トランプ大統領「戦争はほぼ終わった」
イラン戦争が停戦してホッとしているところだが、この先が不透明だ。トランプ大統領は戦争はほぼ終わったといっているが、何度も言動に振り回されてきた我々はすぐに信じることはできない。
2026年4月14日、米国ワシントンD.C.のホワイトハウスで、ドナルド・トランプ米国大統領がフォックス・ビジネスのインタビューに応じている。それによると「イラン戦争はほぼ終わった段階」とし、今週末にパキスタンでイランと交渉を再開する可能性を示唆した。
トランプ大統領は同日、ホワイトハウスで行われ翌日放送されたフォックス・ビジネスとのインタビューで、「過去形で話を続けているが、戦争は終わったのか」という質問に対し、「ほぼ終わったようだ(I think it’s close to over)」と答えた。あわせて「今すぐ(米軍が)撤収するとしても、その国を再建するには20年はかかるだろう」と述べた。ただし「我々はまだ終わってはいない。どうなるか見守ろう」とし、「彼らは非常に切実に交渉を望んでいる」と付け加えた。(写真は2017年の中国訪問)

トランプ大統領はまた、「習近平・中国国家主席に対し、イランに武器を送るなという書簡を書いた」とした。あわせて「習主席はイランに武器を送っていないと否定する返信を送ってきた」と述べた。トランプ大統領は続いて自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に「数週間後、私が(中国を)訪問すれば、習主席は私を非常に温かく抱擁してくれるだろう」とし、「我々はスマートに、そして非常によく協力している」と投稿した。
これに先立ち、ニューヨーク・ポストとのインタビューでも「今後2日以内に何かが起きる可能性がある」とし、今週末の交渉再開の可能性を示唆した。1回目の交渉が開かれたパキスタン・イスラマバードに滞在している同紙の記者に対し、「君は今まさにそこ(パキスタン)に留まっていなければならない」とし、「今後2日以内に何かが起きる可能性もあり、我々がそこへ行く可能性が高まったためだ」と述べた。
「有利になった」トランプ大統領の中国訪問
2026年5月14~15日、米国のドナルド・トランプ大統領(第2次政権)は中国を訪問し、北京で習近平国家主席と首脳会談を行う予定である。当初は3月末の予定だったが、イラン情勢への対応で延期されていた。貿易摩擦、台湾問題、中東情勢などが議題で、次男エリック氏夫妻も同行する見通しだ。
中国にとって主要な石油供給国であるベネズエラとイランに対し、米軍が相次いで軍事作戦を実行したことにより、中国の習近平国家主席は米中首脳会談を控えて不利な立場に置かれることになった。イランとの休戦が決まれば、トランプ大統領は「有利な条件」で中国を訪問することができる。
エピック・フューリー作戦が示した最も重要な点は、アメリカの空軍力が無敵だということではない。そうではなく、アメリカが依然として「システム戦」の戦い方を維持しており、トランプ政権がそれを選択できるという点だ。
初日には陸海から100機以上の航空機が出撃し、サイバーおよび宇宙領域での作戦がイランの通信とセンサーを弱体化させる一方で、航空戦力は指揮統制センター、弾道ミサイル基地、海軍戦力、情報インフラを攻撃した。B2スピリット戦略爆撃機は米本土から往復37時間かけて飛び、貫通弾を投下した。
台湾有事の想定では、アメリカは危機の初期段階で戦力を集結させ、護衛を強化し、空母や爆撃機を移動させ、中国側が明確なレッドラインを越えるまで中国本土への攻撃は控えるとされた。だが、イラン戦争が別の可能性を示した。政権が本格的な戦争に踏み切ると決めた途端、米軍は相手の「脳」「神経系」「四肢」を攻撃したのだ。
機能しなかった中国製の防空システム
重要なのは、アメリカが一部の分析が想定しない規模で、初期に攻撃を集中させる能力を持っているという点だ。中国はこの可能性を織り込まなくてはならない。
イラン戦争から得られる教訓は、中国がイランと同じだということではない。台湾防衛が容易だということでもない。焦点は、戦争に踏み切るかどうかの判断基準が政治によってどう変わるかだ。
高強度の作戦ではミサイル在庫は急速に消耗し、その再補充は今も大きな産業的課題だ。しかし重要なのは、アメリカが一部の分析が想定しない規模で、初期に攻撃を集中させる能力を持っているという点だ。中国はこの可能性を織り込まなくてはならない。
しかも中国製の防空および情報システムは、ベネズエラやイランで期待された性能を発揮していない。HQ9B地対空ミサイルやJY27Aレーダーなど、中国が長距離防空の切り札として売り込んだ装備は、アメリカの攻撃に対して機能しなかった。
ベネズエラの作戦に関わった米軍関係者は本誌にこう語った。「アメリカが(当時のベネズエラ大統領のニコラス・)マドゥロの拘束作戦を計画した際、彼らの情報機関は全く察知できなかった。ベネズエラの高性能装備は全て機能せず、防空もレーダーも役に立たなかった」
想定される「台湾有事」も米軍側の有利に
台湾のシンクタンク、国防安全研究院の政策アナリストである呉政諭(ウー・チョンユィ)も、この評価に同意する。
「イランやベネズエラといった紛争地域での最近の実例は、中国の防衛技術に根本的な欠陥があることを示している。それは『システムとしての耐性』の欠如だ」
「中国製の探知システムは一見優れたものに見えるが、多くの場合は『晴天時限定』だ。理論上は機能しても、高度な電子妨害やステルス戦術に直面すると崩れる。防空システムは、現代のデジタル戦場で生き残るための柔軟な指揮構造や防護が欠けている。中央集権的な『脳』に依存しているため、通信が妨害・遮断されると容易に無力化される」
台湾有事の従来のシナリオが半ば常識のように広まっているのは、中国の現実の強みに基づいているためだ。中国海軍は艦艇数で世界最大であり、370隻以上の艦艇と潜水艦、140隻以上の主要水上戦闘艦を保有している。航空戦力はインド太平洋地域で最大、世界でも第3位で、総計3000機以上。そのうち約2400機が戦闘機だ。
人民解放軍のロケット軍は、台湾で不測の事態が起きた際にミサイルの抑止力として機能することを想定しており、ASBM(対艦弾道ミサイル)はアメリカの介入を牽制するように設計されている
世界の国々を敵に回したトランプ大統領
アメリカは台湾有事で、中国の防空・情報システムを無力化できる可能性を、今回のイラン戦争で示しており、今回のトランプ大統領の中国訪問はアメリカの有利に進むことが考えられる。
しかし、これには「アメリカが、イラン戦争が終結できれば」…という条件がついていることを忘れてはいけない。中東の石油に依存している、日本や東南アジアの国々にショックを与えた今回のイラン戦争。終戦しないとなればアメリカ離れする国も増えていくことになる。
これまで国際連合を支持し、国家の行動を規制するルール作りの推進を支持した。もちろん、アメリカは過去にも何度も国際法を無視し、違反してきたし、アメリカのそうした行動が、原則本位の国際秩序という理念を大きく空洞化させてきた。
今回のトランプ大統領の行動は、さらに国際連合を無力化させた。トランプ大統領はアメリカ第一主義を推し進めた。アメリカは何の罰も受けずに好きなように行動できるという信念だけは、不変のようだ。それこそが、アメリカを再び偉大にする方法なのだと言う。
もしトランプ大統領がこの道を進み続けるならば、世界は100年ほど前の、帝国の時代へと逆戻りしかねない。そのリスクがある。かつてのその世界では、勢力圏をそれぞれもった列強が、自分の意志を周囲に押し付けようとした。かつてのその世界では、民族主義を掲げた強大な権威主義者たちが、自国民を破滅へと導いたのだ。
共産主義の国に資本主義を取り入れさせ、豊かになったことは多くの国民にとってよいことだ。一方で世界平和にも関係するほどの軍事力を持ち、アメリカにとって仮想敵国の一つになってしまった中国。そんな国に親善とはいえ訪問し、交流しなければならないとは…キツネやタヌキの化かし合いという感じだ。つくづく政治家にはなりたくない。トランプ大統領はその点はすごいと思う。
トランプ大統領はホルムズ海峡を開放しイラン戦争を終結させ、こうした不透明な世界情勢をまとめ、平和への道筋を示すことができるのだろうか?

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