科学大好き!アイラブサイエンス!このブログでは、最新科学の?をなるべくわかりやすくコメントします。
東京大気汚染訴訟」なぜ今ごろ、裁判になるのだろう?と疑問に思った。1970年代からの公害問題や公害訴訟などで、解決したのでは?と思われた大気汚染の問題である。

大規模な工場地帯や幹線道路沿いでは大気汚染がひどかった。その後規制がすすみ、かつてほどのひどさはなくなっている。しかし主要都市ではディーゼルエンジンが原因とされる大気汚染が改善されていないといわれ、自動車NOx・PM法などによりディーゼル車への規制や、古い自動車への自動車税の割増措置が行われている。



しかし、2000年以降は隣国の中国の経済成長によって、汚染物質が偏西風に乗って日本まで流れてきているとされている。近年発生した光化学スモッグは中国からの汚染物質が原因ではないかと指摘されている。

大気汚染防止法を見ると、たびたび改正が行われていて、一番最近では2004年
浮遊粒子状物質(SPM)と揮発性有機化合物(VOC)を規制している。SPMはぜんそくの原因となる微粒子、VOCは光化学スモッグの原因となる気化ガソリンなどである。

東京大気汚染訴訟は1996年5月ぜんそく患者ら原告の第1次提訴にはじまり、11年かけ8月8日に東京高裁と東京地裁で正式に和解が成立、訴訟は全面決着した。

今回の決着の要点3つ、1つは大気汚染防止法にもある事業者責任について、「自動車メーカーの責任」が初めて認められたことである。2つめは都内のぜんそく患者を対象とした「医療費助成制度の創設」すること。3つめは都内での「公害対策の実施」を国と都が約束したことである。

今回の問題は和解文にもあるように、クルマ社会を認めてきた国民一人一人にも責任はある。世界的に見ても人口が密集している地域などでは、まだまだ環境問題は残る。

今日は「大気汚染物質」「大気汚染防止法」について調べる。(参考HP Wikipedia)


関連するニュース
東京大気汚染訴訟が正式和解、11年の法廷闘争に決着


自動車の排ガスで健康被害を受けたとして、東京都内のぜんそく患者らが、国や都、自動車メーカー7社などに損害賠償を求めた東京大気汚染訴訟は8日、東京高裁と東京地裁で正式に和解が成立した。

第1次提訴以来、11年に及んだ訴訟は全面決着した。

和解条項は、(1)都が医療費助成制度を創設し、各被告が資金を拠出する(2)国と都は連携して道路環境対策などに取り組み大気汚染の軽減を図る(3)メーカー7社は原告に解決金12億円を支払う(4)原告は請求権を放棄する――などの内容。

医療費助成制度については、対象者を「都内に1年以上住むぜんそく患者のうち、非喫煙などの要件を満たす者」とし、「5年後に制度を見直す」との条件がつけられた。分担額は、国が60億円、メーカーが33億円、首都高速道路会社が5億円。都が求める分担額に満たない首都高速会社には、今後、応分の負担に努力するよう注文がついた。

これを受け、都は今月10日に学識経験者による検討委員会を発足させ、助成対象者の認定方法などを決め、来年度中に制度をスタートさせる方針だ。

訴訟は1996年5月に第1次訴訟が起こされ、昨年2月の第6次までに原告患者は最大で633人に上った。高齢化で100人以上が死亡するなどし、正式和解した原告数は527人。第1次訴訟の和解協議で東京高裁が6月に和解案を提示、全当事者が合意したのを受け、第2〜第6次訴訟が係属する東京地裁も同時に和解が成立した。(2007年8月8日21時25分  読売新聞)

大気汚染物質とは何か?


大気汚染の原因となる主な物質は、浮遊粒子状物質(SPM)や二酸化窒素(窒素化合物)、亜硫酸ガス(硫黄酸化物)、揮発性有機化合物(VOC)、ダイオキシンなど多岐にわたる。また、アスベストやスス、黄砂などの粉塵も大気汚染物質に含めるという考え方もある。すす様の微粒子が空中に漂い、煙とも霧とも着かぬ状態になるのをスモッグという。

発生源は、自動車などの排出ガス、工場などからの排煙、廃棄物の焼却排ガスなどである。

大気汚染防止法とは何か?


大気汚染防止法(たいきおせんぼうしほう)は、大気汚染防止に関する法律である。1968年(昭和43年)6月10日法律第97号。最近改正:2004年(平成16年)6月9日。

目的
「工場及び事業場における事業活動並びに建築物の解体等に伴うばい煙、揮発性有機化合物及び粉じんの排出等を規制し、有害大気汚染物質対策の実施を推進し、並びに自動車排出ガスに係る許容限度を定めること等により、大気の汚染に関し、国民の健康を保護するとともに生活環境を保全し、並びに大気の汚染に関して人の健康に係る被害が生じた場合における事業者の損害賠償の責任について定めることにより、被害者の保護を図ることを目的とする。」(第1条)

策定の背景
1962年(昭和37年)に制定の「ばい煙の排出の規制等に関する法律(ばい煙規制法)」が、日本で最初の大気汚染防止に関する法律である。ばい煙規制法は、石炭の燃焼による煤塵(ばいじん)の規制には、効果を発揮した。しかし、規制によって社会における主要な使用燃料が石炭から石油に移行すると、硫黄酸化物の排出量が増え、対応しきれなくなってきた。また、自動車排出ガスの規制が含まれていなかったことも大きな問題であった。

1968年(昭和43年)にばい煙規制法を根本的に見直し、制定されたのが、大気汚染防止法である。

しかし、この大気汚染防止法においても大気汚染の改善は見られず、深刻な公害問題に発展した。

1970年(昭和45年)にいわゆる公害国会と呼ばれる第64回国会において、公害問題の早急な改善と汚染の防止を徹底するため、公害関係法令の抜本的整備が行われた。この時の大気汚染防止法の大幅な改正が、現在の原型である。

この改正での主な特徴は、都道府県による上乗せ排出基準を設けられるようになったこと、違反に対して直罰を科せるようになったこと、排出規制が地域限定を廃止して全国に拡大したこと、などがあげられる。特に、地方自治体の権限を強化したことは、国の制度の整備に先駆けて地方自治体が行っていた公害対策に効果的な役割を果たすこととなった。

2004年(平成16年)には、浮遊粒子状物質(SPM)及び光化学オキシダントによる大気汚染の防止を図るため、揮発性有機化合物(VOC)を規制するための改正が行われた。

内容
大気汚染防止法では、煤煙、揮発性有機化合物、粉塵、有害大気汚染物質、自動車排出ガスの4種類を規制している。

大気汚染防止法では次のような物質があげられている

カドミウム及びその化合物、塩素及び塩化水素、フッ素、フッ化水素及びフッ化ケイ素、鉛及びその化合物、窒素酸化物、一酸化炭素、炭化水素、鉛化合物、粒子状物質、硫黄酸化物、揮発性有機化合物、その他、人の健康を損なうおそれがある有害物質。

人の健康を損なうおそれがある有害物質とは?

アンモニア - フッ化水素 - シアン化水素 - 一酸化炭素 - ホルムアルデヒド - メタノール - 硫化水素 - 燐化水素 - 塩化水素 - 二酸化窒素 - アクロレイン - 二酸化硫黄 - 塩素 - 二硫化炭素 - ベンゼン - ピリジン - フェノール - 硫酸(三酸化硫黄を含む。)- フッ化珪素 - ホスゲン - 二酸化セレン - クロルスルホン酸 - 黄燐 - 三塩化燐 - 臭素 - ニッケルカルボニル - 五塩化燐 - メルカプタン

東京大気汚染訴訟とは何か?


トウキョウタイキオセンソショウ   Tokyo Action on the Air Pollution    
 
1996年5月の第1次提訴にはじまり、2000年11月の第4次提訴までの原告計505名が、国道、都道、首都高速道の管理者である国・都・公団及び自動車メーカー7社を被告として、損害賠償請求、汚染物質の差し止めなどを求めた訴訟である。

この原告には184人の未認定患者(公害健康被害の補償等に関する法律による認定を受けていない人)が含まれていた。

平成14年10月の判決では、道路端から約50mまでに居住するなどにより気管支ぜんそくを発症、悪化した7名について被告の国・都・公団に損害賠償責任を認めた。

この内の1名については未認定の原告であった。自動車メーカーの責任、差止めについては認めなかった。

被告の東京都に関係する部分については、東京都と一部の被告の間で判決が確定した。しかし、国、原告が控訴したことにより、高裁に持込まれたが平成19年8月8日、和解により全面決着した。

 

青い空の記憶―大気汚染とたたかった人びとの物語
新島 洋,西淀川公害訴訟原告団弁護団
教育史料出版会

このアイテムの詳細を見る
自動車排ガス汚染とのたたかい
篠原 義仁
新日本出版社

このアイテムの詳細を見る

ランキングブログ検索 ブログランキングへ ブログランキング・にほんブログ村へ ←One Click please