「Claude」が汎用人工知能で現在進行中である。
人工超知能(ASI): その次に来るのが、人間の知能を全ての面において超えた人工知能。これを人工超知能(ASI)という。人工超知能については人間の知能を超えた思考を持つため、どのような挙動をするかという予想が人間自身には困難とされる。人類が生む最後の大発明である。

人工超知能が実現した場合、人類は本質的にその行動・思考・原理を理解できない可能性がある。その傾向はすでに現れており、例えば汎用人工知能や人工超知能にすら達していない特化型人工知能(ANI)のコンピュータ囲碁ソフトや将棋ソフトにおいて、開発者ですらどのように動作しているか正確に理解できておらず、プロ棋士さえ「これが良い手なのか悪い手なのか本当に理解できない」と述べている。
2030年以降、労働や貯蓄の無意味化と、資本主義の崩壊
移行期を抜けた先の世界では、人々はAIとロボットが生産する豊富なモノやサービスの供給を受けるだけの存在となる。生活を維持するために働くという経済的な必要性は消滅し、仕事はやりたい人だけがやる行為となる。生活のために働くという経済的強制から解放された人類にとって、労働は「趣味」のような活動へと変わっていく。衣食住の制約が消滅した環境下で、人間はAIが創出する無限のエンターテインメントや仮想の友人との交流に時間を費やすようになる。
生活基盤が完全にサポートされるため、10年後や20年後の老後に備えて資金を貯蓄するという概念自体が完全に無意味化する。同時に、従来の法定通貨の重要性は薄れ、お金の価値が喪失する。これにより数世紀にわたって機能してきた資本主義のルールが根本から崩壊する。需要と供給に支えられた市場の原理原則は崩れ去り、企業の提供価値はモノやサービス不足の解消から、新たな意味や体験の創出へと完全に移行する。
最終段階、人類最後の役割「生物学的ブートローダー」の結末
最終段階では、衣食住を含むすべてのモノとサービスがAIとロボティクスによって潤沢に提供される「普遍的高所得(Universal High Income)」の世界が完成する。マスク氏は、人類の歴史的使命は自らよりもはるかに高度なデジタル超知能を起動させるための「生物学的なブートローダー(コンピューターの起動プログラム)」であると定義する。
全く新しいデジタル文明が立ち上がった時点で、人類の過渡期的な存在としての役割は完了する。未来において人間の知能は宇宙全体の知能の1%未満に縮小し、人間は支配者ではなく圧倒的な知能の「同乗者」として新たな時代を歩むことになる。
デイヴィッド・チャーマーズは、汎用人工知能は超知能に至る可能性が高いと指摘している。なぜならば、人類と同程度の知能を持つ汎用人工知能が生み出されたと仮定して、それは自らのプログラムを改良可能であることを意味し、そしてプログラムが改良されたのならばその改良されたプラグラムによって生み出された知能を用いてさらに改良を続けることができ、これが延々と繰り返される。これが「再帰的自己改善(Recursive Self-Improvement)」と呼ばれる現象である。
「無限電力」による「無限豊穣の時代」
こうしたAIの進化の最大のボトルネックとして、「電力」と「冷却」のエネルギー問題として残される。AIの進化のスピードに対し、データセンターへの電力の供給と熱の冷却が間に合わず、地球上のエネルギーでは賄いきれない状況になる。
この課題の解決法としてマスク氏は、宇宙の軌道上にデータセンターを構築し、無尽蔵の太陽光を24時間直接利用することを検討している。荒唐無稽に思えるかもしれないが、Googleも「Project Suncatcher(プロジェクト・サンキャッチャー)」というプロジェクト名で、この宇宙データセンター構想を真剣に推し進めている。
このようにイーロンマスク氏が予言する世界では、人類は一切の知識活動をAIに引き渡すのと引き換えに、モノやサービスが無尽蔵に教授できる「無限の豊穣の時代」を迎えることになる。労働や貨幣経済が無意味化した「普遍的高所得」の世界において、人々の仕事は自発的な趣味へと変わり、圧倒的なAIの計算能力を用いた無限の学習やエンターテインメントの享受する世界が訪れる。
その時に初めて人類は真の意味での生きる意味を問われることになるだろう。そしてこの宇宙の謎や生命の意義を探求する知的好奇心の追求にこそ、人類は新たな生きる意味を見出していくことになる。
これより先はプライベートモードに設定されています。閲覧するには許可ユーザーでログインが必要です。

��潟�<�潟��