宇宙開発に必要な再利用技術
現在、再使用型ロケットの開発が進んでいる。再使用ロケットはコストダウンに必要で、アメリカの「ファルコン9」が成功している。アメリカのファルコン9(Falcon 9)は民間企業スペースX社により開発・運用されている、部分的に再利用可能な2段式のロケットである。
「ファルコン9」は、スペースシャトル以後では初となる、機体を回収・再使用する衛星打ち上げロケットである。かつてスペースシャトルでは軌道上に到達するオービタ(飛行機)と呼ばれる上段部分が再使用されたのに対して、ファルコン9では1段目のロケットとフェアリングを再使用する。
2011年まで使用された「スペースシャトル」もアメリカの宇宙開発に貢献した。当初はロケットで打ち上げ、飛行機(オービタ)で帰ってくると言うコンセプトは素晴らしいものであった。しかし、宇宙へ到達するロケット技術と、大気中を飛行する技術は別物であって、両方の安全技術を両立させるためには莫大な運用コストが必要であった。2度の事故があり中止となった。

今回、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が研究開発を進めている再使用型ロケットの実験機の飛行試験が7月11日、秋田県能代市で行われ、実験機は正常に飛行し、およそ11メートルの高さまで上昇したあと、計画どおり着陸した。
JAXAは打ち上げ後に機体を回収して繰り返し使うことのできる再使用型ロケットの研究開発を進めていて、その実験機「RV-X」は、高さおよそ7.3メートルの円すい形の機体に離着陸用のエンジンなどが取り付けられている
JAXA 再使用型ロケット実験機の試験
7月11日は、初めての飛行試験が秋田県能代市の実験場で行われ、午前6時15分ごろエンジンに点火されると、ごう音とともに打ち上げた。
JAXAによると、実験機はおよそ40秒間、正常に飛行し、11メートルほどの高さまで上昇したあと、上空で16メートルほど水平方向に移動し、計画どおり着陸したという。
JAXAは、今回の飛行試験で取得したデータを詳しく分析し、フランスとドイツの研究機関と共同で開発している再使用型ロケットの実験機の開発に生かすとしている。
JAXAの伊藤隆実験主任は、「時間をかけて開発に取り組んできたので、ちゃんと離着陸してくれてほっとしている。今回得られたデータを次の実験機の成功につなげていきたい」と話している。
再使用型ロケットの現状
再使用型ロケットは、アメリカの民間企業「スペースX」が開発した「ファルコン9」ロケットですでに実用化されている。
ファルコン9は当初は使い捨てでしたが、2015年に人工衛星を載せて打ち上げられた際、上空で切り離したロケットを地上に着陸させることに初めて成功した。
これによって、ロケットを回収して繰り返し使うことが可能になり、高頻度での打ち上げや打ち上げの低コスト化が実現したとされていて、スペースXは人工衛星を宇宙へ運ぶ宇宙輸送ビジネスの市場で圧倒的なシェアを誇っている。
また、2年前には月や火星への飛行も想定した大型宇宙船「スターシップ」を打ち上げるロケットを発射台の2本のアームでつかんで回収することにも初めて成功している。
このほか、アメリカでは、宇宙開発企業「ブルーオリジン」が再使用型ロケット「ニューグレン」を開発している。
一方、日本でも、再使用型ロケットの技術を新たに獲得し、次世代の主力ロケットに取り入れようと、JAXAが2016年度から実験機「RV-X」の開発を始めた。
繰り返し使用できるエンジンや、着陸時の姿勢制御技術などの開発を10年がかりで進め、今回の飛行試験で使われたのと同じエンジンで燃焼試験を164回繰り返し、安全性や性能などを確認してきたという。
さらに、JAXAはフランスとドイツの研究機関と共同で、大気の上層部まで到達可能な再使用型ロケットの実験機「CALLISTO」の開発も進めていて、「RV-X」と同型のエンジンを使用して、飛行試験を始める予定だ。
JAXAは今回の「RV-X」の飛行試験のデータを詳しく分析し、今後の再使用型ロケットの開発に生かしていくとしている。
ファルコン9
ファルコン9(Falcon 9)はアメリカ合衆国の民間企業スペースX社により開発・運用されている、部分的に再利用可能な2段式のロケットである。低周回軌道に22,800 kgの打ち上げ能力を持つローンチ・ヴィークル。2010年6月4日に初打ち上げが行われ、成功した。
ファルコン9は、スペースシャトル以後では初となる、機体を回収・再使用する衛星打ち上げロケットである。かつてスペースシャトルでは軌道上に到達するオービタと呼ばれる上段部分が再使用されたのに対して、ファルコン9では1段目のロケットとフェアリングを再使用する。
1段目の回収は、陸上の着陸地点又は無人のドローン船(太平洋担当のJust Read the Instructions(指示をよく読め)号、大西洋担当のOf Course I Still Love You(もちろんまだ君を愛している)号)など4隻に対して、装着されたグリッドフィンやサイドスラスターで姿勢を自律制御して、エンジンの再点火を行い減速しながら目標地点へ軟着陸する。着陸間際には4脚の着陸脚が展開される。直立した状態で港へ帰り、大型トレーラーで輸送された後、整備されて再度打ち上げられる。
徹底した低コスト化が図られたロケットであり、打ち上げ価格は2022年時点で6,700万ドル(約90億円)と1億ドルを超える同規模同時代のロケット(デルタ IV、アトラス V、アリアン5、)と比較して遥かに安価であり、特に商業衛星市場において多くのシェアを獲得している。
スペースXは、2024年に132回のファルコン9打ち上げミッションを実施し、世界全体のロケット打ち上げ数の50%以上を占めた。ファルコン9は史上最も高頻度で打ち上げられている軌道ロケットである。
ファルコン9ロケットの名前は、『スター・ウォーズ』のミレニアム・ファルコン号に由来しており、ファルコンロケットシリーズの後ろにつく1と9の数字は1段エンジンの数を表す。

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