ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(James Webb Space Telescope、JWST)は、アメリカ航空宇宙局(NASA)が中心となって開発を行っている赤外線観測用宇宙望遠鏡である。ハッブル宇宙望遠鏡の後継機であるが、計画は度々延期され、2021年12月25日に打ち上げられた。
JWSTの名称は、NASAの第2代長官ジェイムズ・E・ウェッブにちなんで命名された。ウェッブは1961年から1968年にかけてNASAの長官を務め、のちのアポロ計画の基礎を築くなど、アメリカの宇宙開発を主導した。かつては「次世代宇宙望遠鏡」(NGST / Next Generation Space Telescope)と呼ばれていたが、2002年に改名された。
2022年7月12日にはJWSTが初めて撮影した画像公開された。これまで、ファーストスターは発見されてないが、初期宇宙の常識が覆る発見をしている。初期の宇宙を観測するたびに、大量の「小さな赤い点」が見つかっている。これらは初期の超巨大ブラックホールなのか、未知の天体現象なのか、天文学の常識を揺るがす謎である。(写真はJWSTによるディープフィールドの画像 手前の銀河団の重力レンズによって後方の初期宇宙銀河が歪んで拡大されている)

星の誕生現場の可視化ハッブル宇宙望遠鏡では見通せなかった星雲の奥深くに潜む、生まれたての原始星や、惑星が作られる現場(原始惑星系円盤)を捉えたり、系外惑星の大気成分の解明、さらに、生命の存在につながる可能性のある化学反応の兆候なども見つけ出している。
任務と運用
JWSTの主な任務は、宇宙誕生ビッグバンの約2億年後以降に輝き始めたとされるファーストスター(種族III)を初観測することである。ファーストスターからの光は赤方偏移により波長が引き延ばされ赤外線に変化すると考えられており、赤外線域で捜索・観測することによって、ファーストスターを発見することが期待されている。そのほか、搭載する高解像度の赤外線画像センサーと分光器による系外惑星の観測についても、新たな知見が得られるのではないかと期待されている。
JWSTの運用は、ESAとNASAが共同で行う計画である。打ち上げ後JWSTは、太陽 - 地球系のラグランジュ点の1つ(L2)に置かれることになっている。JWSTは、ハッブル宇宙望遠鏡(以下「HST」と記す)のように地球の周回軌道を飛行するのではなく、地球から見て太陽とは反対側150万キロメートルの位置の空間に漂わせるように飛行する。その距離は月の公転軌道より約4倍外側である。
より正確に言えば実際にL2地点に到達するのではなく、L2の周囲に存在するハロー軌道に投入される。発射から29日後にMid Course Correction (MCC)と呼ばれるロケット燃焼によって最終的な軌道に乗る予定で、MCC2の燃焼終了時点が「L2に到達した」タイミングとなる。(写真は宇宙空間に展開した JWST想像図)

HSTは地表から約600キロメートルという比較的低い軌道上を飛行しているため光学機器にトラブルが発生してもスペースシャトルで現地へ行って修理することが可能であったが、これに対しJWSTは地球から150万キロメートルもの遠距離に置かれるため、万が一トラブルが発生してもHSTのように修理人員を派遣することは事実上不可能とみられている。
望遠鏡の構造
JWSTの質量は6.2 tとして計画されており、HST(約11 t)の約半分である。一方、ベリリウムを主体とした反射鏡主鏡の口径は約6.5 mに達する。これはHST(口径2.4 m)の2.5倍で、面積は7倍以上にもなる。この点から、HSTをしのぐ非常に高い観測性能が期待されている。望遠鏡の大型化の一方で、鏡の重量は軽量化されている。
主鏡の直径は、現存するいずれの打ち上げロケットにも収まらないほど巨大であるが、主鏡は一枚鏡ではなく18枚の六角形セグメントに分割されている。各鏡セグメントは約20kgであり、望遠鏡が打ち上げられた後に高感度のマイクロモーターと波面センサーによって正確な位置に導かれて展開する。
主鏡の鏡面は全体としても六角形をなしており、集光部と鏡がむき出しとなっている。このため、主鏡の鏡面は電波望遠鏡のアンテナを連想させる形状をしている。本体は筒型ではなく、主鏡の下にシート状の遮光板が広げられた形となっている。鏡面はターゲットとする波長の赤外線をよく反射させるため金の蒸着が施されている。このため黄色より波長の短い可視光域は金に吸収され観測できない。
成果と期待
ファーストスターそのものの特定にはまだ至っていないが、JWSTは宇宙誕生からわずか2〜3億年後という初期の宇宙に存在していた銀河や星団を次々と発見している。これにより、宇宙最初の星々がどのように銀河の形成に繋がっていったのか、その歴史の解明に大きく迫っている。
NASAの最新の観測装置であるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は、約160万キロの旅を経て、宇宙のフルカラー画像を初めて撮影した。そして7月12日、ジョー・バイデン米大統領が特別プレビューイベントで、そのうちの一枚を披露した。漆黒の宇宙空間で無数の銀河がきらめく画像だ。
「この望遠鏡は、宇宙の歴史をのぞくための新しい窓です」とバイデン大統領は語った。「そして今日、その窓から差し込む最初の光を私たちは見ることになります」
披露された画像は、ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡が初めて撮影したいわゆる「ディープフィールド」画像と呼ばれるものだ。宇宙の小さな一角をじっくり見つめ、薄暗い光を集め、非常に遠くの天体を浮かび上がらせる。赤外線で宇宙を観測するJWSTの目を通して見ると、そうした小さな一角にも、光り輝く銀河がひしめき合っていることがわかる。その一部は130億年以上前、まだ宇宙が赤ん坊だったころに存在したものだ。
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