ニチレイグループは2026年7月13日午前6時50分ごろに不正アクセスを検知。被害拡大を防ぐため、グループ全体のネットワークを緊急遮断した。7月15日、調査によりサーバーへの「サイバー攻撃」であったと発表。不正アクセスを受けたサーバーの一部に個人情報が含まれており、漏洩の可能性を報告した。
最近多い、日本企業を狙ったサイバー攻撃。サイバー攻撃とは、インターネットなどのネットワークを通じて、サーバーやパソコンから金銭や機密情報を盗んだり、システムを破壊・停止させたりする悪意ある行為である。
その中でランサムウェアというものをよく聞く。これは何だろうか?
「ランサムウェア」とはマルウェア(ソフト)の一種で、PCなどに不正アクセスして悪事を働くプログラムである。

「ランサムウェア」は「ランサム(身代金)」と「ソフトウェア」をつなげた言葉で、データの身代金を要求する。ランサムウェアへ感染するとパソコンに保存されたデータが暗号化され、読みだせなくなったりパソコンが動かなくなったりする。
ランサムウェアに感染するとPCに保存されたデータが暗号化されて読めなくなり、ユーザーはデータを人質に身代金を要求される。
最新のランサムウェアは非常に強固な暗号が使用され、ファイルを完全に解読できるツールはない。
近年日本でもテレワークが増えているためランサムウェアと無縁ではなく、リモート環境のセキュリティの脆弱さを狙った犯行が増えている。
感染すると身代金の脅迫だけではなく、個人情報や企業の財務情報が闇サイトに流出し大損害を被る。
ランサムウェアの犯人はどこの国?
ニュースで連日報じられるランサムウェア被害。その攻撃の多くは、国境を越えた特定の国や地域から「完全な分業制」によって組織的なビジネスとして行われている。「なぜ、遠く離れた海外から日本企業が狙われるのか?」
まず、ランサムウェアの犯人は「どこの国」に多いのか?
ロシアや北朝鮮、中国、イランなどがあげられる。しかし実行犯は各国に分散し、国籍と拠点が一致しないケースも多い。
世界のランサムウェア被害の大部分は、ロシアや旧ソ連圏を拠点とするサイバー犯罪グループによるものとされている。高度なITスキルを持つハッカーが集結し、完全な分業制による闇ビジネスを形成しているという。
北朝鮮は、国家主導により「外貨獲得」を目的とした攻撃を行なっている。北朝鮮を拠点とするハッカー集団は、個人犯罪者ではなく「国家の強力な支援」を受けて活動している。サイバー攻撃により暗号資産サイトに侵入し窃取している。
日本でも大きな被害が出ており、2024年に暗号資産交換業者「DMMビットコイン」から約482億円相当のビットコインが流出した事件は、北朝鮮のハッカー集団「TraderTraitor(トレイダートレイター)」によるものと警察庁等により特定されている。
中国やイランを拠点とする国家支援型ハッカー集団も、侵入時にランサムウェアを用いることがある。 ただし、真の目的は機密情報の搾取やインフラ破壊であり、ランサム被害に見せかけて、本来のスパイ活動を隠蔽する偽装工作を行う。
実行犯は各国に分散し、国籍と拠点が一致しないケースも多い。昨今、攻撃の仕組みがパッケージ化されているため、ロシア製のランサムウェアを使って東南アジアや南米の実行犯が攻撃するなど、ツールの開発国と実行犯の国籍が一致しないことも多い。
日本企業が狙われる3つの理由
遠く離れた海外のハッカーから、なぜ日本の企業が執拗に狙われるのか。そこには日本特有の「隙」がある。
理由①:資金力があるにもかかわらず、セキュリティ投資が遅れている
日本企業は高い資金力を持っているが、欧米企業と比較して、ITセキュリティへの投資や専門人材の確保が遅れている組織が多い。そのため、犯罪者から「お金を持っているのにガードが甘い」と、絶好のターゲットと見なされている。
理由②:子会社やサプライチェーンという弱点の露出
本社のセキュリティが堅牢でも、管理の目が行き届きにくい子会社や、セキュリティ対策が手薄な取引先(サプライチェーン)が侵入口として狙われる。そこを踏み台にして、最終的に本社のネットワークへと侵入されてしまう。
理由③:生成AIによる自然な日本語のフィッシング詐欺
かつては「不自然な日本語」だったフィッシング詐欺メールも、生成AIの普及により、自然な日本語を簡単に作成できるようになった。これにより、海外の犯罪グループであっても、日本のビジネス習慣に合わせた文面を大量に生成できるようになり、従業員が不正リンクや添付ファイルを開いてしまうリスクが飛躍的に高まっている。
理由④:「身代金を払いやすい」と誤解されている国民性・商習慣
「事業停止による顧客への迷惑を避けたい」「トラブルを内密に解決しようとする」といった日本の企業像が分析されており、脅迫すれば身代金を払いやすい土壌があると思われている。
国際犯罪組織から守る「3つの根本対策」
相手の顔も国籍も見えない以上、特定の組織への対策ではなく「誰が来ても守り切れる体制」を作ることが不可欠。
対策①:「侵入される前提」で構築するゼロトラスト環境
VPNのパッチ未適用やパスワードの漏えいなど、最初の侵入を100%防ぐことは不可能です。「誰も/何も信頼しない(Never Trust, Always Verify)」というゼロトラストの前提に立ち、システム内部での防衛網を構築する。
EDRの導入: 不審な挙動を常時監視し、被害が広がる前に自動で隔離する仕組みの構築 MFA(多要素認証)の徹底: パスワード漏えいによる不正ログインを防ぐ強固な認証の必須化 アクセス権限の最小化: 万が一侵入されても、被害範囲を最小限に抑えるための厳格な権限管理
対策②:「イミュータブルバックアップ」の確保
ランサムウェアはシステム本体だけでなく、バックアップデータも標的にしてくるため、攻撃者の手が物理的・論理的に届かない安全な保管環境を確保することが、事業復旧の最大の命綱となります。
イミュータブルバックアップの確保: 管理者権限であってもデータの変更・削除が不可能な状態での保存
オフライン保管: 感染した社内ネットワークから完全に切り離された隔離環境へのデータ退避
定期的な復旧テストの実施: 有事の際にデータが確実に復元できるかを確かめる実践的な訓練
対策③:警察機関との連携と脅威情報の収集
高度に組織化された国際的なサイバー犯罪集団に対して、自社単独で戦うことは困難。有事のパニックを防ぐためには、平時から外部機関と連携して、迅速に初動対応ができる体制を整えておくことが重要。
脅威情報の収集: 警察(サイバー犯罪対策課)やIPAからの、最新の手口や動向の継続的な情報収集
通報・相談ルートの確立: 万が一の被害発生時に備えた、外部の専門機関へ連絡できる窓口の確保
社内エスカレーションフローの明確化: インシデント発生時に「誰が・どこへ連絡し判断を仰ぐか」という社内手順の整備
ランサムウェア攻撃は、国境を越えて分業化された「国際的なサイバー犯罪ビジネス」であり、次々と新たなグループが台頭する、終わりのないサイクルが続いている。しかし、「犯人はどこの国か」を気にしても自社の被害は防げない。攻撃者が誰であれ、彼らが狙ってくるのは自社の無防備な入り口。
唯一の防御は「検知・封じ込め・確実な復旧」を備えた体制づくりであり、「侵入される前提」で自社の弱点を塞いでいくことが、事業と信頼を守り抜く最大の鍵となる。

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