原理主義やディープステートと戦うトランプ大統領
アメリカ軍は7月20日、10日連続となるイランへの攻撃を行った。アメリカの政府当局者はNHKの取材に「壊滅的な攻撃は大統領が判断を下すまで続ける」と述べて攻撃は続くという見方を示していて、事態が収束する見通しは立っていない。
CIA(中央情報局)による情勢分析では、アメリカがいま続けているような攻撃によって、イラン政府が大きな打撃を感じたり交渉姿勢を軟化させたりする可能性は低いと評価しているという。そのうえで、アメリカとイランは平和と戦争の間で先行きの見えないこう着状態に陥っていると結論づけている。
イランはイスラム原理主義の国であり、アメリカに対して戦闘継続の意志を示している。もちろん、国民の中には民主化を望んでいる人たちも多いだろうが、戦時中の日本と同じく、国が一つになって戦う姿勢を見せている。そういう意味で原理主義は人々を結びつける力がある。トランプ大統領は原理主義の国と戦っている。

一方、アメリカ国内ではトランプ大統領の演説をメディアが生中継しない事態が起きている。トランプ大統領は「現状の電子投票や開票システムが「不正操作に脆弱」であり、少なくとも中国やロシア、イラン、北朝鮮などは、アメリカの選挙インフラを侵害する能力を有している」ということを伝えたかった。
報道しなかったメディアや、不正操作の事実を隠蔽した米情報機関(FBI)の中には「我々は影の政府を運営している」と述べ、大統領の意向に従わないことを宣言していた者もいたという。彼らはディープステートと呼ばれる存在で、彼らともトランプ大統領は戦っている。
米国防総省がアリババなど「中国軍事企業」188社のリスト公表
実際に、中国による情報操作は巧妙で中国の「アリババ」など中国企業は顧客データ提供などで人民解放軍を支援していることがわかっている。
米国防総省は2026年6月、中国の人民解放軍に協力する「中国軍事企業」のリストを公表した。昨年、中国軍事企業に指定された約130社に、中国ネット通販大手の「アリババ集団」や、検索エンジン大手の「バイドゥ(百度)」、電気自動車大手の「BYD(比亜迪)」などが新たに追加され、リストに掲載された企業は188社に上った。
米国防総省は「中国軍事企業」を、中国軍が所有または管理する企業、あるいは中国の「軍民融合」に貢献する企業と定めている。
トランプ政権は今年2月、アリババとバイドゥなどを加えた中国軍事企業のリストを公開していたが、すぐに撤回した。トランプ大統領の訪中を前に、中国との摩擦を避けたと見られており、トランプ氏が5月に訪中を終えたため、再度公開した可能性がある。
中国軍事企業に指定された企業は、アメリカで事業を継続することはできるものの、監視の目が強まり、さらなる規制の対象となる可能性がある。また、米民間企業がこれらの中国企業と取引しても、法的な罰則はないが、国防総省がそうした米企業と契約を解消したり、研究資金の提供を止めたりする可能性がある。
国防総省は、中国軍事企業との直接契約が禁じられており、2027年からは第三者を通じて該当企業の製品・サービスを購入することも禁止される。
他に中国軍事企業に追加されたのは、人型ロボットメーカーの「ユニツリー・ロボティクス(宇樹科技)」、バイオテクノロジー企業の「ウーシー・アップテック(無錫薬明康徳新薬開発)」、レーザーを使って周囲を認識するセンサーを主力とする「ロボセンス・テクノロジー(速騰聚創科技)」など。米AI半導体大手の「エヌビディア」は今年6月、ロボット開発でユニツリーと協業する計画を発表していた。
米下院の「米国と中国共産党間の戦略的競争に関する特別委員会(中国特別委)」委員長を務めるジョン・ムーレナー下院議員(共和党)は、「米証券取引所に上場している全ての中国企業は全て直ちに上場廃止とし、その製品は我が国が依存するサプライチェーンから排除されるべきだ」「米企業は国家安全保障に対するこうした脅威との取引を停止しなければならない。さもなければ中国の軍事的対応を助長することになる」などと警鐘を鳴らしている。
一方、アリババやバイドゥなどは声明で、「中国軍事企業認定は根拠がない」と強く否定。アリババは、「当社は中国の軍事企業ではなく、いかなる軍民融合戦略の一部でもない。当社を不当に表現しようとする試みに対してはあらゆる法的措置を講じる」と述べている。
アリババ、バイドゥ、BYDは、それぞれネット通販、インターネット検索、電気自動車市場でトップの、中国の代表的企業。アメリカでも積極的に事業展開している。こうした防衛・安全保障分野とは一見関連づかない有名ブランド企業が「中国軍事企業」に認定されることの衝撃は、大きいものがある。
中国企業は共産党政府と常に一体
中国メディアは「米政府によって、中国のビジネスと軍事の境界線は公式に消された」などと批判しているが、実際にはそのような境界線は初めから存在していない。なぜなら、アメリカで活動する全ての中国企業は、習近平国家主席と中国共産党の承認を得て運営されている。中国の法律の下では、企業は必要に応じて国家の情報機関や治安当局と協力する義務がある。中国企業と中国共産党(中国軍)は常に一体なのだ。
実際に、昨年11月に英フィナンシャル・タイムズ紙が、アリババは中国軍に顧客データやWi-Fiネットワークデータへのアクセスを許可していると報じていた。またアリババは、中国軍がアメリカのインフラや企業へのサイバー攻撃を行うために利用できるサイバーセキュリティの脆弱な部分も報告している。
アリババ創業者のジャック・マー氏は、2020年10月の金融フォーラムで、中国当局を批判する発言を行った。その結果、当局による同社への圧力が厳しくなり、その後、マー氏はアリババ集団の経営権を手放すこととなったことからも、中国企業の経営者に拒否権はないことが分かる。
またバイドゥも、検索エンジンで天安門事件や中国政府に批判的なサイトを閲覧できないようにするなど、中国共産党と密接に結びついている。そして中国軍の関連大学の研究者がバイドゥの大規模言語モデル(LLM)を用いて同軍の人工知能を訓練していたことも報じられた(2024年1月14日付サウスチャイナ・モーニング・ポスト)。
今回の措置は、中国共産党および中国軍を支える中国企業が、アメリカから富を奪うのを妨げ、中国の軍事拡大を阻止するための戦略の一環。こうしてトランプ政権は、中国の習近平政権をじりじりと締め上げている。
自衛隊、ウイルスに感染した中国製USBを気づかず1年使用
一方、日本では情報操作対策が後手後手にまわっており、自衛隊がウイルスに感染した中国製USBを気づかず1年使用し、パソコンがウイルスに感染してしまう事件が起きている。
陸上自衛隊において、中国系ウイルスに感染したUSBメモリーが機密システム端末で1年近くにわたって使用されていたことが明らかになった(6月25日付日本経済新聞電子版)。尾崎正直官房副長官も同日の記者会見で、その事実を認めている。
日本経済新聞によると、陸自・中部方面総監部(兵庫県伊丹市)で2025年2月、動作が遅くなったパソコンに差し込まれていたUSBから中国系ウイルスが見つかった。
内部調査の結果、USBは中国製の偽造品であることが発覚。USB8本のうち、6本でウイルスの感染が見つかり、総監部にある約480台のパソコンのうち、50台以上に接続されていたことが分かった。そのパソコンの半数近くは、部隊の指揮命令など極秘情報を扱う「クローズ系」システムに接続されていたという。
さらにそのウイルスは、これまでにも中国系ハッカー集団が使っていたことが指摘されているもの。このハッカー集団は過去に、ベトナムやオーストラリアなどの国々で、政府機関、教育機関、通信会社などを標的としてきた。ウイルスはUSBを差し込んだ瞬間に感染するといい、USBをサイバー攻撃を呼び込む「踏み台」として悪用し、情報を盗み取る手口が明らかとなっている。
中部方面総監部は能登半島地震の災害派遣をめぐり、石川県から24年3月にこれらのUSBを受け取った。陸自は通常、調達時やパソコン使用時にウイルスチェックを行うなど、何重にも安全確認をしているが、本件ではこの規則が遵守されず、USBをチェックしていなかったため、使用開始から1年近くウイルスの存在に気づかなかったという。
また自衛隊の内部文書は、同種の中国製USBが「国内外含む電子商取引(EC)サイトを通じて広く流通しているもよう」と指摘。陸自で問題となったUSBを含む多くの類似品が、Amazonや楽天などのネット通販サイトを通じ、相場の半額近い価格で売られている。
自衛隊にUSBを提供した石川県側は、「当該USBを調達した事実や、購入費を支払った記録は確認できなかった」としており、感染USBを誰がどこで調達したのかは確認できず、実態が把握できない状況にある。
コロナウイルスの次はコンピュータウイルス
これは国の安全保障の穴になりうる重大な問題であり、対策が急がれる。今回は自衛隊で発覚したが、自衛隊よりも安全対策の劣る自治体や企業、医療機関、金融機関などにおいても、中国製品に対する危機管理を徹底する必要がある。
例えば、多くの自治体では、USBが「消耗品」として扱われており調達記録がないなど、中国製品の調達リスクが見落とされる。総務省が25年に行った調査では、IT機器の厳密な選定基準を持つ自治体は1割にとどまるなど、実効性のある対策はできていないという。政府は27年夏から、IT設備の新規購入において、中国製品を排除するよう自治体に義務付ける方針だが、実質的な対策が進むかは各自治体の対応にかかっている。
業者やネット通販を通じて、安い機器を購入しようとする自治体も少なくないため、安価な中国製品が導入されやすく、その結果、自治体の住民情報をはじめ、自衛隊や政府などと関係する機関や業者の情報が流出してしまうリスクがある。
USBに限らず、Wi-Fiルーターや防犯カメラ、スマートフォン、ロボット掃除機、インターネットに繋がったIoT家電など、私たちの身近な至るところに中国製の電子機器が溢れている。こうした電子機器にウイルスやバックドアが組み込まれている問題が指摘されており、情報が流出したり、有事の際にサイバー攻撃の踏み台とされたりするなどの危険性がある。
ちなみに、中国のメーカーや代理店は、Amazonなどの通販サイトで高評価のレビューを書かせるサクラを雇ったり、インフルエンサーにPRさせたりして、検索上位に出てくるように仕向けている。そのため、売れ筋商品として表示されることが多いことにも注意が必要だ。
今回のケースは中国リスクを厳重に対処する組織でたまたま見つかった氷山の一角に過ぎない。個人としても、情報を守る意識を上げていかなければならない。
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