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先日、京都大再生医科学研究所の山中伸弥教授らが「人工万能幹細胞(iPS細胞)」をつくり、「ES細胞」なみに分化。「本物」に一歩近づいたという話題を提供した。

この「万能細胞」の研究は世界各国で行われており、今年もさまざまな研究成果があがってきている。一方で、本来赤ちゃんになるべき受精卵を医療に使っていいのか?という「倫理的な問題」が含まれているので、文部科学省がその調整をはかっている。

今回、米ハーバード大チームがマウスの受精卵の核を体細胞の核と交換するクローン技術の応用で、ES細胞を作ることに成功した。



人の受精卵でも例えば、不妊治療用に作って残った受精卵を卵子の代わりに活用できれば、ES細胞研究に弾みがつくと期待される。

この研究成果を受けて、文部科学省は一部人の受精卵でも人のクローン胚作製を認める方針で合意した。ただし新たに認めるのは、異常のため生殖医療に使われず廃棄される受精卵の利用である。

倫理的な問題と純粋な医療との境界はどこにあるのだろう?文部科学省も神経を使う展開が続きそうだ。

関連するニュース
ヒトクローン胚作製 異常受精卵からも認める方針


文部科学省の人クローン胚(はい)研究利用作業部会は26日、これまで未受精卵の利用を前提に検討してきた研究目的のヒトクローン胚作製を、一部の受精卵を使う場合にも認める方針で合意した。新たに認めるのは、異常のため生殖医療に使われず廃棄される受精卵の利用で、今後、実施のための条件を詳しく詰める。

国内では受精卵の扱いを巡り、ヒト胚性幹(ES)細胞の作製をめぐる指針づくりの過程で「生命の萌芽(ほうが)」としつつ、研究目的に限って壊すことを認めている。ただ、これまでのクローン胚は未受精卵から作る技術しかなかったため、国の総合科学技術会議でもヒトクローン胚の作製・利用について、未受精卵の利用を前提に容認する報告書をとりまとめていた。

今回の方針変更は、米ハーバード大チームがマウスの異常な受精卵を使って、クローン胚作製に成功したのをうけたもの。将来的にはヒトでも可能とみられ、利用できる卵の対象を広げることでクローン胚作製の機会を増やす狙いがある。

作業部会では当初、あくまでも受精卵を「生命の萌芽」として改めて慎重な扱いを求める意見と、ヒトES細胞をめぐる指針づくりで議論は終わっているとする意見が出た。最終的には、受精卵の異常を理由に廃棄・利用に同意された胚について、クローン胚作製に使うことを認める方向で進めることにした。

一方、この日の部会では、分化が進んでクローン胚作製に使えないと通常みられる正常な受精卵でも、クローン胚づくりが可能なことを示唆する同じハーバード大チームの研究が紹介された。

これについては「廃棄する必然性のない正常な受精卵を使ったクローン技術にもつながる可能性がある」として、あらためて慎重な審議が必要とする意見が複数の委員から出された。 (asahi.com 2007年06月26日)

受精卵使いクローンES細胞…ハーバード大チーム実験成功


クローン技術の応用で、様々な臓器・組織に成長する能力を秘めた胚(はい)性幹細胞(ES細胞)を、マウス受精卵を使って作ることに、米ハーバード大チームが動物実験で成功し、7日付の英科学誌ネイチャーに発表した。

クローンES細胞の作製には、体細胞核を移植する卵子が不可欠だが、入手が難しかった。今回の手法が人でも可能になれば、不妊治療用に作って残った受精卵を卵子の代わりに活用でき、ES細胞研究に弾みがつくと期待される。(2007年6月7日  読売新聞)

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