
もっとも地球から遠い銀河はどのくらい離れているだろう?
先日、日本の国立天文台がつくった記録では「最も遠い銀河」は128億8000万光年の銀河であった。新しい記録は130億光年の銀河である。
今回、米カリフォルニア工科大と英仏などのチームが、ハワイの米ケック望遠鏡で発見した。その方法は光が銀河団などのそばを通る際、巨大な重力で進路が曲がる「重力レンズ」効果を利用した。
130億光年というとどのくらいの距離だろう?
地球の誕生が46億年前、太陽系ができたのもそのころと考えられている。
宇宙の始まりはというと、数年前までは、およそ150億年前と考えられていた。一年前には140億年前、そして現在は137億年前とされている。
これは観測技術の向上により精度が上がってきたためだと思われる。今回の発見は宇宙誕生からわずか5〜7億年後に誕生した銀河とされる。
今回は広い宇宙の距離のはかり方と距離を表す単位について調べる。(参考HP Wikipedia・国立天文台)
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最も遠い銀河を発見 地球から約130億光年
地球から130億光年以上も離れた「最も遠い銀河」を見つけたと、米欧の観測チームが発表した。従来の「記録」は、日本の国立天文台などがすばる望遠鏡で見つけた約128億8000万光年先の銀河。宇宙誕生は約137億年前と考えられ、今回の発見が事実なら、誕生直後の宇宙を知る重要な手がかりとなる。
発表したのは、米カリフォルニア工科大と英仏などのチーム。ハワイの米ケック望遠鏡で、星の形成が続いている「先例のない遠さ」の六つの銀河を観測し、地球からの距離を割り出した。リーダーのリチャード・エリス同工科大教授は「宇宙誕生からわずか約5億年後の銀河」という。
光が銀河団などのそばを通る際、巨大な重力で進路が曲がる「重力レンズ」効果を利用。6個の銀河の光は、地球との間にある銀河団による重力レンズ効果で約20倍に増幅されるといい、これを3年間かけて解析した。ただ、エリス氏は「疑い深い人たちは、さらなる証拠を求めるかもしれない」と、発見に異論が出る可能性を認めている。
宇宙は誕生からしばらく星のない「暗黒時代」が続き、その後、星や銀河の形成が始まる「宇宙の夜明け」を迎えたと考えられている。最初の銀河の形成は宇宙誕生から数億年後とされ、日本も含めて各国が「より古い銀河」の発見にしのぎを削っている。
これまでの「最遠銀河」を観測した国立天文台チームの家正則・教授は「重力レンズという新しい方法で得られた非常に大きな成果。ただ、とても暗いので確認作業が重要になるだろう」と話している。 (asahi.com 2007年07月23日)
天体の距離のはかり方とは?
レーダーパルス
地球近傍の惑星や衛星の距離はレーダーを用いて測ることができる。惑星に向けてレーダーを発射し、それが惑星表面で反射して戻ってくるまでの時間を計り、光速度をかければよい。ただし、遠方になればなるほどレーダー光は拡散するので、地球に非常に近い惑星にしか使うことができない。
太陽面通過
水星と金星は太陽系で地球の内側を公転する。地球とこれらの内惑星の公転面は厳密に同一平面にはならないが、ごく稀に太陽に陰を作るように、太陽と地球の間を通過する。これが太陽面通過(あるいは日面通過)である。この時、太陽のどの部分を通過したかを地球の複数の箇所から測定し、地球と内惑星の距離を別の方法で求めておく事により、地球と太陽の間の距離を測定できる。この長さが天文単位の定義である。
年周視差
天体の位置は、地球の公転のために、季節によって違う位置に見える。これが年周視差である。ここでは、地球と太陽と目的の天体とで三角形を作る。年周視差は三角形のうち目的の天体の角の角度として観測でき、地球から太陽までの距離は既にわかっているので、簡単な三角法により、地球から目的の天体までの距離が決定できる。
この年周視差を用いた距離の測り方は、そのままパーセクの定義である。年周視差は、距離が遠くなればなるほど小さくなっていき、あまり小さい値を高精度で観測するのは困難である。1980年代までの観測精度ではせいぜい0.01秒程度の年周視差までしか高精度では測れないため、この測定法が使えるのはせいぜい100パーセク程度までということになっていた。1989年に欧州宇宙機関によって打ち上げられた高精度視差観測衛星ヒッパルコスにより、恒星の視差を0.001秒角の精度で測定し、半径1,000パーセクの範囲の星の位置を10% 以下の誤差で精密に定めることができた。
現在、さらなる高精度の観測を目指して DIVA, GAIA, JASMINE などの次期観測計画が検討されている。これらの観測により,我々の天の川銀河に存在する恒星の距離が 10% 以下の誤差で測定されると期待される。
散開星団
天体の出す光の波長、エネルギー、及び天体の表面温度の関係はプランク分布に従う。また、天体の見かけの明るさは距離の2乗に反比例する。そのため、同じ色の天体どうしで見かけの明るさを比較すれば、その距離の比がわかる。実際は同じ色の天体を見つけるのは難しいので、いくつかの散開星団についてHR図を書き、HR図どうしを比較することになる。そのいくつかの散開星団の中には、年周視差の方法によって距離がわかっているものもあるので、それによって他の散開集団までの距離もわかる。
ただし、遠方からやってくる光は吸収や散乱の影響を受けているので、色が変化してしまう。そのため、この方法で高精度に距離が決定できるのは、1キロパーセク程度までである。
セファイド変光星
あまり多くはないが、セファイド変光星という天体があり、半径1キロパーセク以内程度まで幅を広げればいくつか見つかる。上記の方法でこのセファイドについて調べた結果、セファイドの最大の絶対的な光度はセファイドの変光周期の0.9乗に比例することがわかった。この規則性を用いて、さらに遠くのセファイドについても距離が決定できる。セファイド変光星はかなり明るいため、現在20メガパーセク程度までこの方法で測ることができる。
それ以上の距離は以下の方法で測ることになるが、その分ここから先は欠点が大きくなる。
タリー・フィッシャー関係
タリーとフィッシャーによって、円盤銀河の絶対的な光度は、回転速度の4.5乗に比例することがわかった。銀河の回転速度は光のドップラー効果を用いて観測できるので、この方法によって銀河までの距離が確定できる。
ただし、この関係は理論的裏づけがない経験則なので、今後発見・観測されるすべての銀河がこの関係を満たす保証はまったくない。また、この比例関係の精度はあまり高くないことがわかっているので、距離の精度もあまり高くはならない。
フェイバーとジャクソンによって、楕円銀河の絶対光度が銀河内の星の固有運動による速度の標準偏差の4乗に比例するという、フェイバー・ジャクソン関係が見つけられている。こちらは銀河内の星の固有運動を測定する事が困難であるために、タリー・フィッシャー関係ほどは用いられていない。
Ia型超新星
Ia型超新星はどの超新星も同じような超新星爆発の経過をたどると思われる。すなわち、同じような光度の変化をたどる。そのため、地球から遠くない超新星爆発と比較してどの程度暗いかを観測すれば、超新星までの距離を測ることができる。
ただし、Ia型超新星の爆発メカニズムの理論的解明はまだ十分になされていない。このため、地球の近くで起きたIa型超新星の爆発と、例えば10億光年離れた(10億年前の)Ia型超新星の爆発が、同じエネルギー放出を起こすかが明らかではない。
また、超新星爆発は我々の銀河で過去400年ほど発生していないように、頻度が非常に低い。そのために全天を監視し続けて超新星が爆発した際に追跡観測を行うという体制になっており、目標の天体や銀河を先に決めてからそこまでの距離を測るというようなことは不可能である。
ハッブルの法則
ハッブルの法則とは、天体の後退速度と天体までの距離は正比例するという法則である。天体の赤方偏移を測定して後退速度を求め、この法則を用いれば、特に遠方の天体までの距離の測定には効果を発揮する。
しかし、ハッブルの法則は一様宇宙を仮定した場合に地球からそれほど遠くない天体では成り立つが、遠方では高次の効果が入り、線形からずれてしまう。このずれ方は宇宙の平均エネルギー密度や宇宙項の有無等に依存する。そこで、赤方偏移で表すと z<1 のところではセファイドの距離と後退速度の測定からハッブルの法則の比例係数(ハッブルパラメーター)を決定する。
そして、z<1 の銀河の距離を測定する。z≒1 となる遠方では、Ia型超新星の光度と赤方偏移の測定から、宇宙モデルの検証がなされる。(Wikipediaより記事引用)
天体の距離の表し方とは?
天文単位
天文単位(てんもんたんい、Astronomical unit, 記号:AU)は天文学で用いる長さの単位。地球が太陽の周りを回る楕円軌道の長半径(簡単には太陽から地球までの平均的距離)が1天文単位(au)として定義されている。
光年
光年(こうねん、light-year)は、主として天文学で用いられる距離(長さ)の単位である。「年」とついているが時間の単位ではない。1981年まではSI併用単位であった。
1光年は光(電磁波)が1年間に進む距離と定義され、その長さは約9.46×1012キロメートル(9.46ペタメートル)に相当する。より正確には、光子が自由空間かつ重力場および磁場の影響を受けない空間を1ユリウス年(365.2500日 = 31 557 600秒)の間に通過する長さである。真空中の光速度が 299 792 458 m/s であるので、1光年は 9 460 730 472 580 800 m となる。
光年は、銀河や恒星などの天体までの距離を表するのによく用いられる。キロメートル単位で表すと文字通り「天文学的数字」になるからである。
パーセク
現在天文学では、恒星までの距離を示すときにはパーセクが用いられる。パーセクは、1天文単位動いたときの視差が1秒となる距離のことで、1パーセクは約3.26光年となる。
パーセクは観測データから簡単に求めることができ、相互参照できることからよく用いられている。パーセク(parsec, 記号:pc)は天文学で使われる距離を表す単位である。1981年までは天文学の分野に限り国際単位系(SI)と併用して良い単位とされていた。
年周視差が1秒角となる距離が1パーセクとなる。すなわち、1天文単位(au)の長さが円弧上で1秒角の角度を張るような距離を1パーセクと定義する。1パーセクは約3.26光年、約206 265 au になる。
名称は"per sec"(毎秒)の意味と説明されることがあるが、これは誤りである。正しくは、parallax(視差)とsecond(秒)を組み合わせてできたものである。 (Wikipediaより記事引用)
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