地球防衛軍

 ゲームやSFの世界ではよく出てくる地球防衛軍。その中のストーリーでは人類が、悪い宇宙人の侵略から地球を守るために協力・結束する。

 現実の地球ではまだまだ遠い理想だが、いつの日か子供のころに見たウルトラマンやウルトラセブンに登場する地球防衛軍のようなものができると良いと思う。

 5月7日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の山川 宏理事長は、在ベルリン・イタリア大使館において、欧州宇宙機関(European Space Agency: ESA)のアッシュバッカー長官との間で、プラネタリーディフェンス(地球防衛)分野における協力を強化、促進するための協力覚書(Memorandum of Cooperation: MOC)を締結した。

画像

 プラネタリーディフェンスのきっかけ

 プラネタリーディフェンスとは、地球に接近する小惑星等の天体を早期に発見、特性評価し、軌道を精密に計算することで地球への衝突可能性を評価するとともに、衝突の恐れがある場合にはその影響を回避・軽減するための対応策を検討・実行する国際的な取り組みである。

 古くは6600万年前に恐竜を絶滅させた巨大隕石の衝突がある。最近でも、2013年にロシアに落ちたチェリャビンスク隕石によってかなりの被害が生じた。また、1908年のツングースカ大爆発では、天体の衝突によって2000平方キロメートルに渡って樹木がなぎ倒されたと言われている。

 これらの被害をもたらした天体の大きさは、チェリャビンスク隕石が17mくらい、ツングースカ大爆発の方は60〜100mと推定されており、小さな天体でも大きな被害を生じることが分かる。

 小惑星の軌道調査が進む中で、地球に接近する天体が多数(3万3000個以上)発見され、将来的な衝突の可能性が具体的に予測されるようになった。

 プラネタリーディフェンス(地球防衛)

 天体の地球衝突問題を扱う「スペースガード」の活動は1990年代から本格化し、2000年前後以降、国連においても本格的な議論が行われ、プラネタリーディフェンスとして国際的な活動に発展してきた。

 国連では2029年を「小惑星認識と惑星防衛の国際年(International Year of Asteroid Awareness and Planetary Defence)」と設定している。

 このような全人類の課題に対し、日本では「宇宙基本計画」の工程表においてプラネタリーディフェンスの活動を行うことが示されている。こうした背景のもと、JAXAとESAは2024年11月に署名した「将来大型協力に関する共同声明」において、地球防衛を含む協力可能性の検討を加速させてきた。今回締結されたMOCと協定は、両機関の協力をさらに強化することを目的としている。

 プラネタリーディフェンス(地球防衛)は、地球に近づく小惑星などの天体を早期に発見し、軌道を精密に計算して地球への衝突の可能性を調べ、衝突の可能性がある場合には対応策を検討し実行する取り組みである。

 重要なことは「充分前から備える」こと。地球衝突までの時間があればあるほど、いろいろな対応の検討・実行ができる。また、一つの国で対応するのではなく、国際的に連携することが重要である。

 プラネタリーディフェンス主要ミッション

 DESTINY+(デスティニー・プラス)とRAMSES(ラムセス)は、2028年度にH3 ロケットで相乗り打上げされる予定。JAXAとESA(ヨーロッパ宇宙機関)の協力により、プラネタリーディフェンスにつながるデータを取得するために、アポフィスを探査する。

 DESTINY+はアポフィスにすばやく接近して観測をし、RAMSES はアポフィスにとどまって詳しい観測をする。DESTINY+は、その後、このミッションで最も重要な天体である小惑星フェートンに向かう。

 世界中の研究者が大注目中!小惑星アポフィスとは?

 アポフィスは、地球の近くを通る軌道をもつ小惑星。2029年4月13日(金)に地球に非常に近いところ、最接近時は地上約3万2,000kmまで近づく(静止衛星の高度より低い)。ただし、地球に衝突する心配はない。

 大きさは約340mと推定されており、これほど大きな天体がここまで近づくのは観測史上初めてですので、世界中で観測や探査の準備が進められている。

 このアポフィスの地球接近は、アポフィスのような小惑星が地球の強い重力によって軌道・自転・表面などがどのように変化するのかを確かめる千載一遇の機会になる。得られるデータは、天体の地球接近の予測やプラネタリーディフェンスの実行の仕方の検討につながる。

 小惑星探査機はやぶさ2# 拡張ミッション

 2026年7月に小惑星トリフネにフライバイ & 2031年には小惑星1998 KY26へ到着

 小惑星探査機「はやぶさ2」は、ミッションを延長して拡張ミッション「はやぶさ2♯(シャープ)」を行っているが、プラネタリーディフェンスにもつながる技術と知見を蓄積している。

 2026年7月には小惑星トリフネに対して秒速5kmですれすれのところを通過させる運用に挑戦する。これは、探査機を小惑星に体当たりさせるための技術獲得につながる。

 2031年には直径約30m あるいはさらに小さい可能性がある小惑星1998 KY26を訪れ、「小さくて自転が速い」天体の性質を詳しく調べ、プラネタリーディフェンスの作戦向上に生かす。

 2026年11月Heraが小惑星ディディモス・ディモルフォスに到着

 ESAのHera(ヘラ)は、NASA の探査機DART(ダート)が小惑星ディディモスの衛星であるディモルフォスに体当たりして起こした変化を現地で詳しく確認し、「体当たりがどれだけ効いたのか」を調べるミッション。

 衝突でできたクレーターや放出物、小惑星の運動の変化などを調査し、将来、危険な小惑星の進路を変える必要が生じたときに、探査機を衝突させてその軌道をずらす方法がどのくらい有効なのかを検証する。

 HeraにはJAXAも参加しており、熱赤外カメラTIRI(ティリ)を提供した。TIRIで小惑星の表面温度の分布を測ることで、地面が砂状か岩状かといった性質を推定する。こうした情報を他の観測結果と合わせることで、体当たりの効果をより定量的に確かめることができる。

 2024年10月に打ち上げられたHera は、小惑星ディディモス・ディモルフォスに2026年11月に到着予定。