超新星背景ニュートリノ

 素粒子の1つ「ニュートリノ」は、宇宙の歴史を通じて星の爆発によって放出され、今も宇宙に蓄積されていると考えられているが、その存在を示す“兆候”を初めて捉えたと、東京大学などの国際研究グループが発表し、宇宙の進化を解明する手がかりになると期待されている。

 星が一生を終えるときに「超新星爆発」が起きると、素粒子の一つ「ニュートリノ」が放出されることが知られていて、1987年に超新星爆発で、放出されたニュートリノを小柴昌俊先生が発見している。その後ニュートリノは宇宙に蓄積していくと考えられている。

 こうしたニュートリノは「超新星背景ニュートリノ」と呼ばれ、観測に成功すれば宇宙の進化を解明する手がかりになるとされているが、その信号は極めて弱く、これまで観測は困難とされてきた。(写真はニュートリノ観測装置「スーパーカミオカンデ」)

画像

 超新星背景ニュートリノを確認か

 東京大学などの国際研究グループは、岐阜県にある研究施設「スーパーカミオカンデ」の性能を向上させ、およそ5000日分の観測データを詳しく解析した結果、「超新星背景ニュートリノ」の“兆候”を初めて捉えたと発表した。

 研究グループによると、確実に観測できたと認められるためには、さらなるデータの蓄積と解析の改善が必要で、今後も観測を続けるとしている。

 東京大学の関谷洋之准教授は「超新星背景ニュートリノを観測できるようになれば、私たちの身のまわりに存在する元素の源となる超新星爆発の発生頻度などを明らかにできる。引き続き研究に取り組みたい」などと話している。

 ニュートリノとは何か

 ニュートリノとは、物質を構成する最も小さい単位である「素粒子」の一つ。素粒子はクォークとレプトンに分けられるが、その中でも電気を持たない中性レプトンをニュートリノという。

 電子ニュートリノ・ミューニュートリノ・タウニュートリノの3種類もしくはそれぞれの反粒子をあわせた6種類あると考えられている。

 ヴォルフガング・パウリが中性子のβ崩壊でエネルギー保存則と角運動量保存則が成り立つように、その存在仮説を提唱した。「ニュートリノ」の名はニュートラルから来ておりβ崩壊の研究を進めたエンリコ・フェルミが名づけた。フレデリック・ライネスらの実験により、その存在が証明された。

 1987年に大マゼラン星雲で爆発し、放出されたニュートリノを小柴昌俊先生が人類史上初めて観測した。宇宙からのニュートリノであり、超新星爆発では多量のニュートリノが放出されることがわかった。2002年に「天体物理学とくに宇宙ニュートリノの検出へのパイオニア的貢献」によりノーベル物理学賞を受賞。

 2015年に梶田隆章先生は、観測装置「スーパーカミオカンデ」を用いて「ニュートリノ振動」を発見し、ノーベル物理学賞を受賞た。この功績により、これまで質量がないと信じられていた素粒子「ニュートリノ」に微小な質量があることが証明された。

 物理の世界では、世の中の全ての力を強い力・電磁気力・弱い力・重力に分けて考えるが、ニュートリノは強い力と電磁気力を感じず、弱い力と重力しか感じないという特徴を持つ。つまり、ニュートリノは周りからほとんど力を受けない。

 そのためニュートリノはまっすぐ進み、爪一枚分の面積を毎秒数百億個という量で絶えず人体や物を通り抜けている。ニュートリノは太陽や星の爆発時に大量に放出される。