今日は私たちの生活を豊かにしてきた「新素材」について学んでみたい。
炭素繊維とは?
カーボンファイバー、あるいは繊維状炭素ともよばれ、ほとんどが炭素でできている繊維。一般には黒鉛繊維もふくめて炭素繊維とよんでいる。軽量で高強度、高弾性というすぐれた性質があるところから、テニスラケットやゴルフクラブなどのスポーツ用品、航空宇宙関係などで多くつかわれる材料。ガラス繊維とならんで、代表的な無機繊維である。
ファインセラミックとは?
セラミックというのは英語で焼き物という意味でガラスや陶磁器などのことをいいます。ファインは細かいとか上質という意味があり、ファインセラミックは材料を細かくしたセラミックです。
セラミックには熱や薬品に強い。固いなどの性質があります。また圧力によって電気を発生するものもあります。
こうした性質を利用して、耐熱材、人工骨、ナイフなどに使われています。
液晶とは?
液体としても固体(結晶)としてもふるまう物質の総称。液晶中の分子は、液体中の分子に似て比較的自由にうごけるが、その一方で固体結晶中の原子のように、規則的に配列する。ただし、液晶がこのような液体と固体の両方の性質をもつのは、一定の温度と圧力あるいは濃度のもとにあるときだけである。
それよりも高い温度か低い圧力のもとでは、液晶の分子が同じ並び方をする性質はうすれ、通常の液体と同様に不規則になる。また、低い温度か高い圧力のもとでは液晶の分子はたがいにうごかなくなり、通常の固体のようになってしまう。
液晶は、大きくサーモトロピック液晶とライオトロピック液晶にわけられる。サーモトロピックは、温度によって、ライオトロピックは濃度によって、一定のレベル以上で液晶となる。サーモトロピック液晶には分子の形や並び方によってネマティック(棒状の分子が長軸方向にならぶ)、コレステリック(らせん状にならぶ)、スメクティック(層状にならぶ)などの種類がある。
液晶の光学的性質は、電界や磁界をくわえることによって変化させることができる。たとえば、ある種の液晶は弱い電界をくわえることによって透明から不透明に変化したり、光の偏光面(→ 光学)を回転させる働きをもつようになる。これらの性質をつかって、表示装置として利用され、デジタル式腕時計や電卓、携帯テレビ、ノート型パソコンなどにもちいられている。
吸水性ポリマーとは?
自重の数百倍以上という大量の水を吸収できる材料で、高吸水性ポリマーなどともいう。固体と液体の中間的な状態にあって、水にとけない架橋された高分子(→ ポリマー)の膨潤体のことをさしている。
ハイドロゲルは、分子間に水分を化学的にとりこんで全体が膨潤するために、とりこまれた水分はなかなか外界へ出てこない。日常生活でみられるものでは、コンニャクのようなもので、体積の大部分が水である。架橋とは、ゴムに硫黄を添加してできるような構造で、2本の直鎖状の高分子が直接または間接に原子をはさんで結合した状態にある。
膨潤体とは溶媒にいれた物質が大量の溶媒を吸収してその物質全体がふくらむことをいう。日常生活でもすぐれた保水性を生かして紙おむつやソフトコンタクトレンズ(→ 眼鏡)、生理用品、薬のカプセル(→ ドラッグ・デリバリー・システム)など、さまざまな分野で利用されている。
形状記憶合金とは?
大きな力をあたえてもはなすとゴムのように元の形状にもどったり(擬弾性)、すこし加熱するだけで元にもどったりする性質(熱弾性)をもっている合金のことをいい、こうした特性のことを形状記憶効果という。
形状記憶合金は、1951年に金-カドミウム合金とインジウム-タリウム合金で最初にみいだされた。63年にはアメリカの海軍兵器研究所でチタン-ニッケル系の合金でこれをはるかにしのぐ形状記憶効果をみいだし、これ以来、形状記憶合金が一躍有名になった。
1970年に、形状記憶効果が、熱弾性型マルテンサイト変態(→ マルテンサイト)に特有な現象であることがわかった。マルテンサイト変態とは鋼を焼入れしたときに、オーステナイトからマルテンサイトを生じる変化をさした。
同じ現象が他の合金でもみられるので、2つの金属原子がつながる相手をかえる拡散をともなわずに、原子の位置が1原子距離以内でずれる現象をいうようになった。
これは低温で変形するときに、一般の金属のように、原子どうしの滑りで変形するのではなく、結晶内の原子がわずかに位置をかえて変形しているためである。
超電導物質とは?
超伝導 (ちょうでんどう、 Superconductivity) は、超低温環境下で金属に生じる現象で、電気抵抗がゼロになることからこのように呼ばれる。超伝導現象が生じる物質のことを超伝導体 (Superconductor) といい、超伝導状態で流れる電流のことを超伝導電流という。
超伝導状態では、ゼロ抵抗以外にも超伝導体内部から磁場が排除される(マイスナー効果)などの顕著な現象が見られる。さらに、超伝導体は磁場に対する応答の違いから第一種超伝導体と第二種超伝導体に分かれることが知られている。
後者では超伝導体中を磁束量子が格子状に貫通することで超伝導状態と磁場が共存可能になり、磁束が超伝導体中の不純物などに固定される(ピン止め効果)ことによりゼロ抵抗を維持している。いわゆる「磁気浮上」現象ではこの磁束のピン止めが重要な役割を果たす。工学分野では、超電導と書かれることがある。
水素吸収合金とは?
水素ガスを吸収して固体状態で貯蔵し、必要に応じてとりだすことができる合金のこと。水素貯蔵合金ともよばれる。
白金やパラジウムなどの金属は多量の水素を吸蔵するが、遷移元素や希土類元素の合金も大量の水素を吸蔵することが1970年ごろに発見された。代表的な水素吸蔵合金には、オランダのフィリップス社が開発したランタンとニッケルの合金(LaNi5)と、アメリカのブルックヘブン国立研究所で開発された鉄とチタンの合金(FeTi)がある。
水素吸蔵合金は、常温でしかも比較的低い圧力の水素雰囲気の中、固体の水素化物を容易に生成できる。一般に遷移元素は高圧の水素を供給するか温度をあげていくと水素を吸収しはじめる。一方、金属の種類によって水素原子が気体分子の状態から金属結晶の中に吸着されるために要するエネルギーがことなり、水素を放出する。
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