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最近、火星探査がさかんに行われている。マーズ・エクスプロレーション・ローバー (Mars Exploration Rover, MER Mission)は、2003年にNASAが打ち上げた、ローバー(ロボット)を用いた火星の表面と地質を探る計画である。「スピリット」「オポチュニティ」の2機のローバーは90日間の予定期間を超え現在も活動中である。

水の存在、火山活動や温泉の存在などを発見、すばらしい成果をあげている。  

そしてNASAは、火星探査機フェニックスを今年の8月3日に打ち上げる予定だ。フェニックスは火星の北極に着陸し、探査機としては初めて北極の気象を調査する。また、ローバーを使って特徴的な長い腕を使って表面の地層を掘り、その下にある水の氷を直接調べることに挑戦する。



こうした調査は、次に火星への有人飛行を予感させる。実際、1989年にはアメリカのブッシュ大統領(当時)が、有人火星探査の検討を開始することを宣言している。NASAの報告書によれば、月への有人飛行を2014年までに行い、2015年に火星に向かうことを発表しているが、計画は遅れている。

火星有人飛行で問題になるのは何だろうか?

1つは火星への往復に要する時間である。もう1つは宇宙放射線の問題である。

火星有人飛行には、少なくとも1年半はかかる。短期間型のミッションで400〜650日、エネルギー節約型の長期間ミッションでは900〜1000日に及び、これまでにない長期の有人宇宙探査計画になる。

こうした状況を想定して、欧州宇宙機関(ESA)とロシアは共同で模擬実験を行う。モスクワの施設にある閉鎖空間で、520日間生活する実験である。

この実験は08年に105日間の予備実験を2回した後、09年に520日間の本実験を行う。ESAが選んだ12人とロシア側の参加者で、それぞれの実験について1組ずつチームを編成する。

ESAは「無重量ではないことと、宇宙の放射線がないほかは、実際の飛行と同じ状態だ」と説明している。

それにしても520日は長い。いったいどうやって過ごすのだろうか?

今日は火星有人飛行で問題となる、「宇宙放射線」とそれを防ぐ「プラズマ」について調べたい。(参考HP Wikipedia) 
 

関連するニュース
閉鎖空間で520日間生活 火星飛行の模擬実験計画
火星飛行の模擬実験に参加しませんかと、欧州宇宙機関(ESA)が呼びかけている。参加資格は欧州15カ国かカナダの人で、英語とロシア語を話せる25〜50歳の健康な男女。選ばれた6人が2年後から、520日間にわたって閉鎖空間で共同生活する計画だ。

月への飛行は往復1〜2週間だが、火星の場合は少なくとも1年半はかかる。狭い宇宙船に長期間にわたって閉じこめられると肉体や精神にどんな影響が表れるのか、データを集めるのが今回の実験のねらいだ。

ロシアと共同でモスクワの施設で実施する。08年に105日間の予備実験を2回した後、09年に520日間の本実験を始める。ESAが選んだ12人とロシア側の参加者で、それぞれの実験について1組ずつチームを編成する。

施設は200平方メートルで台所と食堂、居間、トイレは共同。1人につき3平方メートルの個室が与えられる。食事は国際宇宙ステーションで使っている宇宙食。施設の外には出られず、外部との無線交信は、火星飛行の際と同じように20分程度の時差をつける。

AP通信によると、ESAは「無重量ではないことと、宇宙の放射線がないほかは、実際の飛行と同じ状態だ」と説明している。

火星への宇宙飛行の間、強力な宇宙線から乗組員をどう守っていくかということは、重大な技術的課題です。十分厚い金属のシールド等で包み込めば宇宙線を遮蔽できることは確かですが、あまり重いと打ち上げや飛行に支障が出ます。

この問題に対してワシントン大学(UW)のJohn Sloughは、「プラズマによって宇宙線を遮蔽する」という画期的な構想を思い付き、NASA先端構想研究所(NIAC)の支援を受けて目下鋭意研究中です。

宇宙船の近傍に放出され、超電導メッシュによって保持された数グラムの水素のプラズマは、宇宙線を遮るのに十分な磁場を作りだし、何インチものアルミニウムのプレートの防護にも匹敵する効果を少ない重量で得ることができるだろう、とSlough博士は言っております。未来の宇宙船がプラズマ推力を使うなら、きっとこのような放射線防御手段を採用することでしょう。"UWのPlasma Magnetの紹介ページも参考に。(asahi.com 2007年07月02日)
 

宇宙放射線とは何か? 
宇宙放射線(うちゅうほうしゃせん)とは、宇宙空間を飛び交う高エネルギーの放射線のことで、地球にも常時飛来している。

放射線ほうしゃせん)とは、一般的には電離性を有する高いエネルギーを持った電磁波粒子線(荷電粒子)のことをさす。

身近な放射線としてα線とβ線、γ線などがある。

宇宙線のほとんどは銀河内を起源とし、超新星残骸などで加速されていると考えられている。これらは、銀河磁場で銀河内に長時間閉じ込められるため、銀河内物質との衝突で破砕し、他の原子核に変化することもある。

このため、宇宙空間では様々な電気を持った原子(荷電粒子)が猛烈な速度で飛んでいる。

宇宙放射線はどうやって防ぐか?
α(アルファ)線は紙1枚程度で遮蔽できる。β(ベータ)線は厚さ数mmのアルミニウム板で防ぐことができる。ガンマ線は透過力が強く、コンクリートであれば50cm、鉛であっても10cmの厚みが必要になる。

宇宙飛行中の宇宙放射線

火星への宇宙飛行の間、強力な宇宙線から乗組員をどう守っていくかということは、重大な技術的課題である。十分厚い金属のシールド等で包み込めば宇宙線を遮蔽できることは確かだが、あまり重いと打ち上げや飛行に支障が出る。

この問題に対してワシントン大学(UW)のJohn Sloughは、「プラズマによって宇宙線を遮蔽する」という画期的な構想を思い付き、NASA先端構想研究所(NIAC)の支援を受け、目下鋭意研究中である。

宇宙船の近傍に放出され、超電導メッシュによって保持された数グラムの水素のプラズマは、宇宙線を遮るのに十分な磁場を作りだし、何インチものアルミニウムのプレートの防護にも匹敵する効果を少ない重量で得ることができるだろう、とSlough博士は言っている。

さらに火星は、地球に見られるような強い地磁気を持っていない。大気が薄いこともあり、火星表面に到達する宇宙放射線の量は多くなる。これについては、住居や作業場を地中にすることで、火星の土を使って遮へいすることが考えられる。

プラズマとは何か?
一般には気体電離したものとして認知されている。たとえば、身近にあるの中では通常の気体を構成する中性分子が電離して、正の電荷をもつイオンと負の電荷をもつ電子とに別れて自由に飛び回っている。

全体として電気的に中性な系であるが、構成粒子が電荷をもつため、粒子運動がそれ自身のつくり出す電磁場と相互作用を及ぼしあうことにより、通常の中性分子からなる気体とは大きく異なった性質をもつ。 そこで気体とは別の物質状態であるとして、これにプラズマの名が与えられている。

プラズマにはどんなものがあるか?
一般に気体中で放電することによって生成される。身近なプラズマの例としては、蛍光灯がある。点灯している蛍光灯の内部は水銀ガスがプラズマになったものである。

放電管のグロー放電は管内の空気がプラズマをになったものである。クルックス管の中の陰極線が発光する現象もわずかに残った空気がプラズマになっている。

我々の生活に必要不可欠な(燃焼炎)もプラズマの一種である。他に強力な磁界をもつ高圧鉄塔の電線の周りには同心円状にプラズマが発生する。

地下水脈で水が勢いよく岩盤にぶつかることでもその空洞内に発生すると言われている。

電離層オーロラ太陽恒星の内部)、太陽風コロナ)、星間物質、科学博物館によく展示されているプラズマボールなどもその例である。 

地球を離れた2年間―人類の夢、火星への挑戦
ワレリー・V. ポリャコフ,Valery V. Polyakov,鈴木 徹
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火星の夕焼けはなぜ青い
佐藤 文隆
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