私たちの祖先を探る
人類の祖先である最初のヒト族誕生が確認されているのは約700万年前。ネアンデルタール人への進化は約43万年前であり、今の人類ホモ・サピエンスにつながるクロマニョン人は約30万年前以降にアフリカで進化し、世界に広がったとされる。
ネアンデルタール人は約40万年前に出現し、約3万年前に絶滅した。我々現生人類であるホモ・サピエンス (Homo sapiens) の最も近い近縁種とされる。ネアンデルタール人は、ヨーロッパを中心に西アジアから中央アジアにまで分布しており、旧石器時代の石器の作製技術を有し、火を積極的に使用していた。
ネアンデルタール人とクロマニョン人の頭骨を比べると、クロマニョン人は脳を納める部分がはるかに大きい。その知能の差があって、ネアンデルタール人は滅び、クロマニョン人は世界に広がり、今の私たちにつながっていったという。(写真はネアンデルタール人の化石が発見された洞窟)

ただし、姿を消したネアンデルタール人の要素は完全に失われたわけではない。私たちの中にもネアンデルタール人のDNAは受け継がれている。ネアンデルタール人とクロマニョン人は交雑していたのだ。
ネアンデルタール人と現生人類 文化交流か
今回、トルコ南部の洞窟で、ネアンデルタール人と、現在の人類、ホモ・サピエンスの間に文化的な交流があった可能性を示す貝が見つかったと、京都大学などの研究グループが発表した。
京都大学などの国際研究グループが発掘調査を行ったのは、トルコ南部にある「ウチャーズリ2」と呼ばれる洞窟。
洞窟からは、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの化石が見つかり、それぞれの地層の年代を測定したところ、▽ネアンデルタール人のものは、およそ8万年前から6万年前、▽ホモ・サピエンスのものは、およそ6万年前から5万年前だと、わかった。
2つの地層からは、食用には適さず装飾品によく使われる「アフリカタモト」という、同じ貝が合わせて29点見つかっていて、研究グループは、ホモ・サピエンスとネアンデルタール人との間には、「役には立たないが美しい」という共通の価値観があり、文化的な交流があった可能性を示す発見だとしている。
2つの人類が交雑していたことは、これまでのDNAによる研究で明らかになっていて、調査に当たった京都大学大学院理学研究科の森本直記准教授は「両者が交雑するに至った背景について、今回の発見で1つのピースを埋められた」と話している。
絶滅したネアンデルタール人
現在のロシアからヨーロッパ大西洋岸にかけて分布していたと考えられる。現生人類が細身の傾向が見られ、持久力があって長距離を歩いたり走ることに向いているのに対し、ネアンデルタール人は腕や脚が短く体表面積が小さく、ユーラシアの寒冷な気候に適し、骨格は頑丈で膂力があり、鼻は幅広で冷たい空気を暖めて取り込むのに適したとされる。
ネアンデルタール人がいつ登場したかは明らかではない。ネアンデルタール人がその祖先であるホモ・ハイデルベルゲンシスから分岐した時期が明らかになっていない。諸研究では、31万5000年前から80万年以上前までの様々な時期が示されている。
約50万年前に現生人類と分化したとする説も強い。43万年前の骨で、最古のネアンデルタール人の可能性があるものも見つかっているが、そちらの分類はまだ不明である。ネアンデルタール人は多数の化石から、特に13万年前以降のものが知られている。ネアンデルタール1(英語版)のタイプ標本は、1856年に現在のドイツのネアンデル谷クライネ・フェルトホッファー洞窟(英語版)で発見された。
ネアンデルタール人は原始的で、愚かで、残忍な存在であると20世紀初頭の大部分を研究者たちは論じてきた。しかし、後年の研究により、ネアンデルタール人のDNAが現生人類に受け継がれていることが判明した等の事情で、ネアンデルタール人は死者を埋葬する高い知能と優しい心を有していた存在であったと科学者の間でのネアンデルタール人に対する認識が大きく変化している。一方で、進化していない原始人の原型のイメージは、大衆文化の中では依然として根強いものとなっている。

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