スペースX、上場で史上最大12兆円の調達

 実業家のイーロン・マスク氏が率いる米宇宙企業スペースXが6月12日、米ナスダック市場に新規上場した。初値は米東部時間の午前11時50分頃、1株150ドル(約2万4000円)をつけた。新規株式公開(IPO)を通じた調達額は約750億ドル(約12兆円)で、2019年にサウジアラビアの取引所に上場したサウジの国営石油会社サウジアラムコを超えて史上最大となった。

 マスク氏は12日、米南部テキサス州にあるスペースXの本社での式典で、「倉庫から始まった小さな会社が、史上最大のIPOで上場するとは信じられない」と話した。

 IPOでは、5億5555万株を1株135ドルで売り出した。マスク氏は引き続き、スペースXの議決権の8割を保有する。米ブルームバーグ通信によると、募集枠に対して4倍の応募があったという。

 売り出し価格で計算すると、時価総額は1兆7700億ドルとなる。米企業では、マスク氏が率いる電気自動車(EV)大手テスラや、SNS大手メタを超え、7番目の規模になる可能性がある。(マスク氏に記念品を渡すトランプ大統領 二人の関係は良好だった)

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 スペースXは2002年設立。再利用可能なロケット開発、衛星通信網「スターリンク」、買収したAI(人工知能)開発企業「x AI」の三つの事業が柱となっている。

  トランプ大統領はインサイダー取引をしているのか

 マスク氏のスペースX社が無事上場でき、トランプ大統領はホッとしていることだろう。万が一、市場が暴落している時に上場していたらその損失は計り知れないものになる。ただでさえ、トランプ大統領とマスク氏の関係は悪化していた。

 トランプ大統領と実業家のイーロン・マスク氏の関係は、2024年の大統領選挙における強力な協力関係から一転し、翌2025年6月に起きた予算削減法案をめぐる公然の対立へと急速に悪化した。

 トランプ政権で政府の歳出削減を主導したイーロン・マスク氏は、トランプ氏肝いりの大型減税・歳出法案(ビッグ・ビューティフル法案)に電気自動車の補助金削減が含まれていたため、これを公然と批判した。これに激怒したトランプ大統領がマスク氏を「恩知らず」と非難し、マスク氏も「私がいなければ選挙に負けていた」と反論して激しい口論に発展した。

 トランプ大統領の訪中と経済代表団5月、トランプ大統領は就任後初の中国訪問を行い、習近平国家主席との首脳会談を実施した。この際、テスラのイーロン・マスク氏やアップルのティム・クックCEOなど、米国の経済界を代表する十数人のトップが代表団として同行した。

 中国はテスラにとって最大級の生産・販売拠点であるため、マスク氏は米中首脳会談にあわせて開かれた国賓晩餐会に出席するなど、中国政府との良好な関係をアピールした。最近、マスク氏とトランプ氏の関係は回復しているようだ。

 トランプ大統領、停戦成立を37回訴える 

 一方、トランプ米大統領は6月11日、米国がイランとの「戦争を終結させた」と主張した。これに先立ちトランプ氏は、両国が戦闘停止に向けた「非常に強力な覚書」に合意したと発言していた。

 トランプ氏は4月7日、交渉は「かなり進んでいる」とし、「合意を確定させ、成立させる」には2週間が必要だとした。そして「この長年にわたる問題が解決に近づいているのは名誉なことだ」と締めくくった。

 もちろん、解決には至らなかった。それにもかかわらず、トランプ氏はこの2カ月、合意は目前だと示唆し続けてきた。何度も。

 停戦前の期間も含めると、トランプ氏は少なくとも37回そうした発言を繰り返している。37回とは、SNS、公の場、メディアとの電話で合意が近いとまさに述べたり、イラン側が合意を切望していると主張したりした回数だ。

 4月7日時点よりも現在の方が合意に近づいていることを示す兆候はない。それでもトランプ氏はそう言い続けた。まるで妄想を抱いているのかのように…。なぜ停戦合意を主張し続けているのだろうか。

 その理由は、金融市場を落ち着かせようとしているのは明らかだ。というのは、これまで関税などのトランプ発言で、何度も振り回されてきた投資家たちにも愛想を尽かれてきている。特にイーロンマスク氏はトランプ氏の熱烈な支持者であったにも関わらず仲違いしてしまったのは痛かった。

 アメリカの次期中間選挙は、2026年11月3日に予定されている。トランプ政権の任期折り返し点にあたり、上下両院で共和党が過半数を維持できるかが最大の焦点だ。

 これ以上、イーロンマスク氏などの投資家たちに見放されたくないトランプ氏は、どうしても市場を落ち着かせたかった。それで「停戦合意話成立」を37回も発言したのだ。

「あなた方が耳にしたかどうかは分からないが、我々は今日、イランとの戦争を終結させた」。トランプ氏はジョージア州知事選に出馬しているバート・ジョーンズ州副知事を支持するテレビ演説の中でそう述べた。

「彼ら(イラン)は核兵器を保有しないことに同意した。これは我々が強く主張してきたことであり、戦争の目的のすべてだった。目的の95%はこの点にあった」(トランプ氏)

 この発言に先立ち、トランプ氏はイランへの追加攻撃を中止。ソーシャルメディア上で合意に達したことを示唆していた。ただその詳細な内容については明らかにしなかった。

 一方のイランは合意が成立したことを現時点で確認していない。トランプ氏はソーシャルメディアへの投稿で、イランの港湾を出入りする船舶に対する米国の海上封鎖は「この取引が最終決定されるまで」継続すると述べた。

 金融市場が落ち着けば、トランプ大統領は急ぐ必要がない

 イラン側とアメリカ側双方がホルムズ海峡を封鎖しているがこれは何のためだろうか。

 イラン側は封鎖したのは、アメリカ・イスラエルとのイランの紛争に伴い、イランが海峡の通過を制限し、通行料を課している。通行料を課すことで国内のインフラ復興と戦費に充てたい狙いがある。

 アメリカ側は、経済制裁と資金源の遮断を目的としている。アメリカは、イランが中国などへ石油輸出などで資金を得て紛争を継続することを防ぐため、イランの港を発着する船舶の海上交通を制圧し圧力をかけている。

 現在、和平交渉は停滞中である。トランプ大統領が求める核開発計画の放棄などを巡り、パキスタン等で行われた停戦・和平交渉が物別れに終わった。

 イラン情勢が戦争でも平和でもないグレーゾーンに突入する中、トランプ米大統領は「プレッシャーは全くない。我々は完全な勝利を収めるだろう」と述べている。

 だが、すべて破壊する必要はなく(物理的に不可能)、イラン軍を弱体化させた上で、非核化に合意、あるいは核兵器をつくる能力を潰せば、トランプ氏としては作戦目標を達成したと判断できる。

 実際にイランは核施設などを攻撃され、その損失は少なくとも43兆円(イラン政府発表)にも上り、経済を再建するのに10年以上かかるほどの大損害を被ったという。

 現在のアメリカは停戦期間を逆に利用して、イランの石油輸出を止め、イラン政府を支える屋台骨を崩そうとしている(政府収入の約半分が石油・天然ガス)。

 つまり、大手メディアが"膠着気味"と報じる停戦期間は、イラン経済にとっては生き地獄となっており、いつ倒れるか分からない瀬戸際に追い込まれつつあるのだ。



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