祝賀ムードと熱いエネルギー
7月4日、アメリカは建国250周年を迎えた。
1776年7月4日の「独立宣言」によって建国されたアメリカでは、各地でアメリカの「インデペンデンス・デイ(独立記念日)」を祝うパレードや花火大会、さまざまな祝賀行事などが行われており、首都ワシントンD.C.では、ホワイトハウスのタスクチーム「Freedom 250」などが中心となって、数カ月に渡って多くの企画や行事が開催されている。
ワシントンD.C.では、7月10日まで17日間開催中の「グレート・アメリカン・ステート・フェア」をはじめ、議事堂前でのコンサートや、あちこちで深夜まで続く祝賀会などで、街全体が祝賀ムードと熱いエネルギーに溢れる。
7月4日は、ワシントンD.C.では、記録的猛暑のため、午前中のパレードは中止になったものの、昼から夜までにかけて米国史上最大規模の航空ショーが開催され、最新鋭ステルス機から新エア・フォース・ワン(大統領専用機)までが次々に上空を飛び、軍用機の爆音と共に、あちこちから大歓声が上がった。

夜は、リンカーン記念堂からワシントン記念塔にかけた一帯で、建国250周年を祝う盛大な記念行事「アメリカへの賛辞(Salute to America)」が催された。
10万人を超えると見られる大行列が続く中、突然の雷雨予報により、一旦行事が中断され、大群衆が近くの博物館や美術館などに避難するというアクシデントもあったが、2時間遅れで再開し、軍楽隊による演奏や、テノール歌手などによるライブに続き、午後11時過ぎから、総立ちの大観衆に向けて、トランプ大統領がリンカーン記念堂で演説を行った。
共産主義との対決
トランプ氏は、前日のサウスダコタ州のラッシュモア山(4人の大統領の巨大な彫刻で有名)の前での講演と同様に、アメリカの建国の精神の土台をなす独立宣言を引用し、「人間は、創造主(Creator)によって平等に創られ、創造主から、生命と自由、幸福の追求権を与えられた」ことを繰り返し、「信教の自由」を筆頭に、自由は政府からではなく創造主から与えられたことを強調。アメリカが、自由を守るための戦いで勝利してきた歴史を讃えた。トランプ氏が神や創造主に言及するたびに大きな歓声が上がった。
さらに、「我々は皆、全能の神に似せた姿として創造された。共産主義者は決してそんなことは言わないだろう」「アメリカは決して共産主義にはならない」「共産主義は機能しない。癌のようなものだ」などとも強調し、共産主義への強い批判を込めた。
その背景には、下記に詳述するように、11月の中間選挙に向けて各選挙区における各党の代表者を選出する予備選で、民主党代表として、6月下旬から次々に、「民主社会主義者」の下院議員候補や市長候補が勝利して、一気に社会主義が台頭し、アメリカの自由への脅威と認識され始めたことがある。同時期からトランプ氏は、自身のSNS(Truth)でも、共産主義批判を繰り返し、保守メディアなどでは「トランプは共産主義への戦いを宣言した」とも報道された。
また、トランプ氏は、アメリカの歴史的な星条旗をエピソードと共に紹介し、第二次世界大戦で戦って生き抜いた高齢の退役軍人たち(最高齢は107歳)や、アルテミス2ミッションで月の裏側を周回した飛行士4人、さらに、戦争で亡くなった兵士の家族などを次々に紹介して、壇上に呼び、彼らの勇気や犠牲、貢献を讃え、会場は大歓声に包まれた。
最後に、「我々の運命は、神の手によって記されている」と発言し、アメリカの「ゴールデン・エイジ」の到来を告げた。
トランプ氏の演説後、ライブミュージックの大音響の中、深夜12時から、リンカーン記念堂の反射池を含む10カ所から史上最大規模となる85万発の花火が40分間、打ち上げられた。深夜にもかかわらず、アメリカの自由の勝利を祝うエネルギーに満ち溢れ、会場に設置されたFOXニュースのスタジオのアンカーたちも興奮の渦に巻き込まれ、まさに、建国250周年にふさわしい記念行事だった。
民主社会主義者の台頭
11月3日の中間選挙に向けて、共和党と民主党は、選挙区ごとに代表者を決める予備選を数多く行っている。共和党内の予備選では、トランプ氏が支持した候補者がほぼ全勝しており、共和党内でのトランプ氏の求心力と影響力を示している(関連記事:「習近平の黄昏? ─ Part 3 地の底を這う中国経済」)。
一方で、民主党内での予備選では、民主党本部の予想にすら反して、アメリカ民主社会主義者団体に所属する「民主社会主義者」の候補者が次々に勝ち進んでいる。これは“(社会主義者であるニューヨーク市長の)マムダニ効果"とも言われているが(6月23日付ナショナル・レビューなどの指摘)、保守系からは、「民主党は共産党になった」とまで批判されている。
西部コロラド州では6月30日、15期務めた民主党の現職下院議員ダイアナ・デゲット氏を29歳の民主社会主義者であるメラット・キロス氏が破り、大きな衝撃が走った。
また、6月17日には、ロサンゼルス市長の予備選で、民主社会主義者のニトヤ・ラーマン氏(LAのマムダニと呼ばれている)が勝ち進んだ。11月の決選投票には予備選の上位2人が進むため、現職の左翼市長カレン・バス氏と対決することになった。
6月18日のワシントンD.C.市長の民主党予備選でも、民主社会主義者のジェーンース・ルイス・ジョージ氏が勝利した。共和党支持者が6%しかいないワシントンでは、彼女の当選が確実であるため、11月には、ニューヨーク市に続き、ワシントンD.C.市でも社会主義者の市長が誕生する見通しとなってしまった。
民主党本部や中道派の民主党議員ですら、予想を超えた極左(社会主義者)の台頭に頭を悩ませている。
司法における攻防戦
中間選挙に向けて、多くの法案の攻防戦が行われ、主要なものは最高裁にまで上がり、この1~2週間で次々と判断が下され、トランプ政権にとって有利なものと不利なものが入り混じった結果となっている。
資金力や議席確保の面においては、共和党を大きく後押しする判決が出ている。
最高裁は6月末、6対3の判決で、政党委員会と候補者との間の協調支出(選挙資金の制限)を定めていた長年の連邦法を違法として覆した。
共和党は民主党に比べて党の全国委員会などの資金力が非常にあるため、この制限撤廃は、中間選挙における共和党の選挙戦や広告展開を圧倒的に有利に運ぶ可能性が高いと言われている。
また最高裁は、意図的な人種差別が明確に証明されない限りは、民主党に有利な選挙区割りを認めない判決を下した。
さらに、91年前の判例を覆して、連邦取引委員会などの独立政府機関の委員を、大統領の裁量で罷免できるという判断を示した。これは、トランプ氏が進める行政権の拡大(ディープステート解体政策)を司法が認めたことを意味し、中間選挙に向けて政権の強さを示す象徴的な勝利と言える。
一方、トランプ氏が中間選挙に向けて強く求めていた「投票ルールの厳格化(郵便投票の制限)」や「不法移民対策」に関しては、最高裁は否定した。
最高裁は6月末、5対4の判決で、トランプ政権側の訴えを却下し、投票日当日の消印があれば、投票日以降(最大5日遅れまで)に届いた郵便投票も有効としてカウントすることを認めた。
民主党が優勢な州を中心として大幅に郵便投票が認められていること自体、他国では例がない上、さらに期日後の郵便投票も有効にするというのは、アメリカ以外の国ではあり得ない、異常な判断と言えるだろう。
トランプ氏は郵便投票を「不正の温床」として批判し、ルールの厳格化を進めようとしたが、最高裁に却下された形だ。民主党支持層に多い郵便投票が広く保護されるため、民主党に有利となる。
また、トランプ氏が不法移民抑制策として掲げていた「不法移民から生まれた子供への出生市民権の制限」計画についても、最高裁は却下した。トランプ氏にとって支持層へのアピール材料となる移民政策の柱が覆されたことは、打撃となる。
さらに最高裁は、大統領による独立機関の人事権拡大を認めつつも、金融政策を担う連邦準備制度理事会(FRB)に関しては例外とし、トランプ氏がリサ・クックFRB理事を罷免することを5対4で否決した。
UFO情報開示後、UFOや宇宙人を信じる人が増えている
トランプ政権は、映画『ディスクロージャー・デイ』公開日に合わせたのか、6月12日にUFO資料の第3弾(新たに72件)を発表した(関連記事:「トランプ政権のUFO開示第3弾に合わせ『UFO委員会』新設が話題に ─ 『開示の加速』『UFO科学の主流化』に期待!」)。
第1弾、2弾と同様、今までは国家機密として公開されていなかった、信頼度が非常に高いUFO・UAP情報を公開し、その判断は国民に任せるという形式を取る。政府としての公式見解はまだ何も出ていない(関連記事:「人類よ、もう目を逸らすな! トランプ怒涛のUFO開示」)。
またトランプ政権は6月16日、UFO資料の機密解除を調整するために、新たな省庁横断組織「UAPガバナンス委員会」を設立し、その中に「UAP科学諮問委員会」をつくることを発表した。本紙7月号(「宇宙人情報の深層と全貌 UFO開示で歴史は変わる ─ Part 1 日本初! 米議会UFO公聴会の証言者インタビュー」)にインタビューで登場したティム・ギャローデット博士・元海軍少将もメンバーに指名された。
UFOや宇宙人を信じる人の割合は、非常に増えており、まるで、何かの事態に向けて準備しているかのようにも見える。
そして最近、キリスト教系識者の多くは、「宇宙人の存在は、神への信仰や聖書の内容とは矛盾しない」と解釈する方向に急速にシフトしている。
一部の識者(主として福音派)は、UFOについて未だに「悪魔の働き」と解釈し、その意見は、一時期は注目を浴びて有力になったかのように見えたが、5月8日にトランプ政権がUFO資料の第一弾を公開したころから、キリスト教メディアなどでも、「信仰や聖書と、宇宙人の存在は矛盾しない」という論説が増え(創造主は地球人以外も創造している可能性に言及)、急速に少数派になりつつある。 (米ワシントン在住 N・S)
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