巨大化した恐竜たち

 今から約2億年前、中生代三畳紀後期に出現した恐竜は、当初は物陰に隠れる小型動物だった。 彼らが爆発的に種類を増やし、巨大化し1億6千万年もの繁栄を築いた秘密は何だろうか。

 ブラキオサウルスは、約1億5000万年前に生息していたと考えられ、体長25m、体重50tと推測されている。アフリカや南米に分布していた可能性があり、1900年頃から研究されている知名度の高い恐竜だ。最大級の恐竜として、古くから本や映画などのメディアにも登場している。

 現在ではさらに大きな恐竜も発見されている。スーパーサウルスは1億4000万年前、アメリカに生息していたと考えられている。体長40m、体重50tと推測され、当時この種の個体数は少なかったのではないかといわれている。古くから人気があり、最大級の恐竜としてさまざまなメディアで取り上げられている。

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 最も大きなアルゼンチノサウルスは約1億年前、アルゼンチンに生息していた。体長45m、体重90tに達すると推定されており、その巨大な足の骨から、現在発見されている恐竜の中で最大と考えられている。また、脊椎骨の特徴から、これまでに知られている巨大恐竜とは異なる種ではないかという意見もある。

 地球環境の変化と「節水」能力

 恐竜の出現当初、陸生大型動物の生態的位置(ニッチ)は、ワニや哺乳類の縁者らで埋め尽くされていた。

 これらの動物は、循環器系の構造上、多量の飲み水を必要とする動物だったと考えられている。 三畳紀後期に地球の乾燥化が進んだ結果、彼らは陸地から退場を余儀なくされた。

 一方、現生の恐竜である「鳥」は大量の飲み水を必要とせず、白い固形の尿を排泄する「節水型」の動物。恐竜も同様に「おしっこの量が少ない」という、地味ながら極めて重要な特性を持っていたことが、乾燥した環境下での生存競争に打ち勝った最大の要因だと考えられている。

 また、恐竜が最も繁栄したジュラ紀は、大気中の二酸化炭素濃度が現在の20倍に達し、地球の平均気温が10度以上も高い温暖な気候だった。

 この温暖さが植物の成長を促したことで、豊富な食料が供給され、恐竜たちの繁栄につながったとも考えられている。

 巨大化した5つの理由

 繁栄の過程で、恐竜が巨大な体を手に入れた理由には、複数の要因が複合的に絡み合っている。

1. 巨大化に適した骨格構造  恐竜は出現当初から、胴の直下に伸びた長く頑丈な後肢を持つ直立歩行の骨格を備えていた。この構造は、ガニ股の爬虫類と異なり、重い体の負荷を効率よく支えるのに適していた。

 最古の恐竜(エオラプトルなど)がすでに高速で走れたことは、「荷重に耐えられる」骨格の裏付けであり、のちの巨大な植物食動物への進化条件を最初から満たしていた。

2. 超効率的な呼吸器系「気嚢」の発達

 恐竜の体中には、肺を補助する器官である「気嚢(きのう)」が張り巡らされ、非常に効率的に酸素を取り入れることができた。

 ワニやオオトカゲよりも群を抜いて発達した気嚢のおかげで、巨大な体への十分な酸素供給が実現した。

 気嚢は、体を軽量に保ち、骨の強度も高めるメリットがあった。さらにスムーズなガス交換は、巨大化を支えただけでなく、後に鳥類への進化(空への進出)にも深く関与していた。

3. 生きている限り成長する特性

 化石の分析から、恐竜は哺乳類とは異なり、近縁の爬虫類と同様に生きている限り成長し続ける特性を持っていた。これも巨大化の一因だ。

4. 豊富な食料環境

 温暖な気候により植物が大量に存在し、多量の食事を取ることが可能だった。ただし、植物の体積当たりの栄養価が極端に低かったため、植物食恐竜の多くは生存のために大量に食べる必要が生じ、結果として大型化を遂げたとも考えられている。

5. 捕食者からの防衛戦略

 ある程度の大型化は、捕食者にとって仕留めにくくなるという防衛上の大きなメリットをもたらした。敵が少なくなるこの戦略が、さらなる大型化を極める動機となった可能性がある。

 この結果、皮肉にも、それらを捕食する肉食恐竜の大型化も招くこととなった。

恐竜巨大化の謎と重力増大
権藤正勝
学習研究社
2004-12-01


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