H3ロケット打ち上げ成功
去年の打ち上げ失敗からの再起をかける日本の主力ロケット「H3」の6号機が、6月12日午前、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられ、計画どおり6つの小型衛星を軌道に投入して打ち上げは成功した。
今回のH3ロケットは「30形態」で、左右にブースターがなくスッキリした見た目になった。 第1段に液体エンジン「LE-9」を3基束ね、液体エンジンのみでリフトオフする。ブースターを搭載しない大型ロケットは日本初となる。
スッキリしたのは見た目だけではない。狙いはコストだ。30形態は太陽同期軌道(高度500km)に4トン以上の打ち上げ能力を持ちながら、JAXAが「打上げ価格の低減を目指した形態」と位置づけるH3の最小構成。JAXA宇宙輸送技術部門は、民生品の活用やライン生産化に加え「固体ロケットブースタを装着しない軽量形態で約半額を目指す」と説明しており、地球観測衛星など需要の多い低軌道向け打ち上げの価格競争力を担う。

去年の失敗から再出発
H3ロケット6号機は、6月12日午前10時前、3基のメインエンジンに点火され、種子島宇宙センターの発射台を離れた。
JAXAによると、ロケットは計画どおり順調に飛行し、およそ15分後に高度580キロ付近で無事、目標の軌道に到達した。その後、6つの小型衛星を軌道に投入し、打ち上げは成功した。
H3ロケットは去年12月の打ち上げに失敗していて、JAXAは失敗の原因となった衛星を載せる土台を補修し、およそ半年ぶりに打ち上げを再開させた。
今回打ち上げられた6号機は、補助ロケットを使わない「30形態」と呼ばれる新しい形態の試験機で、失敗からの再起をかける打ち上げに注目が集まっていた。
打ち上げ後の会見でJAXAの山川宏理事長は「去年12月の打ち上げ失敗を厳粛に受け止め、信頼回復を念頭に徹底的な原因究明、対策に全力をあげてきた。日本のロケットがより着実で、高い信頼性と国際競争力を発揮できるよう、気を引き締めてこれからも取り組んでいく」と話している。
去年12月の打ち上げ失敗後、原因究明と対策に取り組んできたJAXAの有田誠プロジェクトマネージャは打ち上げ成功後の記者会見で「失敗から半年がたち、短いようで長い半年だったが、たくさんの方の協力を得てここまで来ることができた。なんとか達成できてまずはほっとしている」と振り返った。
その上で「今回の打ち上げには、失敗からの再起に向けた挑戦と、新しい技術への挑戦という2つの意味があると言ってきた。新しい技術への挑戦については、詳細なデータ分析が必要だが一定の成果が得られたのではないかと考えている。一方で再起に向けた挑戦については、実用衛星の打ち上げに向けてまだまだやらないといけないことがある。H3を事業の軌道に再び乗せていくために気を引き締めてこれからも取り組んでいく」と話した。
新形態は炎の見え方や聞こえ方に違いが
今回打ち上げられたH3ロケットの新形態「30形態」は、補助ロケットを取り付けずに打ち上げられたため、これまでの形態に比べて、ロケットから出る炎の見え方や音の聞こえ方に違いがあった。
打ち上げ成功後に取材に応じたJAXAの有田誠プロジェクトマネージャによると、今回の打ち上げを見た人からは「透明な炎が見えた」といった声が多く聞かれた。
そのように見えた理由について有田プロジェクトマネージャは「補助ロケットは中に含まれる固体燃料の組成上、白い煙を出していくが、液体水素や液体酸素が燃料のメインエンジンは水蒸気が出るため基本的に炎が透明に見える」と説明した。
また「打ち上げ時の音を大きく感じた」という声も多く聞かれたということで、これについて有田プロジェクトマネージャは「音は多くの噴煙を出す補助ロケットの方が大きいと考えられがちだが、実はメインエンジンの方が理論上、音が大きい設計となっている。理論で想定されていたことが正しかったことに驚いた」と述べた。
そして、自分自身は管制室にいて炎や音を直接感じていないとして「本当は私自身がいちばん体感したい」などと笑顔で話していた。

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