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今年の主要国首脳会議(サミット)はドイツのハイリンゲンダムで行われ、8日閉幕した。今回のサミットは地球温暖化対策が主要議題になり、一方でイラク問題はほとんど話題にならなかった。

これは議長国ドイツのメルケル首相が10年前の京都会議で、ドイツ環境相として参加、先進各国に温室効果ガスの排出削減義務を強く求め、結果的に「京都議定書」を採択に導いた1人だったからである。

どんなことが主要国首脳会議で話し合われたのだろうか?



サミットというと日本,フランス,米国,英国,ドイツ,イタリア,カナダ,ロシアの先進国といわれる8ヶ国が参加して話し合われる国際会議である。

いろいろな政治的なかけ引き、思惑が交錯する首脳会議で日本の女子高校生がさわやかに地球温暖化の防止を訴えかける場面があったが、会議の結果はスッキリとは行かなかった。

京都議定書の課題であった、中国やインドなどの発展途上国やアメリカに具体的な数値目標をかかげてもらうことができなかった。

アメリカはようやく温暖化に目を向ける姿勢を見せたものの、現在、欧州主導になっている温暖化政策を嫌い、決定を先のばしにし、技術革新等によるアメリカ主導の温暖化政策を展開したい構えである。

たしかに温暖化防止に影響力の大きい中国やインドなどの参加していないサミットでは具体的な目標までは決めることは難しい。国連などの場で正式に決めるべきものであると思う。
 
今回、安倍晋三首相は「全主要排出国が参加」「排出量を50年までに現状より半減」と提案したが、「いろいろな国のことを考えれば、妥当」と外務省幹部が言うように各国の意見を意識したよい提案だったと思う。

サミットの総括は「気候変動は自然環境と世界経済に深刻な被害を与える恐れがある。50年までに温室効果ガスを少なくとも半減するという欧州連合、カナダ、日本の決定を真剣に検討する。」という具体性に欠けたものとなった。

 
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独サミット:環境対策で「団結」 独と米が歩み寄り


8日閉幕の主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)は最大の焦点だった地球温暖化対策を巡り、温室効果ガスの排出量削減に向け数値目標の設定を目指した議長国ドイツと、欧州主導の規制押しつけを嫌った米国が「ポスト京都議定書」の枠組み作りについて、09年までの合意を目指す方向で歩み寄った。

両国首脳は温暖化が「真の脅威」であり「国際協調が必要」との認識で一致、調整手腕を問われたメルケル独首相と、国際協調路線を模索するブッシュ米大統領が共に面目を保った形だ。

独、同意取り付け面目
メルケル首相は最重要課題の地球温暖化対策で合意取り付けに成功した。ポスト京都議定書に向け交渉促進を目指すメルケル首相は、数値目標設定などで立場の異なる参加国を「小異を捨てて大同につく」精神でまとめた。
7日の記者会見で「(サミット宣言文書はポスト京都議定書の)義務目標設定に向けた拘束力のある政治宣言だ」と強調したのは、明確な数値目標盛り込みを断念した「玉虫色決着」への釈明だった。

ドイツは宣言草案に(1)温度上昇を2度以下に抑える(2)10〜15年以内に温室効果ガス排出量を減少傾向にする(3)2050年までに排出量を半減させる−−と記したが、米国は三つの数値目標のすべての削除を求め、宣言への数値目標盛り込みは当初から困難視された。メルケル首相は各国首脳と接触を重ね打開策を探ったが、「満額回答」は得られなかった。

とはいえ、サミット直前、中国など温室効果ガスの主要排出国に目標設定を求めたブッシュ米大統領の新提案が、欧米対立の局面を変えた。欧州各国はブッシュ提案によって、京都議定書の基礎を成す国連の枠組みがなし崩しにされる危険性に警戒感をのぞかせたが、メルケル首相は「国連の枠組み内で対話を続ける」と条件付きで賛成した。

メルケル首相の科学顧問で数値目標設定の必要性を訴えてきたシェルンフーバー・ポツダム気候影響研究所長は毎日新聞の取材に「(サミット宣言の内容に)非常に満足している。2050年までの半減で合意できず、100%の成果ではないが、考えられる最善の妥協だったと思う」と評価した。

米、合意尊重で妥協点
ブッシュ米大統領はサミットで決裂が懸念された地球温暖化対策と対露関係でコンセンサス尊重の姿勢を取り、衝突回避の妥協点を見いだした。一方で、ブッシュ大統領にとって最大懸案のイラク問題は焦点にならず、低下した国際的な求心力を回復できない現状を露呈した。

ハドリー米大統領補佐官(国家安全保障担当)は7日、2050年までの温室効果ガスの排出量半減を目指す日欧などの決定を「真剣に検討する」とした合意について、各国の見解が反映された内容と評価した。

ブッシュ大統領はサミットを直前に控えた先週、インドや中国を含む温室効果ガスの主要排出国15カ国が来年末までに長期的な排出削減目標を設定するよう提案、国際的な枠組み作りへの参加を忌避してきた従来の姿勢を一転させた。方針転換の背景として、盟友のブレア英首相やメルケル独首相らの強い働きかけも見逃せない。

ブッシュ大統領は温暖化対策で主導権を握る意向を表明しており、サミットは今後の交渉の流れを左右する「分水嶺(ぶんすいれい)」になった。国際協調を必要とするグローバルな問題への積極的関与を避けてきたブッシュ大統領にとって「米国益」と「国際益」のバランスを取り、交渉で指導力を発揮できるかどうかが今後の課題だ。(毎日新聞 2007年6月9日)

サミットの議長総括要旨
主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット)の議長総括の要旨は次の通り。

▽09年のイタリア・サミットまでに、世界経済の主要な問題について対話を行うことで、ブラジル、中国、インド、メキシコ、南アフリカの新興経済5カ国と合意した。
▽気候変動は自然環境と世界経済に深刻な被害を与える恐れがある。50年までに温室効果ガスを少なくとも半減するという欧州連合、カナダ、日本の決定を真剣に検討する。
▽すべての主要な温室効果ガス排出国が京都議定書後の包括合意に加わるよう、12月のインドネシアでの国連気候変動枠組み条約締約国会議に参加を呼びかける。
▽技術、エネルギー効率、排出権取引や免税措置を含む市場メカニズムは、気候変動を克服する鍵となる。(毎日新聞 2007年6月9日)

IPCC(気候変動に関する政府間パネル)予測


国連の「気候変動に関する政府間パネル」の作業部会は07年4月、地球温暖化が長期に及んだ場合の人類や生態系への影響をまとめた。それによると、2050年代には温暖化による水不足が深刻化し、安全な水を飲料や灌漑用に利用できない人が現在の11億人から新たに10億人以上増えると見ている。

また気温が90年に比べ2〜3度上昇すると、氷河や雪解けにより海水面が上がり、太平洋の一部の島々やデルタ地帯で高潮や洪水による被害が出ると予測している。生態系にも珊瑚礁の多くが死滅するなど影響大との見通し。全生物種の20〜30%が絶滅するとの観測もある。

来年は目標最初の期間、2008年を迎える。議定書の議長役を務めた日本は、本来なら公約達成を声高に叫びたいところ。しかし、専門家は最終目標年の12年時点でも達成微妙と見ている。

また2005年現在、温室効果ガスは90年に比べ8%近く増加、目標達成には14%ほど減らさなければならない。産業界は大企業製造業を中心にCDM事業*を通じての排出権取得を含めて達成可能だが、運輸や家庭部門に問題がある。

政府は最悪の場合、世界のCO2排出権市場を通じて不足分を購入するとしているが、原発の稼働率が低下すれば焼け石に水となる可能性がある。

CDM事業とは?


CDM 事業とはクリーン開発メカニズム(Clean Development Mechanism)の略。先進国が国連や当該国の承認のもと、発展途上国に技術や資金等の支援を行い温室効果ガス排出量を削減、削減できた排出量の一定量を先進国のガス排出量削減分に充当することができる制度。

温室効果ガスを減らすには、排出ガスゼロの原子力発電を導入するか、石炭火力に比べ4-5割、石油火力に比べ1-2割排出ガスの少ないLNG(液化天然ガス)火力に切り替えるのがベスト。
このほか、自然任せで効率は悪いが太陽電池や風力発電の導入も有効だ。一方、石炭火力を中心に排気中のCO2を完全除去したりする技術も実験段階では成功している。
また回収したCO2を地中や海底下に封じ込める研究も始まった。紙パルプ゚、石油、鉄鋼、電力など大企業ではCO2を吸着する植林事業にも地道に取り組んでいる。
 

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