科学大好き!アイラブサイエンス!このブログでは、最新科学の?をなるべくわかりやすくコメントします。
「わが社のすべての製品は、原料に遺伝子組換え作物は一切使用していません。」よく、食品会社が使うフレーズである。

ある食品会社では、大豆が100%遺伝子組換え作物でないことを検査して、製品にしているそうだ。絶対に遺伝子組み換え作物を入れないことを売りにしている。

ところが大豆自体、遺伝子組換えでつくられたことを皆さんはご存知だろうか?この表記が本当なら、食品会社は100%無駄な?努力をしているのである。というより表示違反ではないだろうか?

現在食べている野菜のほとんどは遺伝子組換え食品である。トマトの野生種がメキシコにあるそうだが現在のトマトとは似ても似つかない小さな実をつける。

この野生トマトを喜んで食べる人は誰もいない。

トウモロコシもそうである。お米もそうである。麦もそうである。たわわに実をつけている作物を誰もが望み品種改良してきたのである。

品種改良とはほぼ遺伝子組換えと同じ意味である。遺伝子組換え技術が従来の品種改良と異なる点は、人工的に遺伝子を組み換えるため、種の壁を越えて他の生物に遺伝子を導入することができ、農作物等の改良の範囲を大幅に拡大できたり、改良の期間が短縮できたりすることです。

ではなぜ、これだけ遺伝子組換えが忌み嫌われているのだろうか?

反対派の意見はこうである。「遺伝子組換えは遺伝子のいろいろなところを変えるのがいけない。関係のないところまで変えて毒をつくったらどうするのか」というわけだ。

そこで、農業生物資源研究所(茨城県つくば市)などのグループが遺伝子の関係のあるところだけをピンポイントで変えるすばらしい技術を開発した。

今日は「品種改良」と新しい遺伝子改変技術「ジーンターゲッティング法」について調べる。(参考HP Wikipedia・農業生物資源研究所) 


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遺伝子組換え:必要分だけのピンポイント法をイネで成功


特定の除草剤に耐性をもつイネを、必要な遺伝子だけをピンポイントで組み換えてつくることに、農業生物資源研究所(茨城県つくば市)などのグループが13日、世界で初めて成功したと発表した。

これまでの遺伝子組み換え技術は、本来組み換えたくない遺伝子でも組み換えが起きたり、DNA上の意図しない場所に遺伝子が組み込まれるなど、期待通りの品種をつくることが難しかった。新技術の効率を向上させることで、デザイン通りの品種改良ができるようになると期待している。

同グループは、2年間培養したイネ細胞の中から、特定の除草剤に耐性をもつ細胞を選抜。その遺伝子の塩基配列を調査し、除草剤耐性を引き起こす遺伝子領域を見つけた。この遺伝子領域を、特殊なベクター(遺伝子の運び屋)を使ってイネに導入した。

この際、DNAに生じた傷が修復される時などに、塩基配列の一部が他のDNAのよく似た部分と入れ替わる「相同組み換え」という現象を利用。特定の除草剤に耐性を持つ遺伝子を、DNA上の特定の部分とピンポイントで入れ替えることに成功した。

1500例の組み換えで得られた66個体の耐性イネを解析したところ、約3分の2のイネでは、耐性をもつ領域以外に外来の遺伝子導入は確認されず、次世代では耐性をもつイネだけが出現した。

同研究所は「効率的・計画的な育種を可能にするだけでなく、必要最小限の遺伝子改良であることから、一般消費者にも受け入れられやすく、今後の植物の育種にとって不可欠な手法になる」としている。(毎日新聞 2007年9月13日)
 

相同組換えとは?


細胞が分裂するときに染色体が2本になり、分裂するがこのときに染色体どうしの混じり合いがおきる、このときDNAの配列も混じり合うことがありこれを遺伝的組換えという。

この分裂するときにおきる染色体の組換えは普通、相同性のあるDNAの間で行われる。これを相同組換えという。

減数分裂の過程で染色体の乗換えに伴うのが普通であるが、体細胞分裂での乗換えに伴うものもある。

相同組換えであっても、染色体の別の位置(染色体レベルでは相同でない)の間で組換えが起これば、座位の数が変化する。その範囲に遺伝子が含まれていれば、遺伝子の重複または欠失につながる。これを不等組換えといい、不等乗換えに当たる。

ジーンターゲッティングとは?


生物は、遺伝子の暗号文(DNAの塩基配列)の相同性(部分的な同一性)を利用して、遺伝子を組換えるシステム(相同組換えシステム)を持っている。このシステムを利用し、核内の標的とする遺伝子を細胞外から導入した遺伝子と置き換える事をジーンターゲッティングと呼ぶ。

「ジーンターゲッティング」とは、生物がDNA 鎖上の傷を修復する際、細胞外から導入されたDNA 鎖を鋳型として利用した結果起こる。

品種改良とは?


遺伝的形質を利用して生物を改良し、新しい有益な品種を育成することをいいます。品種改良には交雑育種(遺伝的に異なる品種を人為的に交配する)、突然変異育種(人為的に誘発された突然変異を利用する)、倍数体育種等があり、放射線による品種改良は突然変異育種に相当します。

突然変異育種は放射線の他にも薬剤や、組織培養中の変異等を利用することがあります。突然変異育種法は、交雑育種と比較した時、既存の品種に存在しない遺伝子や野生種にしか見出せない遺伝子を誘発することができる、原品種の遺伝子型を大きく変えずに特定の形質を突然変異で改良できる、栄養繁殖をする作物の改良に役立つ等の利点があります。
 

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