絶滅危惧種の鳥
環境省のレッドリスト(2026年改定・第5次)によると、日本に記録される野鳥のうち約17%にあたる108種が絶滅危惧種に指定されている。主な原因は、森林開発による生息地の減少や、外来種による捕食、地球温暖化である。
日本における代表的な絶滅危惧種の鳥は、例えばトキ(絶滅危惧IB類)は1980年代に野生で一度絶滅したが、佐渡島での野生復帰の取り組みにより個体数が増加している。
シマフクロウ(絶滅危惧IB類)は北海道の原生林に生息する国内最大のフクロウ。川の開発や巨木の伐採で激減しましたが保護事業が進められている。
ヤンバルクイナ(絶滅危惧IA類)は沖縄島北部(やんばる)の森にのみ生息する飛べない鳥。外来種による捕食で危機に瀕していたが、現在は対策により回復傾向にある。(写真は鳥島で繁殖中のアホウドリペア)

アホウドリは現在、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。特別天然記念物の海鳥です。19世紀末の乱獲で絶滅寸前まで減少したが、伊豆諸島・鳥島でのデコイ設置などの保護活動が実を結び、2026年現在は推定1万羽以上にまで個体数が劇的に回復している。
かつては日本近海に数百万羽が生息していたが、明治以降に羽毛を目的とした乱獲が相次ぎ、少なくとも約500万羽が殺されたという。人間から逃げないおっとりとした性質が「アホウドリ」という名前の由来にもなっている。1949年の調査では絶滅したと宣言されたが、1951年に鳥島でわずか10羽ほどが再発見され、奇跡的に命脈を保った。
アホウドリが回復
乱獲によって戦後に一度は絶滅宣言された、東京から約600キロメートル南にある伊豆諸島「鳥島」のアホウドリが、保全活動によって今繁殖期(2025-26年)に1万羽を超えるまで個体数が回復したと山階鳥類研究所が発表した。ほかの島の繁殖地での個体数を増やしていければ、絶滅の危機から脱して、環境省レッドリストで選定されている絶滅危惧II類から準絶滅危惧種へ移行する可能性があるという。
アホウドリは、成鳥が両翼を広げた長さが2メートルを超え、体重は4~5キロある。日本では最大級の海鳥だ。夏の間はずっと海の上で生活しているが、秋になると繁殖地に戻って冬に集団で子育てをする。地上での動きの鈍重さや警戒心が薄く人にすぐ捕まってしまうことから、アホウドリと呼ばれるようになったという説がある。
150年ほど前には北太平洋西部の島々に分布しており、個体数は少なくとも数十万羽いたと考えられているが、1890~1900年代にかけて羽毛をとるための乱獲によって激減した。1949年には米国の鳥類学者がアホウドリの絶滅宣言をしたが、1951年に鳥島測候所のスタッフがアホウドリを再発見。観察個体数15羽程度の時期から国や山階鳥類研究所などが保全活動を続けている。
地道な保護活動
鳥島のアホウドリ繁殖地モニタリングを担当している山階鳥類研究所の富田直樹研究員(鳥類生態学)によると、鳥島ではこれまでに、本物そっくりの模型である「デコイ」を置いたり、繁殖地の土砂の流出を防ぐ整備を行ったりしている。こうした保全活動により、推定個体数は1992年には500羽、2000年には1300羽と増えつつあった。繁殖地(コロニー)も、初寝崎、子持山、燕崎の3つになっている。
鳥島でのアホウドリの個体数は、ヒナについては繁殖期ごとに、足環をつける作業を行いながらかぞえる。繁殖に参加しているペアについては、繁殖期ごとに巣の数を数え、ペアの個体数は巣の数の2倍と推定する。繁殖に参加していないとみられる6歳以下の若鳥については、これまでの調査結果などに基づいてヒナの死亡率を5%と仮定し、各繁殖期のヒナの数から推定していく。
今繁殖期(2025-26年)は、ヒナは1591羽で、前の繁殖期の1337羽より約2割多かった。ペアの数は、過去4繁殖期のデータと今繁殖期のヒナの数などから2114ペア、4228羽と推定。5248羽と推定した6歳以下の若鳥とあわせて、計1万1067羽のアホウドリが鳥島にいると推定された。富田研究員は「誤差を考慮しても1万羽を超えていると考えられる」と話す。
アホウドリは現在、環境省レッドリスト2026では、絶滅危惧II類に選定されている。絶滅の危機を脱して絶滅危惧種から外れて準絶滅危惧種になるには、個体数が増えること以外にも、火山島である鳥島の繁殖地の状況改善のほか、小笠原諸島聟島(むこじま)や尖閣諸島南小島といったほかの島のアホウドリの個体数が増えることなどが必要となる。
富田研究員は「乱獲で個体数が減って一度は絶滅宣言まででたという、人間の『アホウ』な歴史を名に持っているともいえるアホウドリ。激減の原因を作った人の手による個体数回復の試みの成果が出つつあるが、まだまだ通過点なので、これからも保全を続けていく必要がある」と話している。

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